ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~
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砕け超進化
前書き
ハイパーカブト回。それではお楽しみください。
あの後、ユイが消えた瞬間、キリトが動いた。
「カーディナル!!」
「全部・・・。思い通りに行くと思うなよ!!」
涙をぬぐったキリトがそう叫ぶと、黒いコンソールへと、彼は手を伸ばす。
ホロキーボードを凄まじい速さで打ち込む。
「僕も手伝おう」
ユキが手伝いをするため、入力を開始する。
だが・・・・
「つっ・・・・つっ!!」
バチィィッ!!と言う音と共に、二人が弾かれる。
「キリト君!」
アスナがキリトのすぐそばに駆け寄る。キリトは、あるものをアスナに手渡した。
「これは・・・・?」
それは、人の鼓動のように、光が瞬いている。
「ユイの心だよ・・・。ユイが起動した管理者権限、それが切れる前にユイのプログラムを、カーディナルから切り離して、オブジェクト化したんだ」
アスナはぼろぼろと涙を流す。
ユイ。彼女もまた、生きているのだ。作られたものだったかもしれない。しかし、アスナの手の中で、確実に彼女は生きている。人が生きているように。心臓が、鼓動を打つように・・・・。
(ユイちゃん・・・。君に託されたものは)
ユキもまた、ユイからの贈り物を受け取っていた。
キリト達が悲しみに暮れる中、ユキは一人立った。何かが来るという予感がしたからだ。ジョーカーも気付いたのか、威嚇を始める。
「いいよなあ・・・。光のそばにいる奴は・・・」
響く声。止まる時。そこには、一人のライダーがいた。
「ッ・・・!!キックホッパー!?」
「汚してやる・・・笑顔なんて・・・」
後ろには同じ姿をしたライダーが。
「パンチホッパーまで・・・」
なぜ、この二人がここにいる!?当たり前の疑問を持ち、カブトに変身しようとするが・・・。
全身のやけどと連続超変身による疲労が体の活動を阻害する。キックホッパ―がユキを弾き飛ばす。
「・・・クソぉ!!」
キックホッパーがアスナに、パンチホッパーがアルゴに近づき、ベルトのボタンを押す。
One
「嘘でしょ・・・?」
Two
「待てよ、こっちを狙えよ・・・」
Three
バチバチと紫電を立てながら、両者の必殺技が放たれようとする。
「「ライダー・・・」」
ユキの頭の中で大切な人を失った日がフラッシュバックする。
何も知らず横を向いたら、愛する人が死んでいる――――――――――――――――。キリトはどんな顔をするだろうか?
「キック」
第三者の声。赤い閃光が、2人のライダーを蹴り飛ばす。
clock over
キリト達が目の前の光景に驚いた。倒れているユキ。壁に激突している2人のライダー。
手をかざしている赤いライダー。
「あなたは・・・っ」
目の前で命が消えなかった事で、泣き声になっているユキが驚きの声を上げる。
仮面ライダーカブト。妹のために。何より家族のために戦い続けたライダー。
カブトはユキの方を向く。
「よくやったな・・・・。」
「おばあちゃんが言っていた・・・命を愛する者は強い・・・ってな」
さて、とカブトが息をつく。
「お前たち・・・。矢車と影山ではないな・・・」
「え!?」
ユキはまた驚く。目の前にいるのは、地獄兄弟そのものではないか・・・と。
「奴らは、自分なりの信念を持ち、戦っていた・・・。おばあちゃんが言っていた・・・。本物を知る者は、偽物には騙されない・・・とな!」
「一気に飛ばしていく」
バゴン!と言う音が響き、天井からハイパーゼクターが飛来する。
ハイパーゼクターはユキを一瞥し、天道のベルトへと合体する。
「ハイパーキャストオフ」
展開した装甲がさらに展開され、虹色の翼が生える。
Hyper clock up
ユキが見たのは、圧倒的ともいえるカブトの戦闘能力。
まずはキックホッパーに凄まじい乱舞を叩き込み、吹き飛んだところをハイパーライダーキックでパンチホッパーごと壁に叩きつける。そこからパーフェクトゼクターを取出し、全ゼクターを召喚、マキシマムハイパーサイクロンでまとめて吹き飛ばした。
クロックアップと変身が解除され、その全貌があらわになる。
「よくやった、ユキ」
天道がユキを背負う。キリト達は唖然とした表情で二人を見る。
「カナリアから全ての話を聞け。そして・・・」
そろそろだ。と天道は言った。キリトが聞く。
「そろそろ?」
ああ、と天道が会釈する。
「この世界が終わるときだ」
全員が驚愕する。
「俺は先にユキを連れて宿屋に帰る。じゃあな」
天道がその場を去って行った。
「オイラもついていく」
アルゴとジョーカーが天道の後を追う。
