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IS レギオン

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第10話


 さて、ハワイ諸島に向かったスコープ・レギオンが速やかに主に伝えように低空で音速の数倍と言うスピードで向かって行った。その為、アメリカ軍の各軍のレーダーサイトには、一部の低空監視用設置型レーダー及び艦搭載型水上用レーダーの一部に確認されたが、殆どが小型の鳥またが、クラップと思われた為に特にスクランブルを発令しなかった。

 その頃、一夏は、ハワイ諸島のあるある高級ホテルの一室で今夜のレセプションパーティーの為に着替えていた。キッチリとしたスーツにネクタイを掛けた小さな紳士の様な格好であり、これを見た千冬や高嶺が、
「「可愛いよ、一夏」」
といいって、写真に収めていたが、今は、一夏以外は部屋に居らずそれぞれの準備をしていた。
「緊張するなあ」
と言いながら、鏡の前で髪を整えていたが、その時、自分の部屋の窓の外に視線を写した。

 「あ、スコープ。お疲れ様どうだった」
と窓の外で滞空していたレギオンを見つけて部屋にいれた後、カーテンと出入り口のドアに鍵を掛けた。そして、もしもの為に拠点防護特化用レギオンである「ハクサン・レギオン」を腹部から数体産み出し、窓付近と入り口付近に配置させ、さらに、一夏自身も電子専用のジャミングを限定的に掛けた。そして、スコープ・レギオンを腹部に戻し、スコープが集めた情報とスコープが見た映像を脳裏に映した。

 そして、ベットの上で瞑想を始めた。

 「なるほど、自分のいる島の付近の無人島でこんな事があったのか。それにしても、あの水色髪の少女が自分と似ているな。そして、沖縄で起きた事件の犯人だったのか。そして、対峙しているあの女性も何者なのだ?色々と大変なことが今回起こりそうだな。用心の為にもう少し栄養つけとくか。」
と思いながら、今回の国際演習に思いを馳せた。

 「一夏。そろそろ行くから、出て来てくれ」
とドアの外から、千冬の声がした為に出していたレギオン達を戻した後に、
「分かったよ。千冬お姉ちゃん」
と言いながら、鏡の前で自身の最終確認を終えて、財布と招待状を裏ポケットに仕舞い部屋から出た。

 部屋から出た時に千冬の全身が美しくドレスアップされた姿を見た一夏が、
「とても似合っているよ。千冬お姉ちゃん」
と声をかけたが、千冬は、
「余りジロジロ見るな。恥ずかしい」
と顔を赤らめた。すると、母である、高嶺も姿見せており、和服美人と言う言葉がぴったりだった。
「あらあら、二人ともよく似合っているわ」
と嬉しそうに言葉を掛けた。一夏と千冬は、それぞれ
「「お義母さんこそ、よく似合っている(よ)」」
と声をかけた。すると、高嶺が、
「あら、ありがとうね。じゃあ、少し早目だけど来ましょうか」
と声を掛けた後に手を伸ばした。一夏は嬉しそうに手を握って、千冬は少し恥ずかしそうにしながらも手を握ってホテルのフロントに向かって行った。

 フロントに着いた頃、父である茂がキッチリと第2種礼装に身を包み、高嶺たちを待っていたが、高嶺たちが来ると。
「皆綺麗だ」
と言ったと言葉が出なくなった。自身を奮い立たせて
「では、みんな行こうか」
と、しっかりとした足取りと共に4人でホテル前に待機している送迎車に乗り込んだ。

 
 暫く送迎用の車に揺られた後、レセプション会場入口付近に車が止まり、警備兵が車のドアを開けた、茂と高嶺が手を繋ぎ、一夏と千冬も習って手を繋いだ格好でレセプスション会場の入り口で招待券を見せた。レセプション会場は、周囲を4重にも警戒ラインが牽かれており、周囲に偽装させながらも対空ミサイル発射装置や対戦車ミサイル発射装置などが多数設置されており、周囲も諸々しい警備体制であった。

