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オズのムシノスケ

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第九幕その八

「あってもね」
「不思議じゃないわね」
「この国はそうした国じゃない」
「いつも何かが起こる国ね」
「そう、だからね」
「いつも何が起こるのかね」
 そしてだと言うのでした。
「わからない国だから」
「そうしたことをお話したけれどね」
「うん、実際に起こってもね」
 それでもと言うカルロスでした。
「覚悟はしてね」
「大学まで戻りましょう」
「そうしようね」
 こう皆とお話して注意していました、そしてやっぱりでした。
 道の真ん中でまたです、大きな生きものが寝ていました。今度の生きものはといいますと。
 鹿です、カルロスはその鹿を見て言うのでした。
「やっぱりね」
「ええ、そうね」
 恵梨香もカルロスのその言葉に頷きます。
「何かがあったわね」
「というかまた寝ている生きものに出会うってね」
「不思議な縁って言うのかしら」
「そんな感じだよね」
「本当にね」
「そうだよね、けれどね」
 ここでなのでした、カルロスは自分達の前で寝そべってすやすやと寝息を立てている鹿を見ました。そして言うことは。
「大きな鹿だね」
「ブラジルにはこの鹿いないの?」
「うん、ここまで大きな鹿はね」
 いないとです、カルロスは恵梨香に答えます。
「いないよ」
「確かこの鹿は」
「ヘラジカだよ」
 教授が皆に教えてくれました。
「ムースともいう寒い地域にいる鹿だよ」
「そうなんですか」
「オズの国にもいるんだ」
 その鹿もというのです。
「色は君達の世界とはまた違うけれどね」
「青いですね」
 カルロスはその鹿を見て言いました。
「やっぱりマンチキンの国ですから」
「そう、だからね」
「青いんですね」
「他の国だとその国それぞれの色だよ」
 そうなるというのです、オズの国らしく。
「青だけじゃないよ」
「そこはオズの国ですね」
「そうだよ、それでだけれど」
「はい、このヘラジカさんもですね」
「起きてもらわないとね」
 ヘラジカを避けて通ることが出来ます、それでもというのです。
「ヘラジカも群れで生きる動物だから」
「皆のところに戻らないといけないからですか」
「そう、だから起きてもらってね」
 そうしてというのです。
「皆のところに戻ってもらおう」
「わかりました、それじゃあ」
 カルロスは教授のお話に頷いてでした、そのうえで。
 その寝ているヘラジカさんに声をかけます、ですが。
 ヘラジカさんはすやすやと寝たままです、それでなのでした。
 カルロスは少し考えてからです、こう言うのでした。
「どうしようかな」
「ううん、そうね」
 ドロシーがそのカルロスに応えて言うことはといいますと。
「ここも太陽でいきましょう」
「太陽ですか」
「そう、それでね」
 こうカルロスにお話します。
「ここはね」
「ヘラジカさんのお顔の傍にですね」
「美味しいものを起きましょう」
「そうしますか」
「ええ、ボタン=ブライトにもするけれど」
 ここでもだというのです。
「このヘラジカさんにもね」
「じゃあ今から」
「ヘラジカさんの好きな食べものを出すわよ」
 こう行ってでした、ドロシーはといいますと。
 テーブル掛けを出してです、そこから。
 青々とした牧草を一杯出しました、そしてその牧草をヘラジカさんの寝ているお顔の傍に置きました。するとです。 
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