アルゴたちが行った後、キリト達にメールが届く。
「な、んだと・・・」
過去は変わり、未来も変わる。
偵察隊10人全滅。アスナとキリトは、悲しみも癒えぬまま、転移結晶を取出し叫ぶ。
「転移、グランザム」
二人は消える。カナリアの話も聞かぬまま・・・。
宿 キリト達と別れて2時間
「で?アンタは何者なんダ」
アルゴが天道に発した第一声。
「頭が高い!!」
対しての天道の返しはコレ。
「まずは自分の名前から言うのが礼儀と言う物だろ?」
この瞬間、アルゴは思った。
ああ、こいつとは絶対に分かり合えないな―――――――――――――――と。
「まあいい、俺は天の道を行き全てを司どる男、天道総司だ」
次にアルゴが聞いたのは目的について。
「俺の目的?俺の目的はこれだ」
天道が取り出したのは、白銀の昆虫、ハイパーゼクターだ。
「こいつが、ユキを選ぶかどうかを確認しに来た」
「選ぶ?変身のための道具が人を選ぶのカ?」
そうだ、と天道が言った。
「ゼクターには、意志がある。俺はカブトゼクター。仲間はクワガタのゼクターを使っていた。そして・・・このハイパーゼクターは俺とその仲間しか、選ばなかった。だが五代から、強くなったと聞いたのでな・・・。わざわざ、ここまで来たんだ」
「・・・それで結果ハ?」
「おそらく・・・選んだ。だが、ユキがハイパーフォームに耐えられるかどうかは、ユキ次第だ」
そうカ・・・とアルゴは安心した。しかし、一つだけ疑問があった。
「アンタ・・・ダンジョンで言ったのはどういう意味ダ?」
「そのままの意味だ」
その時、ハイパーゼクターが動き、ユキに取りついた。
「・・・!大丈夫なようだ」
天道が立ち上がり、その前に灰色の壁が立ち上がる。
「エ?、エ?」
アルゴは立ち上がる。天道が行ってしまう。アルゴは心配していることを聞いた。
「ユキは・・・戦うのカ?」
傷ついた、この体で。
「・・・そこから先は、お前が確認しろ」
「お前に言っておく。グランザムに行け」
「もし・・・」
「もし、お前にその気があるのなら」
「あるのナラ?」
「ユキを支えてやれ」
そう言って天道は壁に飛び込んで行った・・・。
コイツが戦うのか・・・?アルゴは傷だけのユキを見た。
安らかな寝顔。そして・・・。
「みんな・・・守るから・・・」
ユキが呟く。
「アルゴさぁん・・・」
!!?とアルゴは後ろにのけぞった。が、ユキに手を掴まれ、傍に寄せられる。
(うわああああああアア!!近いいいいぃ!!!)
顔が、目の前に。ユキの目が開いた。
「・・・~~~~~ッつっつつつ!!」
ユキが赤面して起き上がる。
「アバ、あああああアア、アルゴさん!!?うわあああああっ、触ってしまってすみません・・・っ!!」
アルゴも慌てふためていていたが、一つ気づいた。
「お前・・・。傷ハ?」
「ん?ああ。大丈夫ですよ。ぜぇーんぶ治っちゃったみたいですから・・・」
そんな馬鹿な。全身に大やけど。ライダーキックを受けたことによる、全身打撲。
大怪我が数時間で治るものだろうか?もうコイツハ・・・
「オマエハ・・・?」
なんですか?、と、ユキが首をかしげる。
「それでいいのカ?」
何故自分のために戦わなイ?
「・・・?誰かを守りたいんです」
だから自分のことなど、どうでもいい。アルゴはその答えに少しだけ恐怖を感じた。
「・・・。グランザム・・・。いや、時間もたってるかラ、75層のボス部屋まで行くゾ」
ユキたちは、転移結晶を使用し、ボス部屋へとワープした。
ボス部屋は、激戦区と化していた。
ボスの名はthe Scullreaper。骸骨の刈り手。
仲間を失いつつ、ついにヒットポイントを削り取った。全員が安堵し、膝を突こうとしたその時。
「プレイヤアァァァァァァぁぁッの諸君」
待っていたのは・・・・。絶望。
地球に住む、カブトガニのような容姿。青い体。
「クロックアップ」
Clock up
青い怪物へと、赤い閃光が伸びる。
「ふふふ・・・」
青い怪物、カッシスワームは、不敵に笑うと、
「フリーズ」
周りの時が、全て止まった。
クロックアップには、3種類ある。一つ目は全ライダー、全成虫体ワームに標準装備されている、クロックアップ。
その上に、ハイパークロックアップがある。通常のクロックアップをはるかに超える速度で動き回り、過去、未来にまで行けるというものだ。だが・・・。
それにも、上がある。
それが、フリーズ。その名の通り、時を凍結させる。カッシスワームのみが使える、得意技と言っても過言ではないモノ。
「カブト・・・。あの時はよくも・・・」
ゆっくりとカッシスワームはカブトへと近づく。
「させるか」
Hyper Cast off
横から割り込む、銀色の影。
「・・・!?カブトが二人!?」
フリーズが解ける。