 その中で行われた今日のレセプションパーティーは、遂に開会式が行われた。始めに主催者であるアメリカ海軍太平洋艦隊司令が挨拶をした。

 「紳士淑女の皆様今晩は、ようこそレセプション会場へ、私達は、皆様を歓迎します。(中略)さて、今回の環太平洋演習では、過去最大の参加国及び艦船が参加します。遠くは欧州各地からの参加もあり大変うれしく思いますが、しかしながら、ある事情の為にドイツ艦隊の参加は取り消しになりました。(中略)さて、今回は、演習の他にも、参加国のすべての老若男女が楽しめるように様々な企画をご用意していますのでお楽しみに。さて、このような私の話は、此れ位にして、参加国の代表者の挨拶の後、各人今日のこの日を思いっ切り楽しんで下さい。以上、私の話は終わります。有り難う御座いました」
と言った後、様々な参加国(日本も含む)の代表者が挨拶した後に、それぞれの交流会が始まった。

 そんな中、伊401のクルーも出席しており、其々が其々の楽しみ方をしていた。
「おいしいか、イオナ」
「うん、美味しく食べているぞ。群像」
「ああ、イオナ姉さま、私にも食べさせてください」
と,ヒュウガがイオナに食べさせて貰おうとしている中、イオナは、局地型のクラインフィールドを形成した。そんなことを少し苦笑しながらある人物を見つけた為、「少し、離れるよ」と言いながら件の人物に向かって歩み出した。

 「お久しぶりです、円谷司令」
と言いながら、綺麗な敬礼をした。
「おお、随分とお久し振りじゃないか、群像。」
と笑顔で、茂は答えた。

 「どうだ、楽しんでいるか?」
と聞いた後、イオナが群像のそばに来た
「群像、この人は」
「ああ、陸自の司令官で、自分をよくしてもらっている」
「君は、そうか君が「霧の艦隊」のメンタルモデルか」
「そう、私が、「伊401」のメンタルモデル」
「はじめまして、「伊401」私は、貴女を歓迎するよ。君たちのおかげで色々と技術発展が海自は元より陸自、空自など様々の向上発展が出来たから、皆の代表としてお礼を申すよ」
と言いながら、二人は、握手をした。

 「お義父さん、この人達は?」
と近くまで来た一夏が茂に話しかけた。
「ああ、一夏か、この子が私たちの孫の一夏だ。一夏、この人達は、私の友達だから挨拶しなさい。」
「よろしくお願いします。織斑一夏です」
と元気に礼をしながら、一夏は挨拶をした。
「よろしく、一夏君」
と群像も笑顔で握手をした後、イオナも同じように挨拶をした後、握手をした瞬間其れは起こった。

 一夏とメンタルモデルたちの邂逅はそれが最初だった。そして、一夏の運命の人も。

  イオナと一夏が握手した瞬間、一瞬光が二人の視界を遮った。

 二人が目を開けた時には、今までいた所ではない別の所にいた。
「なぜ、私は、霧の艦隊用のチャットルームにいるのだろうか?後、なぜ、普通の人間がここにいるのだろうか?」
と顎に手を置き、少し考える仕草をしたが、一夏によって中断された。
「あのう、此処は何処ですか?ええっと、イオナさん?」
少し困った表情ながら、一部のメンタルモデル(ツンデレ重巡と)が思わず、『可愛い』と思ってしまうような感じをしながらも、イオナは、その答えを出した。
「ここは、私達メンタルモデル用の交流する場所。貴方たち、人類は普通は来られないはず、貴方は何者?」
と聞いた後、一夏は少しびっくりしながらも、少し考えた後、真剣な眼差しをイオナに向けた。

 「なるほど、此処はそういう場所なんだ、それなら納得がいく。イオナさん、此れから見る物に驚かないでほしい」
と言うと、一夏の身体が変化し出した。そして、茫然するイオナを見ながら、完全変化した一夏が話した。
「これが、今の自分。正真正銘、人類という種を超えてしまった存在だよ。でも、今とても、うれしい」
「うれしい?」
「そう、うれしいんだ。こんな経験初めてだから、これからも時々ここに来てもいい?」
と一夏は聞くと、イオナは、少し困惑しながらも、
「いつでも来てもいい。その時は、他のメンバーにも紹介しよう」
と言った後、二人は、改めて両手でしっかりと握手をした。

 一方、現実では、二人が握手しながらも、固まった様子を見て、群像は、「まさか、な」と思いながらも茂に「しばらくこのままで」と言うと、暫くして、一夏とイオナが握手を解いた。

「一夏、大丈夫か」
「茂叔父ちゃん、自分は大丈夫だよ」
「イオナ、何があった」
「群像、心配しなくても大丈夫」
とそれぞれが答え、それぞれの父とパートナーがホッとした。


