IS レギオン
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第7話
束は洞窟内の奥部まで歩いて行った。
「はあ、何処まであるんだよ。この洞窟は」
とぶつくさ文句を言いながら、凹凸や隆起が激しい地面を滑るように進んで行き、まるで散歩するように歩いて行った。
そして、遂に洞窟の最終到着場所である開けた場所に辿り着いた。束は、自身の腕時計を見たが、電波状態が不安定かつ地中内の磁気の影響なのかGPSすら使い物に成らなかった。そこは、広くて、所々浅い所がある地底湖があり、ヒカリゴケの一種なのか、ほのかな光が湖面に反射し、辺りを幻想的な光景を創り出していたのであった。
「へえ、束さんビックリしちゃった。でも、これが危険な聖地なのかな。おや、なんか湖の向こうが光っているなあ。行ってみよう」
とバシャ、バシャと足が濡れることを気にせずに水深の浅い所を選びながら進んでいき、対岸に着いた。
そこは、束がこれまで見た事の無い量の金銀財宝やダイヤモンドなどの希少鉱物が山の様に積まれており、天井の一部が崩れて、深々と木々に覆われながらも日の光が木々の間から零れていた。
「わぁ、何なの!この素晴らしい光景は!箒ちゃんに見せて挙げたいなあ」
燈っていた携帯電話(束謹製)を取り出し何枚も写真に収めた。ふと、携帯のカメラ映像に何かが映り込んだ。
「うん、なんか大きな影が映った?」
と思い、その画像の影の正体を見るべく、膨大な量の財宝の数々の山を掻き分けながら進んいき、遂にその正体を見た。
「何だろう。このミイラみたいな生き物は?」
と首をかしげながら束は呟いた。
そのミイラは、巨大な鼻先から前方へ伸びる大きな角を持つワニとオオトカゲを合わせたような外見の四足歩行生物であった。そして、特徴的なのは、角の下の辺りに紅い宝石状の結晶体を有し、全身からは輝く棘を生やしていると言う事であった。その宝石は、今も怪しく輝いており、ある種の魔力を帯びているような感じがした。
それを見た、束は何かにとり憑かれた様に呆然と怪しげな笑みを浮かべていた。
「何かこの宝石を見てたら、なんか急に「自分の欲望に忠実に生きろ」っていうかんじがしてきた。そうだよ、もっと楽しい世の中にしてみよう。そして、世界をひっくり返そう!」
と今まで垂れていた機械的なウサ耳をピンと立てた。そして、その生物に近付き、埋め込まれていた宝石を無理矢理外して持っていたバックの中に入れた。そして、スキップするように地上に戻っていった。
宝石を外されたミイラ化した生き物の近くに土に埋もれた古代文字が刻まれた小さな石碑があった事など束は知らなかった。その碑文にはこう書かれていた。
「千年に一度誕生する悪魔。其の物の宝石決して見るべからず。その悪魔の名は、バルゴン」と。
一路日本に帰国した束は自宅に戻るなり、部屋に閉じこもり新たな自分の理論と今までの知識の元で新型の多目的深宇宙用活動服(インフィニット・ストラトス=無限の成層圏)の開発を進めていった。
主な特徴としては、従来の宇宙服よりも操作性と運動性、着用者の安全性などを考慮し、更に有害な宇宙線などを遮断し、緊急時の場合に着用者の安全性を確保することを目的にした。また、着用者同士の交信や地上からの交信もスムーズに出来るようにするなどの特徴もあり、従来の宇宙服を根底から覆し、人類史上新たな歴史を刻もうとしていた。しかしながら、この発明も根本に大きな問題を抱えており、一番の欠点としては、「女性しかこの服が機能しないと言う事」であった。
しかしながら、束はこの点についてはあまり問題にしておらず、「この束ちゃんも、できることとできないことがあるんだよ。当たり前じゃん、そんな事も解らないの?」との事だそうだ。
そして、足掛け一年遂に多目的深宇宙用活動服のプロトタイプが出来上がり、プロトタイプの写真と実物と研究資料などを世界的な学会で発表したが、その結果はあまり芳しくなく、一部(日本・オーストラリア・EU)のみが関心を示した。
「ほんと馬鹿な人達だよ、せっかく束さんが皆の為に作ってやったのに、こうなったら、馬鹿にした人たちをびっくりさせてやる!」
と憤慨しながら、束は、この発明を全人類に強制的に分からせる為にある計画を目論み始めた。
そんな姉を少し心配していた妹の箒は、
「姉さん、どうしたの?あまり無理しないで」
「おおう、うれしいねえ。大丈夫だよ、箒ちゃん。束ちゃんは元気だよ」
と元気で反応した束は、ふと、いい事を思い出したように箒に聞いてみた。
