魔法科高校~黒衣の人間主神~
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九校戦編〈上〉
九校戦二日目(3)×武装一体型デバイス試し斬り
「お兄様、お邪魔致しましてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ、開けてあるから入っても問題ないよ」
「失礼します、お兄様」
「遊びに来たよお~」
「お邪魔しま~す」
「「お邪魔します」」
「邪魔するぜえ~」
「失礼するよ」
深雪、エリカ、美月、ほのかに雫、レオ、幹比古の順で声をかけながら入ってきた。ここはツインだけど今は蒼太がいないからか、ベッドや椅子に座ったりしている。机に置いてある無造作に置かれた物に気付いたエリカが興味を示した。
「一真君、これって模擬刀?刀じゃなくて剣」
「これは模擬刀でも剣でもない」
「じゃあ、鉄鞭?」
「この日本に鉄鞭を好む者がいるとは思えない」
「好む者がいないとすると・・・・これはなあに?・・・・あっ、もしかしてこれはCAD?あと柄の先にあるスロットル部分は?」
手に取ったエリカは表裏を眺めていたら、グリップの上端にトリガーに気付いて声を上げた。だけど柄の先にある四角い何かを入れる物については分からず仕舞いだったけど。
「正解だ。武装一体型デバイスで、完全単一魔法に特化したCADと、その魔法を利用した白兵戦用の武器を一つにまとめた物だ。あと先にあるスロットル部分は、対人戦闘向きと対ドウター戦用のメモリを入れるスロットルだ」
「へぇ・・・・・。対ドウター戦ってアレの事を目的としてここにメモリがあるのね、でも四つあるけど?」
「ルナメモリとメタルメモリは対人用のを、ホーリーメモリとブレードメモリは対ドウター戦と分けてある」
エリカの質問に答える俺であったが、ここにいる四人は対ドウター戦について疑問符を浮かべた。でもここにいる深雪とレオにエリカは実際に体験した事だからなのか、理解していたけど。武装一体型デバイスが珍しいだけでなく、この剣が初めて見る形でもあるのか手に持って見つめるエリカだった。
「あのー、対ドウター戦って何の事?」
「ああ。そういえば美月と幹比古に雫とほのかは知らないんだったな。いつか時が来たら分かるけどな」
「ドウターについては一応秘密だもんねえ~」
「おうよ、アイツらの力は並みの魔法師でも倒せねえからな。専用武器じゃないと倒せない敵とでも言っておくか、一真」
俺はそうだな~と言いながらドウターについて詳しく語る気はないし、雫とほのかは見た事あるが記憶操作で対ドウター戦の時は消しているからな。深雪は例の玩具と言いながら、美月と幹比古はあまり興味がなかったようだから新しい物よりいつも使っている物の方が愛着ありそうだな。エリカから取り上げる。
「レオ」
そう呼んだら、放り投げた」
「おっと!一真、危ねえじゃねえか」
とか言っておきながら、本当は触りたくてウズウズしていたかのように見えた俺だった。恐らく近くにエリカがいるからなのか、対抗心を起こして興味なさそうな雰囲気を見せていたレオだったけど、待ってましたとばかり柄を掴みとった。俺は抗議を無視してからレオへ視線を向ける。
「試したくないか?」
「えっ、俺が?」
レオの顔が一瞬にやけたが、その素振りはエリカや俺だと分かりやすい反応だなと思った。
「武装デバイスは、渡辺先輩がバトル・ボードで使用した硬化魔法を応用した打撃武器でもあり、スロットルにメモリを入れる事により使用者自身で硬化魔法で防御しなくとも、メモリの力で防御できるようにした。柄部分にメモリを変える事で、斬撃武器にもなるからお前に向いていると思ってな」
「一真が作ったのか?」
「まあな」
「ちょっと待って」
レオと俺の会話に、幹比古が割り込んできた。まあ予想通り昨日のが今日出来たなんて普通はあり得ないとでも思ったのだろう。
「渡辺先輩の試合は昨日だよ?それをたった一日で作ったのかい?あり合わせの物には見えないけど」
「部品自体もワンオフで作った物だ、それにこのメモリの力を最大限に発揮するように作られている」
「まさか手作りなのかい?」
「そんな訳ないだろう、知り合いの者に設計図のデータを送って作ってもらった物だ」
内情を知っている深雪は「知り合いの者」というのはあそこかと思ったのであった。それとメモリは一真の創造の力で一から創ったのだろう。
「さてと、レオ・・・・試したくないか?」
「いいぜ。実験台になってやるよ」
「堕ちた」
そう呟いた雫の一言が、友人達の抱いた印象を簡潔に代弁してくれた。次に取り出したのは、いつも使っているタブレットを空間から取り出した。俺と深雪以外はいつも思うが何もない空間から物を取り出すという行為は、どういう魔法なのか仕組みなのか知りたくてしょうがない状態となっていたのでエリカが聞いた。