 一方の千冬は、少しだけ、レセプション会場の隅に移動し。ちびちびとジュースを飲んでいた時に、ふと、誰かの視線を感じた。その容姿は頭に狼の顔の髪飾りを付けており、髪型はロングであり、中学生の容姿であり、年齢は、千冬と変わらないと思われる。

 「よう、あんたも、余りこの雰囲気が好きじゃないな?」
と聞くと、千冬は、
「ああ」と言った後、また、ちびちびと飲み始めた。
「そうか、なら。勝負しようぜ」
と言った瞬間、人間以上のスピードで蹴りを見舞ったが、千冬は、あまり驚かずに、片腕で蹴りを防いだ。

 「ほう、中々の蹴りだな。だが、この喧嘩高く付くぞ」
と凄みの笑みを浮かべた。

「「お前の名は」」

「織斑家長女。織斑千冬、行くぞ」
「妙高型重巡洋艦三番艦。足柄、勝負」
と両者が激突した。

  まずは、両者が蹴りと拳の激しい攻防が行われた。両者の激しい応酬により、周囲のパーティー用のテーブルが空に舞い、食器類が宙に舞った。それらを手に収めた両者が距離を取った。

 その喧騒は、周囲の参加者が気付いた。そして、いつの間にか周囲に人だからが出来ていった。そんな光景は、この二人には、全く意味が無く、興味もなかった。興味があるのは、久しぶりの強敵(ライバル)という存在であった。千冬の片手には、一本のナイフがあり、もう一方の手は、手刀の型を取っていた。対峙するアシガラは、両手にそれぞれ、4枚ずつの平皿を挟んでいた。

 千冬が口を開く、
「何やら、周りが騒がしいな。」
と聞くと、アシガラは、
「ふん、俺には、興味ないな。なぜなら、久しぶりに血が騒ぐからな」
と答えると、千冬は、
「ああ、全くだ、さて、また始めるか」
と返した。そして、両者は、再度、得物をそれぞれが持ちながら激突した。

 千冬が、片手の持ち手ナイフを逆さにし、刺突体制を取ったのに対し、アシガラは、平皿を円盤投げのように投擲した、投擲された其れは、鋭く速度のあるものに変化し。千冬に向かったが、千冬は、それを手刀で叩き落とした。
千冬は、
「貰ったぁ」
と叫び、叩き落された平皿を見たアシガラは、
「中々やるなあ」
と驚嘆したが、内心はとても喜んでいた。

そして、千冬は、アシガラの喉笛を切り裂こうとしたが、其れは起こった。

『ガキン』
という障壁音が木霊した。

 千冬は、自身の握ったナイフが、六角形状の障壁が、アシガラの前に出ており、ナイフの刃部分が消失していた。
 
 「なんだ、此れは?」
と疑問を述べた時、アシガラが答えた。
「危ない、危ない。まさか、クライン・フィールドを使う事に成るとはなあ。うれしいぞ、千冬!」
と感謝を述べたが、千冬は、
「クライン・フィールドとは?」
聞いたために、
「ええっと、確か同僚のナチ曰く、『強制波動装甲が発する一種のバリアで、一切の兵器による攻撃を無力化する。基本的に中型以上の艦しか持たない。空間をねじ曲げて受けた攻撃のエネルギーを任意の方向に逸らしてしまう効果を持ち、クラインの壺に例えられる。全てを処理出来るわけではなく徐々にエネルギーは蓄積されてゆき、適度に発散しなければやがてフィールドが消失』だそうだ。俺には、今一つ良く解らんがな。まあ兎も角、随分堅い壁みたいな物だよ」
と述べた。すると、千冬は、
「そうか」
と答えた後に、
「なら、これからが本気の勝負だな。私も本気になろう」
と言った瞬間、一気に周りの気温と気圧が低下した。

すると千冬の口調が急に変わった。

 「古来、日本には、妖怪と言うものが存在していた。そして、それぞれの妖怪には、『(おそれ)』と呼ばれるものがあった。『畏れ』とは、多元的な意味を持つ言葉であり、「妖怪の力」を総称したもの。人を驚かすために存在し始めた妖怪にもともと備わっている、人を怖がらせたり脅かしたりする能力や特徴であり、相手に与える畏は「恐怖」「威圧感」「信仰」「尊敬」「憧れ」などの様々な形を取る。妖怪という存在の核であり、畏を失うことは死を意味する。逆に畏を失わない限り、人間なら死ぬような傷を負っても死ぬことはない。「畏」の文字は、「未知なるものへの感情」、すなわち「妖怪」そのものを表す。」
と述べた後、周りの冷気が千冬を包み込んだ。
 「鬼纏(まとい)冷麗(レイラ)
と呟き、周りに吹雪が舞った。