「そうだ、箒ちゃん。ちょっと相談なんだけどいいかな?」
「何、姉さん。私で良ければ相談に乗るよ」
「わぁ、ありがとう。じゃあ、ちょっと私が作ったスーツを着て欲しいんだ。いいかな?」
「良いけど、そのスーツってどこにあるの?」
と箒が聞くと、束は、桜模様のアクセサリーを取り出し箒に、
「これを持って、「起動」って言ってみて」
と言いながら渡した。箒は、
「起動」
と呟いた。
すると一瞬、箒の身体が光に包まれた。光が収まった後、箒の身体は機械的な服装に身を包んでいった。そして、頭部にも機械的な完全被覆型ヘルメット(いわゆるフルフェイス)が着装してあり、右手には巨大な両刃剣が握られており、それを見た箒は、
「姉さん。この装備は何なのだ?」
と聞いたが、束は、
「おおう、良いね、良いね、箒ちゃんカッコいいよ」
と無邪気に喜んでいた。
「さあ、箒ちゃん。少し、飛んでみよう。大丈夫、「飛べ」って思えば飛べるよ」
といった後、箒は「飛べ」って心の中で呟くと、箒の身体は自由な空に飛翔していた。
それを見た束は、にやりと不気味な笑みを浮かべ、首元に掛かっていた赤い宝石をいじりながら、
「さあ、始まりだよ」
と呟いた。
暫く箒は、IS(試作型)を身に着けて大空を自由に飛行していたが、束が箒に呼び掛けた。
「箒ちゃん、そろそろ戻って来て」
とIS内に内蔵されたデータ通信ネットワーク(試作型)の通話機能から束の声を聴き箒は、
「分かったよ、姉さん」
と返事をして、束の元に戻りISを解除した。
束は、箒のもとに駆け寄り、感想を聞いた。
「ねえねえ、箒ちゃん、どうだった?楽しかった?」
と無邪気に聞いて来て、箒は、今の経験が本当に起こった事なのか,ぼんやりとした頭を如何にか稼働させた。
「ああ、今の経験は本当に今起こった事なのか?姉さん?」
と聞いた。
「うん、そうだよ。それにしても箒ちゃん初めてなのに上手だったね。束さんビックリしちゃった」
と無邪気に返答した。
そして、そろそろ家に戻ろうとした時に束がふと、箒に話しかけた。
「そうだ、箒ちゃん、今度剣道の試合があったよね。束さん見に行くよ」
と話したのを箒はビックリしながらも
「ありがとう、姉さん」
と感謝した。その時、束は、首元に掛けてあった宝石を箒に見せた。箒は、最初見た時から、なぜか頭の中から欲望や願望が沸々と湧き上り、次の試合は優勝してやるという気になってきた。
「そういえば、姉さん。何時頃、この発明を発表するのだ?」
と箒は、疑問に思った事を聞いてみた。
すると束は、宝石を戻しながら、
「うーん、まだいろいろと手直しやら、設定やらがあるからまだ先だね。でもでも、この天才束さんは一年後位を目途に発表するよ。その時、箒ちゃんにも手伝ってほしいけどいいかな?」
「私で良ければいいぞ」
と返答した。
そして、一年後。
その間、それぞれの思惑や活動が交錯した。
フランスのある少女は、友達に呪いを貰い全身に「蛇」が巻かれたが、ある特殊な日本人によって、呪いを返され、元気になった。しかしながらその「蛇」は、友達に戻っていった。
ドイツのある少女は、ドイツのある地方で起きたバイオハザードに友達と巻き込まれたが、獅子奮迅の活躍をして友達と共に生還した。
イギリスのある令嬢は、ある日無機物生命体と出会った。その生命体は、無邪気に『カーニバルだよ!』と子供っぽく懐かれたが、その生命体は、単体でも恐ろしい力を秘めていた。
台湾のある少女は、ある日本の有名アイドル達と友達になり、親交を深めた。そこの社長曰く「もう少し早ければスカウトしていた」そうだ。
日本に住むある少年は、ある生物との融合後、力や能力を使いこなす為に義理の母に様々な訓練を受け、自分の力や能力の活用を制御できるようになった。
同じく、日本に住んでいた少女は、家を飛び出した後、ある島を襲い、さらに南にある島に来ていた修学旅行中のバスを仲間たちと襲い、その中のある少女の遺伝子情報を元にその少女に成りすまし、そのまま飛行機で南半球の大陸を目指した。
その少女の姉は、ある日本の暗部の一族の当主となり、訓練に明け暮れた.そして、様々な経験をした。ある時は、超常現象的なオレンジ色の髪の男性に逢ったりした。また、ある時は、赤い色の蛙にも出会ったりした。
其々が其々の一年を過ごし、遂にある「天才」もとい「天災」が活動を本格的に始めようとしていた。
後書き
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