「いつも思うんだけど、何もない空間から物を取り出す行為はどういう仕組みな訳?」
「俺も気になってはいたんだが、魔法なのか?」
俺はタブレットをいじりながらだったからか、しばらく答えなかった俺の代わりに深雪が答えたのだった。
「お兄様の代わりに答えるけど、これは魔法ではないわ。特殊な力とでも言っておこうかしら」
「特殊な力って、超能力者じゃないんだから」
「それに近いけど、それも違うのエリカ。空間から物を取り出すのは、異空間にある自分の持ち物を一時的にしまっているだけ。この部屋から隣の部屋に行くには、ドアを開けて隣に移動するけど空間から物を取り出すとしたらこの壁をすり抜けて物を取るようなものよ」
「まあそう言う事だ、レオ。これでも見ておけ」
マニュアルのページに辿り着いたので、タブレットを念力で浮かしてレオの所に向かわせる。この力は?と質問されたので念力だと答えたら、超能力者と同じと考えたらしいが、正しくはエレメンツの一つであるエスパーを使ったに過ぎない。本当は仮想型の端末を使う事にしてあるが、タブレットにあるマニュアルは映像付きのだから大丈夫。試作デバイスのテストは、夕食後、九校戦会場外にある屋外格闘戦用訓練場を使わせてもらった。ホントはエリカの手配だが、ここには軍関係者の友がいるので俺が使用許可を求めたら顔パスで通ったようなもんだ。エリカはここに来てから自棄になって実家のコネを使いまくっている。というのが本来の事になるが、そんなの使わなくとも実家の影響はないに等しい、懇親会の場でも千葉家と吉田家の当主にはエリカと幹比古の意思を尊重しろと言った気がする。
「レオ、使い方は理解したか。それとメモリを入れるホルスターも腰にあるな?」
今後必要になると思って作ってみたもんだし、対ドウター戦でも使えるもんだからメモリを使うための剣でもある。まあ量産型聖剣エクスカリバーや手甲もいいが、こっちの方が合っていると思うけど。それに魔法以外の技術は、ライフルビットやソードビットで使っている。
「おう、まあな。それにメモリを使った事もそうだけど、ホントにあんな事が出来るのか?」
あんな事とはマニュアルにあった動画だ、それを見たレオは疑問だったけど。
「それを確かめる為のテストであり、対ドウター戦で役に立つかも兼任だからな。メモリテストは後でやる」
「そりゃそうか」
ここの訓練場はホテルから歩いて三十分程の距離があるし、ここには俺とレオ以外には蒼太と沙紀もいる。恐らくメモリの使い方でも教えに来たのか、沙紀を使った的になるつもりで来たのか。昼間ならともかく夜中で町中じゃなく山中の軍事演習場、深雪やエリカの相手を桜花と結衣に任せてきたから問題ない。まあ一応エリカの監視を美月に頼んだ。
「よし、始めるとするか」
「りょーかいだ、行くぜ!」
最初は試し打ちでもあるからか、人形もない。何もない状態で、武装一体型デバイスの動作を確認する。レオは柄尻に付いているスイッチを捻ってから、カチッと鳴りグリップ上端のトリガーを人差し指で押し込むとサイオンを流し込む。レオの外見から受ける印象と違い爆発力はないし、粘り強い持久力に優れたサイオン供給。タフでスタミナに溢れていると言った方がいいかもしれない。個人用に調整されてないデバイスは、術式構築のアシスト機能が働いていないから起動式から魔法式を構築するコンパイルのプロセスはそれなりの時間を要した。実習の成績よりかは早いが、得意魔法だからかもしれないしデバイス及び起動式の性能がいいのか。
「おっ?浮いたぜ~!」
「成功ですね、おめでとうございます一真様」
「まあな。これは沙紀が使っているビットシステムを剣を持ちながら浮かせるという方法を思いついた考えだ」
剣を振るうと、浮いた刀身が思ったように動く。しばらく浮いているが、0と言ったらカウントと共に浮いていた刀身が手元に戻ってきた。刀身の切れ端と繋がり一本になったけど。
「大成功だな、一真」
「まあな~。このシステムは元々俺達が持っている技術を魔法化させてみたと言っていいほどだ。分離した刀身と残った刀身の相対位置を硬化魔法で固定する事により、刀身を飛ばすという事をな。硬化魔法の定義内容は相対位置の固定だからか、固定概念を取っ払えば接触してる必要はない。このデバイスの作動形態は飛ばすより伸ばすが正解だ。間が中抜けになる事で、刀身の延長線上しか動かない訳」
「その方が余計な事を考えなくとも済むぜ、一真がよく使う剣を使っているようなもんだし。ところで今はどうやって繋がっているんだ?」
「電流を流す事で、磁石のように繋がっていると考えればいいさ。飛ばす時だけ電流を流し、形状記憶合金だから金属が覚えてる。次はメモリの実験をしようか、蒼太」