「馬鹿な・・・。なぜ、フリーズで動ける」
ユキが答える。
「これを使ったからだ」
ユキの手にあるのは、一枚のカード。それは、タイムベント。
「うまくいったようね」
カナリアが飛来する。
ユキがとった戦法は、まず、クロックアップでカッシスまで行き、タイムベントで時を固定、フリーズの意味をなくす。
時が完璧に静止している中、戦闘が始まった。
カブトの蹴り、弾くカッシスワーム。ハイパーカブト・・・、天道は、後ろからパーフェクトゼクターで斬り付ける。
カッシスワームが二つに割れる、しかし分身し両腕から剣を生やす。
「ライダーカッティング」
天道へと放たれる、ガタックの必殺技。しかし、ユキが叫んだ。
「ハイパーゼクター!!」
銀の昆虫がユキの手の中に納まる。同時にゼクトマイザーを取出し、マイザー達をカッシスワームへと向かわせる。
カッシスは爆発によってライダーカッティングを中断、ライダージャンプを使用し、上空へと上がる。
そして、とんでもない行動に出た。
「来い・・・・」
カッシスワームが呼び出したのは、黒い昆虫・・・。
「・・・!!」
マスクの下の天道の顔が、怒りの顔になる。
「ハハハハハハ、プレイヤあああアアの諸君!!終わりです」
カッシスワームが変身する。
カブトの姿をそのまま黒くしたようなそれは、ダークカブト。
自身と同じ姿、同じものを守ろうとした男が変身した。
降り立ったダークカブトはカッシスワームが使っていた剣を取出し、ライダースラッシュを放つ。
「ンなっ!!」
ユキめがけ放たれたそれは、瞬間移動したように、目の前に現れ、爆発した。
Hyper cast off
変身時のエネルギーで、爆発を防ぐ。
しかし、なぜだ。なぜ、エネルギーだけが、この停止した世界で加速した。
次々と放たれる、ライダースラッシュを回避しつつ、天道が気付く。
「そういう事か・・・」
「あいつの手を見ろ」
天道が指差したのは、カッシスワームの手。そこには、バチバチと紫電が纏わっている。
ユキは、わかった。
ライダースラッシュの時には、タキオン粒子が腕を通って刃に集中する。
フリーズと言うのは、全身のタキオン粒子を、目まぐるしい速度で全身に纏わせ、循環させる。
タイムベントで時は確かに停止している。これではフリーズも意味はない。
だが・・・全身で使用できないなら、一部分だけに集中させれば。
フリーズはできないが、攻撃は加速する。
「終わりだよ、天道総司!!正義の子!!」
再びチャージを開始する、が。
ユキと天道はパーフェクトゼクターを起動、全ゼクターを呼び寄せる。
パーフェクトモードに移行したパーフェクトゼクターをソードモードへと変形させ、ユキがカブトゼクターで真紅の刃を、天道はサソードゼクターで紫色の刃を展開する。
カッシスワームのエネルギーが、より強く輝く。
先に動いたのは天道、カッシスワームの横切りのライダースラッシュが放たれるが、紫色の刃がそれを迎撃する。
ビギッという音が、パーフェクトゼクターから鳴る。
「あまいな・・・」
驚きの声を、カッシスワームはあげる事も出来なかった。
正面からぶつかりに行ったパーフェクトゼクターの刀身を斜めにすると刀、身に沿いカッシスワームの剣が上へと上がる。
「行け・・・!」
ユキが真紅の刃を、腹ががら空きのカッシスワームへと叩きつける。
さらに天道が背中を斬り付け、上空へと斬り上げる。
「馬鹿な・・・!!」
二人はパーフェクトゼクターを変形させ、ガンモードへ。さらに柄のボタンを順番に押す。
カブトゼクター、ザビーゼクター、ドレイクゼクター、サソードゼクター全てのエネルギーが、銃口へと集中する。
二人のトリガーが、同時に引かれた。放たれる、エネルギーの旋風。その名も、マキシマムハイパーサイクロン。
進路上の全ての物体を原子の塵に変えながらどこまでも飛んでいくと言う技であり、勿論耐えることなど不可能、攻撃範囲も異常で、山を簡単に吹っ飛ばす事が可能。最大射程は100kmという威力を持つ旋風が、二つ、カッシスワームに殺到する。
Maximum riderpower
竜巻に乗って、天井を貫きながら二人のライダーのキックが炸裂する。
「がああああああああアアッ!!バカな・・・この、私がああああああああアアッ!!!!」
断末魔を上げながら、カッシスワームは爆散した。
二人が着地すると、天道が言った。
「お前は強い・・・。きっと人を守り続けることができるだろう」
「俺はもう行かなければならない。じゃあな」
天道が消える途中、一言だけ言った。
「生きろよ」
それは、これから起こるユキの死に対しての一言だった。
後書き
キリトさんたちが活躍しない。どうしようか。
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