「何が起こるのか?」
とアシガラは、とても嬉しそうにその光景を見ていた。
 アシガラが、とてもワクワクと興奮と好奇心で様子を窺っていたが、ゆっくりと周りの雪が収まっていき、変化した千冬がゆっくりと姿を現していった。

 変化した千冬は、髪がピンク色のロング髪のお団子頭になっており目の色彩は、千冬の本来の色であったが、雰囲気は、とても落ち着いていたが、内面には、蒼く燃えている炎があり、そして着ている服装も純和服姿になっていた。そして、周りには、幾つもの冷気を放つ氷塊が浮遊しながら纏っており、アシガラもある種の嬉しさが込み上げてきた。

 「おおう、随分と時間が掛かったじゃないか。サア、やろうぜ」
と戦闘態勢を取ったが、千冬は、
「私は余り、暑いのは好きじゃないわ。もう少し、落ち着いたら?」
と答え、落ち着いた態勢を取った。
「それなら、最初に行かせて貰うぜ」
と言った瞬間、勢いよく地面を蹴り、素早い機動と共に、片手に局地的にクライン・フィールドを形成していき、通常なら重装甲すら紙の様に貫通してしまうが、千冬には全くと言い程に貫通せずに周りの氷塊すら破壊できずに押し止められた。

 「やるじゃないか、さすがは私が認めた(ライバル)だ!」
と、拳を押し止められながらも、心から感謝と共に喜びを顔の表情に出していった。千冬は落ち着きながらも、
「では、私の番ですね」
と言った瞬間、アシガラの拳から発するクライン・フィールドが凍結していった。
「おいおい、うそだろ」
アシガラは、驚きながら、拳を退いた。その瞬間、クライン・フィールドが完全に凍結し、粉々に、微粒子レベルで崩壊した。
「アブねえ、アブねえ、さすがは、千冬!俺は、とてもうれしいぞ」
「もうこれ以上は、むやみな戦いは止めたらどう?」
と聞くと、アシガラは、
「へっ、まだまだだぜ、」
「やれやれ、では次で終わりにしましょう」
「上等!今までよりも強くしてやる」
と言うや、アシガラの持つクライン・フィールドが何重にも展開された。
そして、一方の千冬の周りが急に気温の低下と共に吹雪、氷塊が幾重にも空中に浮かびそれらが円状に展開され、円の中心に超低温の青く澄んだ光球が創り出された。

「「これで、お終いだ(よ)」」
と言った瞬間。

「其れまでですよ」
と誰かの声が遮った。
 「それまでですよ。他の人のご迷惑になりますよ」
とアシガラと千冬が、今にも激突しようとするなか、この決闘を観戦していた人混みの中から、凛とした声が響いた。

 「あ、誰だよ。折角の戦いの最中に水を差すバカ野郎は!」
とアシガラがいかにも嫌な顔をしてその言葉を発した者に対して言った。また。千冬の方は少し落ち着いた恰好を取り、『鬼纏』を解除し、『鬼纒』する前の状態に戻った。

 その声の本人が人混みの中からアシガラと千冬の前に出てきた。

 「まったく、千冬ちゃん。こんなところで騒がないの。他の人の迷惑だし。父さんにも迷惑があるでしょ」
と先程の声の主である高嶺が注意を促したが、アシガラが、
「なんだよ、オバサン口出しするなよ」
と言った瞬間、周りが凍った。千冬でさえ、唖然としその場から少し離れた。

 「オバサン?」
とすごく冷静かつ、とても低い声で高嶺が言った。アシガラは、
「ああ、口出しした余計な御世話だ。オバサン!」
と言った。千冬は、耐え切れずにアシガラに、
「アシガラ!すぐ謝るんだ!」
と言ったが、高嶺が、
「ふふふ良いのよ。千冬ちゃんそんな事言う子は、お仕置きしなきゃ」
と笑顔で言った後に
「『鬼纒』イタク。切れ味は鋭いわ。しっかりと観る事ね」
と言った瞬間、高嶺の周りに旋風が起こったが、すぐに収まった。

