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ルドガーinD×D (改)

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十二話:うちの猫は可愛いです

あれから色々とあってアーシアさんが悪魔になりました。
何でもアーシアさんの癒しの才能に目を付けた部長が悪魔に転生させたらしい。
シスターが悪魔になるっていうのはどうなのかとも思うがアーシアさん本人は
イッセーの傍にいられるならそれでいいらしい……変なことをされないといいんだけど。

住む場所もイッセーの家にホームステイとして住むことになったらしいしな。
この前イッセーのランニングに付き合っている部長から聞いたんだし間違いないだろう。
それにしてもあの程度の距離でへばるなんてイッセーはだらしないな。
腕立ても部長を乗せただけで辛そうにしてたし。

あんなんじゃ、クランスピア社の試験すら合格できないぞ?
………落ちた俺が言うのもあれだけどな。
でも、兄さんが妨害しなければ俺は間違いなく受かってただろ?
筆記の方は文句なしの成績だったんだからな。

まあ……俺の為にやってくれたことだから文句は言わないよ。
そりゃ、初めて聞いたときはムッとしたけどさ。
でも……俺が同じ立場なら俺も同じことをしたと思う。
もし、俺がもっと早く……エルと出会う前に『オリジンの審判』のことを知ってたら
俺はどうしたんだろうな………。

そこまで考えてフッと息を吐き出す。
そして、ポケットから俺の時計を取り出し、あの日の約束を思い出す。


『ホントのホントの約束だよ、エルとルドガーは、一緒にカナンの地に行きます』


答え何て変わらない、例え何度生まれ変わったとしても同じ選択をする。
きっと兄さんだって同じだ。何度生まれ変わっても俺を守ってくれる。
俺達は本当によく似ている兄弟だと思う。

ふいに、いつも兄さんが歌いながら時計の手入れをしていたのを思い出す。
そう言えば、最近はあんまり手入れをしていなかったな……。
そう思い、机に座り時計の手入れを始める。そしていつもの様に証の歌を口ずさむ。

「にゃー」
「黒歌、来てたのか?」

いつの間に来ていたのか猫黒歌が撫でてくれとせがむ様に
お腹を見せて来たので撫でてやる。
最近の黒歌は何故かは良く分からないけどよく甘えてくるようになった気がする。

人型の時も偶にボーっと俺の方を見つめてたりして何かあるのかと聞いたら
顔を赤らめて何でもないって言ったりするからやっぱり以前から変わった思う。
何が変わったのかは俺には良く分からないけどな。

「にゃーん♪」

気持ちよさそうな声を上げる黒歌を見つめながらルルと重ね合わせる。
あの時みたいに……俺と兄さんが一緒に暮らしてた時みたいな感じだな。
そう思って何気なく部屋を見渡してみて改めて現実を突きつけられる。



もう、どこにもいないんだな……。



いつも俺のすぐ傍で微笑みかけてくれた兄さんは……いないんだな。
そんなの分かりきってたことなのになあ……。
どうして探してしまうんだろうな……。



「そ、そこはだめにゃ…♪」



何やら艶めかしい声を上げて鳴きだす黒歌……はあ。
こいつはまた俺をいじろうとしているのか?
だが、いつもいじられっぱなしの俺だと思わないことだな!

「にゃ!?きゅ、急に激しすぎるにゃ!」

黒歌を撫でる手をいつもより強めるとそんな声を上げる。
いつもならここでやめてあげるのが俺だが今日の俺は一味違うぞ?

「そうか?まだまだだと思うんだけどな」

「ひゃっ!そ、そこはだめにゃあ…」

「ダメって言ってるのに体は全然嫌がってないよな?
 いつでも逃げれるのに少しも逃げようとしてないぞ」

「だ、だって気持ちよくて体に力が―――ひゃう!?」

「ここが気持ちいいのか?」

「にゃ、にゃ…だ、だめぇ…気持ちいぃ…」

「随分と従順になってきたな」

「言わないでぇ」

俺はただ単に黒歌を撫でてるだけだからな?
別にいやらしいことなんか少しもしてないぞ。
猫の喜ぶポイントを撫でてるだけで何もエロいことなんかない……声以外は。

「も、もっと…欲しいにゃ」

「ダメじゃなかったのか?今ならやめてもいいんだぞ?」

「うう、ルドガーのイジワル……」

「俺は黒歌の嫌がることをやりたくないからここでやめるよ」

「ま、待ってにゃ!……お願いだからやめないでぇ」

「しょうがない奴だな……それじゃあ、これなんてどうだ?」

「あっ…あっ!き、気持ちいいにゃ…っ!?は、激し過ぎ―――にゃああああん!!」

もう一度言うけど俺はただ単に猫黒歌を撫でてるだけだからな?
やましいことは一つもない。





結局、俺と黒歌のスキンシップは黒歌が人の姿に戻ったことで終了した。
いや、猫の状態なら撫でれたけど人の姿は色々とまずいだろ?
ヘタレとか言うんじゃないヘタレとか。

大体、人の姿に戻った時なんか上気した顔でこっちを見つめてきて
『もっと……』なんて言うから危うく俺の理性が飛ぶところだった。
だから俺はヘタレじゃない!

