Gフォース~正義の行方~
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第5話:ガイガンvsメカゴジラ
韓国のソウル
繁華街の中で市民たちは悲鳴をあげながらわれ先に逃げていた。
そこへ海からへドラがやってきた。
へドラは中国で以前、サムが倒したヘドロの怪獣だった。
ドロドロのヘドロでできたスライムのような怪獣で、肌は硫酸性の特殊なヘドロでできていたため触れただけで人が死ぬものだった。
へドラは体中を震わせると、猛毒の硫酸ヘドロを一気にビル街に向かって噴出した。
車やビルのような建物が硫酸で溶かされ。人々はヘドロの臭さと硫酸により、溶かされあるいは倒れて死んでいった。
すると、天空から何かがふってきた。
赤い怪獣だった。
巨大なツバサと、うろこのような肌、そして230mの巨体を持ったデストロイアは雄叫びをあげながらヘドロに包まれたソウルを踏みにじり始めた。
デストロイアの皮膚には、へドラの硫酸ヘドロは効果がないのか、デストロイアは大笑いをして、大きく太った腹を突き出しポンポンっ叩くとへドラに向かって片手を突き出し、かかってこいと挑発をした。
へドラは赤い目をさらに鋭くとがらせると、ヘドロで埋め立てられたソウルの中から複製へドラを多数出した。
そして、デストロイアの周囲を囲むと、一気に硫酸ヘドロを噴出した。
デストロイアの体はヘドロで飲まれ、まるで濁流に埋もれる動物のように、海へと流されていった。
複数体のへドラはその光景をバカにしたかのように、大笑いするとぼろ雑巾のような両手をパンパンと叩いた。
だが、憤怒に震えたデストロイアは海の中から雄叫びをあげると、姿をみせた。
そして、陸上に戻ると、近くにあったビルを踏みつぶした。
へドラの群れは敵が生きていたことに気づくと、複数いたへドラたちを合体させると、一つの巨大なへドラに変化した。
巨大なへドラとデストロイアは互いに取っ組み合うと、力比べをはじめた。
だが、デストロイアは巨大へドラを軽々と投げ飛ばすと、海へと放り投げた。
巨大へドラはデストロイアの怪力に悔しさのあまり、打ち震えた。
そんなへドラをみて、デストロイアは侮蔑するかのように大笑いをした。
そして、デストロイアは口先をとがらせると、白い光をみせた。
あらゆる物質を分子レベルにまで分解する物質破壊光線である。
一気にへドラのその光の刃を浴びせた。
巨大へドラは逃げることさえできず、その光線を浴びると悲鳴をあげながら爆発した。
デストロイアは勝利の雄たけびをあげると、ふと、天空に何かがくる事に気づき、上を見始めた。
銀色の装甲を身にまとった身長230mのメカゴジラだった!
ダニエル・アンダーソンはメカゴジラに搭乗していた。
ダニエルは金髪の髪型と蒼い目をした、端正な美少年だった。
まだ、18歳の若さであったがGフォースのエースパイロットでもあった。
父親をゴジラ騒動で失い、被災していたところを女兵士のユリに助けられそれ以来は彼女の助手・恋人として公私にわたり指導を受けていた。
サム・ブロディが離脱した今、ダニエルがメカゴジラに乗る以外ないからだ。
ダニエルのパイロット技術は目を張るものがあった。
サムでさえ、スーパーメカゴジラになってでしか倒せなかったデストロイアを彼はたったメカゴジラ単体で殲滅したのだ。
彼は今、韓国にいた。
デストロイアとはまた対決することになった。
「ダニエル、気を付けて。相手はデストロイアよ。油断してはいけないわ。」
モニター越しにビビアン・グレアム博士は告げた。
ダニエルは緊張し、黙って首を縦に振った。
デストロイアは邪魔者がきたことに怒りに震えながら、頭の角を向けると一気に突進してきた。
ダニエルは、それをにらむとメカゴジラの体をひねらせ一気に回避した。
そして、ドリルをデストロイアの腹部に突き刺し、肉を抉り取って行った。
グギャアアアアッアッアアアッ!!!!!