そう言うと蒼太が来た後に、各メモリの説明をレオでも分かるようにした。このメモリをレオ専用のにしたから、外した時に落としたとしても手元に戻ってくるようにした。それにホルスターの中には対人戦闘用と対ドウター戦闘用に分けているからか、分かりやすくて取りやすくしてある。ルナメモリとメタルメモリを押した後にスロットルに差しこんだ後に再び使うと、レオが二人になり本人も驚いていたけど本人同士でなおかつ蒼太が警棒でレオの身体に攻撃をしても身体を鋼鉄にしているので、問題なく機能した。
「おいおい、俺が二人になるってどういうことだ?」
「二人に分身したり、刀身の数を増やせたりできる。それについては使用者の頭でイメージすると出来るようにしてある」
そう言ってから、またメモリの力を使うと刀身が一つなのがレオ周辺に二個から五個に増えたのだった。それに加えて幻術なのですり抜けると考えるがメタルメモリの力で分身のも実体だと思わせる事ができる。それと増えた刀身は、使用者のイメージではなく機械で動かしているからレオが困惑しないようになっている。
「なるほどな、だからルナメモリとメタルメモリのコンビで俺が分身できたり刀身が増えたりできるのか。飛ばしている最中の間合い変更は出来るのか?」
「可能だ。ちょっと調整すれば使用者のイメージ通りの間合い変更が出来るし、今は分離間隔の関する現代魔法ではのになるが俺らの技術を魔法だと周辺の眼を誤魔化せられる。あとはこのメモリも使ってみてくれ、分身体となった刀身にスロットルがあるはずだ」
で、分身体となった最初の一つにスロットルを発見したレオにあるメモリを鳴らしてからスロットルに差し込んだら、刀身の分身体が更に増えてまるでシールドビットのような動き方になった。数分間経つと刀身が一つになるが、使用者がまだそのメモリを使う場合のみ浮かぶ刀身の中に吸収する形になった。
「これはまるで私が使うビットの動きのようですね」
「へぇ~これなら俺が攻撃している間に守備がガラ空きの時は、とても助かるが他からの眼で見られると魔法とは言えねえんじゃねえの?」
「心配ない。これは蒼い翼の魔工師が開発しましたと宣伝すれば問題ない、質問されるのはレオじゃなくて俺らが相手だからレオには一切ないから安心しろ。それにこれは表は対人戦闘向きだが裏では立派な対ドウター戦向きだから、それだけは忘れるなよ」
「おうよ、じゃあ次はダミーを頼む」
俺は了解と言った後に、タブレットで操作すると地面から実物大の藁人形が六体出てきた。
「・・・・おいおい、今時藁人形って古いな。呪うためのじゃないだろうな?」
「・・・・一真に同感だが、誰の趣味何だ。これは・・・・」
「恐らく真剣の試し斬りの時かと、それに呪うのであればもっと小さい藁人形ですよ」
再生可能なバイオ素材が今の時代の主流とはいえ、まさかの一世紀前のが出てくるのはさすがの俺や蒼太に沙紀も唖然した。昔、夜中の神社にある神木に女が相手を呪い殺すための藁人形があったが、まさか今見れるとは思わなかった。
「・・・・とりあえずやるか、試し斬りにはちょうどいい。あと沙紀はIS展開をしてから、レオの相手を頼む」
「藁人形だとやる気半減だがまあいいか、あとで沙紀さんが飛びながらの的となってくれるのは助かるんだが本当にいいのか?」
「大丈夫です、ISは魔法が武器の相手でも無力化するので。それに模造刀くらいでは、ダメージにはなりませんよ」
レオは空いている左手自分の頬を張って気合いを入れ直すと、藁人形に向かって構えを取る。既にレオのデバイスには三つのメモリを入れてあるから、使用者がやりたい事をやってくれるようにしたからな。刀身が浮かんでからいくつも分身体が出てきてから、最初の浮かぶ刀身で腕を振るうと標的である藁人形を叩き潰す。藁人形が速度を上げて来ると、レオは浮かぶ刀身を分身体にしてから目でターゲットを選び次々と藁人形を叩き付けた後に最初の刀身に戻り、元の状態に戻った。
「結構腕に来るな、だが慣れちまえば問題ないだろう。それに俺が目でロックオンすると分身体が、自動的に行くから便利ではあるな」
特に痺れた様子はなさそうだ、まあレオのような身体を動かしながらのだと結構腕の力も強そうだし問題なさそう。藁人形を全部叩きつけたら、次は沙紀の出番となりISを展開させた後にセラヴィーとなった。まあISの防御力はそんじょそこらの銃器やミサイルや魔法での攻撃も難なく耐える代物だからか、動きまくる沙紀を狙って分身体が沙紀を狙う。
たまに攻撃をするが全て分身体に守られるので、大丈夫と思った俺はモノリス・コードで使用するなら直接打撃は禁止だがこれなら刀身が宙に浮いているから心配はないけど、俺が出るのは分からない。数十分後に訓練は終了だと言った後に明日筋肉痛にならないように、回復をレオに与えたところやる前に戻ったがデバイスを使う癖を学んだからよかったと思って部屋に戻った。とりあえずこの試作品は俺が預かる事にしたから、メモリもホルスターごと預かった。
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