「うーん、体中がなんだか火照ってムズムズするにゃ…」
「ごめん……調子に乗りすぎた」
「責任……とってくれるかにゃ?」

そう言って、グッと顔を近づけて俺の目を見る黒歌。
うう、いつもと違って目が本気のような気がする……。
目が合わせられずに最大限に顔を逸らす。

「なーんて冗談にゃ♪」
「は?」
「ルドガーがお姉さんを虐めるから、お姉さんも仕返し、しただけにゃ」
「そ、そうか……」
「でも埋め合わせは今度必ずして貰うにゃ」

何やら面白そうなことを思いついたような顔をする黒歌に思わず後ずさる。
絶対、俺にとってまずいことを考えてるよなあの顔は……。
まあ、今回は俺が悪いから逃げ道なんてないけどな。

「はあ…わかった。手加減してくれると嬉しいけどな」
「それはないにゃ。ルドガーだって手加減してくれなかったんだし」
「うっ!」

本当の事だから言い返せないな……。
こうなったら覚悟を決めるしかないか!
……決めたとこで何かが変わるわけじゃないけどな。

「そう言えば…ルドガーの時計って高そうよね」

ヒョイと俺の時計を手に持ち光にかざしたりしてしげしげと眺める黒歌。

「これ何で出来てるのかにゃ?」
「多分、純金じゃないか?」
「純金!?そ、そんな高価なものだったのかにゃ!?」
「まあ、実際には製作者に聞かないと分からないけどさ」

それを作ったのはクロノスだろうし。
というか、生まれた時から持ってるってどういう事なんだ?
契約として力のあるクルスニク一族に渡されるように出来てるのか?

「……もしかしてルドガーってどこかのお金持ちの御曹司だったりする?」
「俺は普通の家庭で育ったぞ……親のことは殆ど知らないし、ずっと兄さんと二人で暮らしてきたんだ」
「あ……ごめんにゃ」

聞いてはいけないことを聞いたしまったと思って謝ってくる黒歌。
うーん…俺としては別に不自由なことなんかなかったし父親はあんなのだしなあ。
兄さんがいてくれたから寂しくなんかなかった……。
母親は……兄さんの手紙や記録からすると………やめよう、考えても仕方ないよな。
後、よくよく考えてみると俺って御曹司だったんだな。
高額負債者&ニートだったけどさ。
あはは……はあ…泣きたくなるな。

「まあ、大したことじゃないから気にしないでくれ」
「でも……」
「どうしても気になるなら埋め合わせを手加減してくれると嬉しいな」
「それは無理にゃ」
「ははは!」

笑いながら黒歌から時計を返してもらう。
この時計が高価な物かどうかなんて俺にはどうでもいいことだ。
ただ、これはエルとの大切な約束の証なんだ。
これを持っている限りはエルと繋がっていられる、だから絶対に手放したくない。
………そう思うのは俺がまだ前に進めていないからなのだろうか?





Side黒歌


にゃうー……まだ体が火照ってるにゃ。
まさか、ルドガーに弄ばれるなんて思ってもみなかったにゃ。
それにしても……あ、あんなに色っぽい声で言葉攻めなんて反則にゃ!

あの声を聴いただけでゾクゾクしちゃってまともに考えられなくなるから
猫の姿でいられなくなって人の姿に戻っちゃったにゃ。
でも、そのおかげでルドガーがやめてくれたから良かったんだけど…ちょっと残念かも

べ、別にルドガーのことが好きとかそういうのじゃないんだからね!
……き、気にはなってるけどにゃ。
あれからルドガーの事を少し意識しだして以前より多く猫の姿で撫でて貰ったりするし
気づいたらルドガーの事を目で追ってたりするけど
これは恋とかそういうのじゃない……と、思うにゃ。