悲鳴をあげながら、デストロイアは地面に倒れた。
その追撃をするべくメカゴジラはさらにドリルをつかいデストロイアの体を傷つけた。
デストロイアは怒りに震えながら、尻尾の先にあるハサミをつかいメカゴジラの体をつかんだ。
だが、メカゴジラはそれをよけるとデストロイアの体を持ち上げ、放り投げた。
「いい調子ね、さすがだわダニエル。」
「ユリが、夜通し僕にいろんなことを教えたからですよ・・・。」
ダニエルはそういうと、照れ笑いをしながら腕をかまいさらにデストロイアに攻撃を食らわせようと、目の赤いレーザーを発射した。
デストロイアは空中でそれをよけながら、大きな翼を広げると、メカゴジラにとびかかり攻撃を加えようとした。
その時だった。
ダニエルはふと、センサーが反応をしているのをみた。
大きさ150mの物体だった。
ダニエルは首を傾げた。
フォードはほとんど、別の任務で忙しいしこのあたりに航空機は着陸禁止といっておいたはず。
それなのになんだろうか。
別の怪獣だろうか?
「博士、何か来ました。」
ダニエルはそういったその次の瞬間だった。
デストロイアの体に青白い光が降り注いだ。
そして、デストロイアの体を貫くと、メカゴジラの方にも降り注いだ。
メカゴジラは身をひるがえして、それを避けた。
すると、地上に青白い光は降り注ぎ、辺り一面に巨大な爆風がつつんだ。
メカゴジラはその爆風に海まで吹き飛ばされると、顔をあげて、覗き込んだ。
すると、そこには巨大な煙で包まれたソウルがあった。
爆風に巻き込まれたビルの残骸が海からみえた。
「なんてことを!」
すると、海の中にデストロイアの残骸とみれる尻尾が降ってきた。
そして、空から青いボディに身を包んだ怪獣がやってきたのを確認した。
怪獣は赤いバイザーのようなグラス、鳥のような嘴、そして合金製の皮膚を持っていた。
全体的にシャープな体をしていた。
腕の鋭いカマ、そして腹部のノコギリ。
そして、肩にはこう書かれていた「GIGAN」と。
ダニエルはそれが有機物でできた生命体ではなく、ロボット怪獣のようだと判断した。
メカゴジラのマイク越しにダニエルは怒鳴った。
「お前、何を考えてるんだ!」
しかし、ダニエルの怒りもむなしくガイガンの目は赤く輝くだけだった。
「博士、これはなんですか?」
「わからないわ、でも味方じゃなさそうね。」
ビビアンはモニター状にガイガンのことをみたが、何もわからなかった。
だがひとついえるのは、彼には感情がないということだけであった。
「どうしましょうか?」
「わからないけど、追い出しなさい。」
ダニエルは言われたとおりに突如やってきたサイボーグ怪獣にドリルの腕をちらつかせ無言の警告をした。
ダニエルは無駄な戦いはしたくなかった。
だが、今までの行動を見てガイガンは危険でしかなかった。
ダニエルはメカゴジラを起動させると、素早くフィンガードリルをガイガンに浴びせた。
だが、ガイガンの目が赤く光ると、周囲を巨大な電磁バリアが覆った。
電磁バリアに触れたメカゴジラの体は一気に巨大な電圧によって苦しめられた。
それは、パイロットのダニエルにも伝わった。
「ぐああああああっ!!!」
悲鳴をあげながら、ダニエルとメカゴジラは海の中へと倒れた。
すると、ガイガンの目はさらに冷酷に赤く光った。
「こいつっ!」
ダニエルはメカゴジラを立ち上がらせると、急いでとびかかった。
だが、ガイガンは素早く一瞬でよけた。
その動きの速さのあまり、残像が周囲にみえた。
「速い!」
ダニエルは警戒をすると、背後に衝撃を感じた。
ダニエルはきがつかなかったが、そこには鋭い、傷痕があった。
モニター状でそれをみていたビビアンは悲鳴をあげた。
「まずいわ、耐久力が下がってる!」
ダニエルはビビアンの報告を聞くと、じりじりと後退を始めた。
すると、今度はガイガンはメカゴジラのすぐ前方によった。
「うわっ!」
ダニエルが悲鳴をあげていると、腕部のカマをつかい、メカゴジラの前方を大きく切り裂いた。
メカゴジラは切り裂かれた衝撃で、後ろに大きく倒れた。
「なんて速さなんだ!」
すると、ガイガンは腕の中に隠されたチェーンを放つとメカゴジラの体を一気に縛り上げた。
鎖で縛られたメカゴジラの体は身動きが取れない状況にあった。
ダニエルはメカゴジラを操作し、もがき破ろうとした。
「離せよ!バカ!」
すると、ガイガンのチェーンから激しい電流が流れメカゴジラの体を包んでいった。