 高嶺の背には、鋭くも美しい曲線である一対の手鎌があり、両手にも背に着けられている鎌よりも一回り長く大きな曲線である鎌が握られていた。そして、身体年齢も若くなり、美しい銀髪を靡かせていた。

 「ほう、アンタも千冬と同じ力を持っているのか。嬉しいねえ」
と言った瞬間、千冬との激突前のクライン・フィールドを再展開して、千冬との激闘以上のスピードで高嶺に向かったが、高嶺は、優雅に落ち着きを持ってかわしたが、
 「あら、もう終わりですか」
と言ったが、アシガラは、
「何寝ぼけて、やが...」
と言おうとしたが、その瞬間今まで展開していたクライン・フィールドがすべて綺麗に真っ二つに切断され、アシガラが着ていた服にも一部が綺麗な切込みがあり、それを見たアシガラが、
「お前何をした?」
と質問した後、高嶺は『鬼纒』を解き、
「貴方がぶつかりそうな時に躱しながら鎌で切り刻んだのよ」
と言った。

 「俺の負けだ。さっきは言葉が過ぎた。済まなかった、許してくれ」
とすべてを理解したアシガラがきちんとした姿勢で謝罪の言葉を述べた後に、最敬礼をした。
「分かったなら、良いのよ。でも、周りには注意しましょうね」
と優しく述べた後、二人は握手した。

 「でも,もう少しやりたかったな」
「あら、何をやりたかったのかしら」
とアシガラが、ボヤきながら言ったが、同僚のナチが隣に来ており、質問した。

 その後、ナチがアシガラを拘束し、人混みに消えたが、アシガラが、
「許してくれ、ナチ、頼む」
「あら、何かしらアシガラ」
と言った後、アシガラの絶叫が響いた。

 「さて、千冬ちゃんも反省してね」
とその喧騒の中、高嶺が優しく言ったが顔は笑っていなかったが。
「はい」
と観念したような声で千冬が言った。
 その後、高嶺に大層怒られた千冬は、暫くの間は、随分と落ち込んでいた。千冬曰く、
『触らぬ神に祟り無し。死人の口無し。』だそうだ。ただ、高嶺曰く、「少し怒りすぎたので、千冬には、済まない事をしたわ」だそうだ。

 一方の一週間前の国際演習の射撃訓練及び観艦式に向けての各国の艦隊が最終確認の為に独自にハワイ沖周辺での訓練をやっていた。また、周辺の無人島でも複数の国家の陸上軍が合同での揚陸訓練などをやっており、茂も同じく陸自内の指揮系統のチェックを指揮していた為に円谷家及び織斑姉弟から少し離れていた。しかしながら、この一週間に様々な催し物が開催された。

 例えば、ダンスパーティーが開催され、イギリス・フランスの合同会社の幼い令嬢が初出場し初優勝したり、一般人全員参加型のクイズ大会とかが開催され、ハワイ諸島全島がお祭り騒ぎになった。また、その時のハワイ諸島での犯罪率が激減したのもある種の特徴であった。

 そして、一週間後。

 その日は、良い天候にも見舞われて、各国の国家元首や領事館員が多数出席し、また、その日はハワイ諸島周辺及び領空・領海の立ち入りが禁止され、物々しい警戒態勢を取っていた。

 その頃、

 簪と束が戦闘していた島の地下では、機械的な近未来的な工作工場が出来ていた。

「いよいよ、お初魅せだね。箒ちゃん。気分はどう?」
と、前の戦闘での最後で簪に四肢を切断され、首を斬られた筈の束が元気にじゃれ憑く様に放棄に尋ねた。箒は、
「大丈夫だ。姉さん、何時でも行ける!」
と自身満々に頷くと、工場内の広い空間に様々な機械や器具が円形に並べられ、その真ん中にある機械的な鎧の様な物が有った。それを箒が装着した。

 「IS(インフィニット・ストラトス)システム解放!さあ、行こう箒ちゃん!全世界の愚民達から古い概念を捨てさせよう。第0世代『緋騎士(あかきし)』何時でも行けるよ」
と束がGOサインを出した。箒は、両目を見開いて首に掲げてある束と半分にした宝石を見つめた後、空を見上げた。
「『緋騎士』出る!」
と言ってハワイ上空に飛び出した。

 「さて、私も仕事しますか!」
と言いながら、半分にした宝石を見た。そして、怪しく微笑んだ。

 宝石は、怪しくも美しく変わらずに輝いていた。


 
 


  
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