「それにしても……『ちょっとシャワー浴びてくる』なんてルドガーは誘ってるのかにゃ?お姉さんを誘ってるよね?」

お姉さんをこんな状態にしておいてなおかつこんな生殺しのようなことをするなんて
ルドガーはもしかしたらSっ気があるんじゃないのかにゃ?
そんなことを考えながらソロソロと足音を立てないようにしながら風呂場に近づく。

「♪~♪~♪」

扉の向こうからは呑気な鼻歌が聞こえてきて相手が完全に油断しているのを伝える。
さっきはこっちがやられっぱなしだったから今度はお姉さんが慌てさせてあげるにゃ。
どうせならそのままルドガーを食べちゃおうかにゃん♪

するりと着物を脱ぎ捨て突入の準備を整える。
そして、定番とも言える台詞を言ってみる。

「ルドガー、背中、流してあげようかにゃ?」
「なっ!?もしかしてすぐそこにいるのか!?」
「じゃあ、入るね♪」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

ルドガーの慌てふためいた声に若干の優越感を感じながら扉を押し開けると
石鹸を持ったまま明らかにテンパっているルドガーが酷く慌てた様子で
前を隠せるものがないかと探していた。

「な、なんで裸なんだ!?」
「可笑しなこと言うにゃ。お風呂で裸は普通の事にゃ」
「いや、そういう事じゃなくてさ…その……」

これ見よがしに自慢のダイナマイトボディを見せつけてあげると
顔を真っ赤にして目を背けるルドガー。
そうにゃ、その反応にゃ!それが欲しかった反応にゃ!!

「にゃはははは!お姉さんの魅力にようやく気づいたかにゃ」
「取りあえず、タオルだけでも巻いてくれないか…」
「手加減する気はないにゃ」
「じゃあ、せめて俺にタオルを巻かせてくれ」
「男らしくないにゃ」
「うっ!」

そこまで言うと観念したのか諦めて背を向いて座り込むルドガー。
しまったにゃ……ルドガーのモノを確認してなかったにゃ、不覚…っ!
まあ、それは今後のお楽しみとして取っておくとするとして……今は―――

「それじゃあ、私が洗ってあげるにゃ♪」
「背中を流すんじゃん無かったのか!?」
「だって、洗わないことには流せないでしょ」
「俺、もう洗ったあとなんだけど……」
「つべこべ言わないにゃ」

ブツブツと言うルドガーを無視して背中を洗い始める。
それにしても…ルドガーって意外と筋肉質な体にゃ。
もしかして着痩せするタイプなのかにゃ?
そんなことを考えながら年の割に大きな背中を見つめる。

鍛えられた体、まだ未発達な部分もあるけれどそれでもなお逞しさを感じさせる
肉体をマジマジと眺めながら思う。エロい!
どうしよう、今すぐにでも食べたくなってきちゃったにゃ。
前の方はどうなのかと興味津々で覗こうとすると―――

「お願いだから前だけはやめてくれ……」

泣きそうな顔で止められた。
……なんなのにゃ?その乙女みたいな反応は。
あれ?もしかして私より女子力高かったりする?

そう思いながら渋々引き下がっている時にふとルドガーの左腕に目がいった。
そこにはあったのは深々と刻まれた切り傷、鋭い刃物で斬られたのだと一目で分かる傷に
思わず息をのむ。

「ルドガー!この傷一体どうしたのにゃ!?」

そう言えば、ルドガーが最近、白音がいるグレモリー眷属と
最近よく一緒にいるらしいからもしかしてそこで何かあったの?
それとも私と一緒にいることがばれたとか……。

「ん?そう言えばこの傷は残ったままだったんだな……これは、自分で斬った傷だな」
「自分で……斬った?」
「ああ、ちょっと色々あって……魔物をおびき寄せるために血が必要だったからさ」
「それで…自分で……斬ったのかにゃ?」

何でも無さそうに頷き、懐かしそうに左腕の傷を見つめるルドガー。
自分の血を使わなければならないほど切羽詰まった状況にまで追い込まれたのは
一体どういう理由なのだろうかと思いルドガーに聞いてみる。

「昔、一緒に旅をしていた女の子がいてさ。その子が魔物の呪い…と言うか毒みたいなものにやられてさ、その魔物を誘き出さないといけなくなったんだ」
「ルドガーって旅をしてたのかにゃ?」
「ああ……懐かしいな」

そう言ってどこか遠くを見つめるような仕草をするルドガーが
酷く危うげに見えたのは何でだろう?
誰にだって過去を思い出すことはある、でもルドガーのは何だか違う気がする……
まるで―――




――過去に囚われてるそんな感じ――
 
 

 
後書き
今回はシリアス半分、イチャイチャ半分で書きました。 
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