噛んで
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第二章
第二章
「あいつそれで」
「そこまでわかるか」
「っていうか読めるか」
周りは呆れた顔で突っ込みを入れるのだった。
「そこまでな」
「わかったら凄いよ」
「そうか」
「そうだよ。とにかく行け」
「話はそれからだ」
とにかく彼の背中を押すのであった。その彼をだ。
そしてそのうえで。さらに彼に問うのである。
「それで告白の時だよ」
「何時なんだ?」
今度はそれを尋ねるのであった。
「それでだけれどな」
「何時告白するんだ」
「今日だけれどな」
いきなりであった。皆それを聞いて今度は呆れた顔になって言うのであった。
「おい、今日かよ」
「それはないだろうがよ」
「ないかな」
眞人はわからない面持ちのまま周りに問う。
「ねえよ、せめて明日って言えばよ」
「心の準備ってのがあるだろ」
「どうなんだよ」
それを話すのだった。
「とにかくよ。それじゃあな」
「もう行け」
言葉は強いものになった。
「行け、特攻だ」
「当たって砕けろ」
「当たってか」
「そうだよ、いいな」
「ぶつかれ」
そんな話をしてそのうえで向かわせるのであった。彼等はもうそれしか言えなかった。しかしだからといって彼を突き放したわけではなかった。
「よし、それで場所はだ」
「何処なんだ?」
「図書館の裏だよ」
そこだというのである。
「そこな。放課後な」
「そうか、あそこか」
「あそこなんだな」
「それで放課後か」
皆そのことも確かめたのであった。
そうしてである。そのうえでまた言うのであった。
「じゃあな、まずはな」
「度胸据えて行け」
「度胸って」
「手の平に人って文字を三回書け」
一人がそうしろというのだった。
「それでそれを飲み込む動作をするんだよ」
「それでいいんだよな」
「ああ、とにかくな」
「度胸なんだよ」
「いいな」
皆で言う。そのうえで、であった。
放課後を迎えた。行く場所は一つしかない。その図書館の裏である。そこに向かうのであった。
眞人だけではない。皆も一緒だ。皆は彼を先頭に立てて後ろから言ってきた。
「いいか?それでな」
「度胸据えればいいからな」
「度胸だよな」
「ああ、そうだよ」
「それだよ」
まさしくそれだとまた言う面々だった。学校の中を歩きながら彼に対して言っていく。
「わかったらな」
「俺達が見守っていてやる」
「だから行け」
「ああ、わかった」
こうしたやり取りの後でその図書館裏に入った。そこは右手に図書館の白い壁があり周りには木があったり皐があったりしている。わりかし奇麗な場所である。
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