その電流はダニエルにも降り注いだ。
「うわあああああっ!!!!!」
ダニエルは電流に体を震わせ、激痛に苦しんだ。
メカゴジラの装甲の耐久率も徐々に下がると、メーターが赤くなっていった。
ダニエルはなんとか、レバーを引き上げるとその場から脱出しようとした。
「ダニエル、その調子よ。まず逃げなさい!」
すると、ガイガンは相手が逃げることを理解したかのように、チェーンのロックを外すと、巨大な羽を広げ空中へと去って行った。
その素早さはまさに、光の速さそのものだった。
翼を広げた次の瞬間には残像を残し、去って行った。
ダニエルはその様子をみつめ、悔しそうにため息をつくとコックピットの中で気を失い倒れた。
その様子を見ていたビビアンは冷静に救出ボタンを押すと、オートパイロットモードに指定して基地に戻すようにした。
だが、ビビアンには理解できなかった。
あの怪獣、「GIGAN」ことガイガンとは何か。
なぜ、我々の邪魔をしたのか。
すると、ビビアンの背後にガードマンがいた。
ガードマンは警察を連れていた。
ビビアンは彼らをにらむと、冷たくこう告げた。
「何の御用でしょうか?」
「フォード・ブロディ少尉が殺害容疑で指名手配されております、今後彼が捕まるまで我々がここを監視、警備いたしますのでよろしくお願いします」
ビビアンは警官の言った言葉が信じられなかった。
そして思わず言葉をなくしてしまった。
フォードが殺人?
そんなことはできない。
「誰を殺したの?」
「ウィリアム・ステンズ提督です。指紋があります。彼を殺したあと彼は警官複数を倒して逃走した模様です。」
フォードが提督を殺したですって?
ばかばかしい。
フォードは提督を尊敬していたのに。
ビビアンは目を大きく見開くと、警官をにらんだ。
そして、怒りに震えた声でこういった。
「警察もとんだ無能ね。私は彼の無実を信じてるわ。」
一方、ワシントンではシンクレア上院議員が今までの戦いを上層部にみせていた。
シンクレアがメカゴジラを襲ったのはガイガンの性能をみせるためであった。
現時点で最高の能力を持ったロボット怪獣をはるかに凌駕する存在であることを証明するために襲撃したのだった。
「どうお思いですか?みなさん?メカゴジラよりも機能ははるかに上です。」
すると、モニター上に浮かび上がったアジア系の老婆が訪ねた。
「議員、それとドローンがどう関係するのですか?」
するとシンクレアは微笑みながら告げた。
「ハンさん、ドローンはガイガンの命令に従い動くのです。ドローンが一兵士であればガイガンはまさしく、指揮官といってもいいでしょう。」
「どのように動くのかしら?」
「この基地のコンピュータから指示を出せば、それで終わりです。ドローンはテロリストや犯罪者を追い詰め、ガイガンは怪獣を追い詰める。まさしくこれこそ未来の安全保障なのです。」
すると、シンクレアに黒いスーツを着た白人男性が訪ねた。
ハンサムな容姿をした30代ぐらいの青年だった。
「議員、ではパイロットはいるのですか?」
「いい質問ですな、それについて実際にみなさんそして世界中の人々により、わかっていただけるように目の前でデモンストレーションを行う予定です。何もおきません大丈夫です。」
議員が話をしていると、太った中年男性が近づいた。
男は今にも落ちそうな眼鏡を支えながら議員に伝えた。
議員は話の邪魔をされたことを少し不快に思いつつも、男の話に耳を傾けた。
「フォード・ブロディが逃走しました。」
議員はより、一層微笑むと老人たちに顔を向けた。
「みなさんも心配になっているでしょう、ではガイガンを操るパイロットは誰か?これから数時間の間、みなさんに今日の最後のプレゼンを行います。」
議員は中年男性に顔を向けると、表情を冷厳なものにした。
そして、冷たく告げた。
「彼女を解き放て。」
シンクレアの言葉を受けた中年男性はオペレーターたちに指示を出した。
その指示を受けたオペレーターたちはボタンを押した。
すると、空中を移動するガイガンの背中から一つの四角い脱出用ポッドが飛び出した。
その中には一人の女性がいた、身長は女性であったが187㎝あった。
そして、彼女の片腕は機械でできた義手をして目は赤いゴーグルに覆われていた。
やがて、脱出用ポッドはアメリカの山の中に落下していった。
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