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エスカレーターの先は地獄に繋がっていた

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第一話 地獄への誘い

ー ーー これはヤバイ 。ーーー
それを実感するのにそう時間はかからなかった。
全身の感覚を熱が支配していた。背中に伝わる痛み。
全身に力が行き渡らない。感覚も麻痺していた。

確か俺は山音線の電車に乗るためにエスカレーターに乗った。
そこから記憶がない。 何故だろう。
財布も携帯も何もない。
周りに人など誰もいない。電車も通ってない。
いわゆる、「人生の詰み」 って奴なのだろうか。
絶望が俺の体を循環し、体の自由を奪う。

「地獄へようこそ。迷える子羊よ。」
声高い声が聞こえる。地獄....??
地獄だってぇえぇえええええぇええ?!!!!
俺は死んだのか.... 。悪い事もたくさんしたよな。
今日だって妹と喧嘩したし... 。あぁ、ついてないなぁ。
「ここから出る方法がひとつだけあります。」
「え...??」
俺の声を聞いたのか周りに罪人たちが集まってくる。
やはり地獄だって実感した瞬間だった。
だが.....
「ハイハイ 皆サン お昼ご飯のお時間デスヨ。」
その光景は異様で、何が起こっていたのか、理解できない。
地獄の罪人たちは仲むつまじく食事を始めた。ここの何処が地獄なのだろうか
平和そのものだった。
「驚かれましたか?? このように地獄にいる人々はもう善の心を持っているのです
ですがわたし達の祖先、彼らの影響によって地獄のイメージが固定されてしまった
そのことに我々も憤りを感じているのです。」
「.....」
「あ、そうそう。ここから出る方法をお教えしましょう。」
「....」
「我々の言う事をよく聞いてください。
先程申したとおり、わたし達の祖先の影響で地獄のイメージが定着しました。
つまりあなたには過去に戻っていただきます。」
「な?!」
「わたし達は死人ですがまだ生きている貴方なら出来る
わたし達はあなたをずっとずっと待っていたのです。」
「そんなこと...」
「地上にはおとぎ話や童話という滑稽なお話があるようですね。
それはもともと我々の黒歴史を天界のモノ達が面白おかしく編纂したものなのです」
男は一方的に話を続ける。おとぎ話というと〇太郎とか〇ンデレラとかいうあれか。
「我々も何度も過去へのタイムスリップを試みましたがせいぜい100年。
何千年、何万年も遡ることはできませんでした。
あなたには可能性がある。どうか過去へ戻り歴史を変えてください。」
「そんな、いきなり言われても、」
「お忘れなく、わたし達はこれでも罪人です。」
彼の殺気が伝わってきた。気づけば罪人たちすべてが俺を睨みつけていた
嫌だといえば間違いなく殺される。それは明白だった。
「わ、わかった。や、やればいいんだろ。」
ここから俺の苦労人人生が幕を開ける

 
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