魔法科高校~黒衣の人間主神~
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九校戦編〈上〉
九校戦一日目(3)×魔弾の射手と優勝簡易祝杯
「一真君、こっちこっち!」
スピード・シューティング女子決勝トーナメント会場。玄信達とのティータイム終了後蒼太と深夜達とも分かれて戻ってきた時は、スタンドは既に満席だった。俺が待ち合わせメンバーの姿を探すと、俺を先に見つけてくれたエリカの方から声がかかった。まあ風の精霊や気配で何となく分かったけど。
「準々決勝から凄い人気なんだな」
人の波をかき分けるかのように進んでから、エリカの隣の席に座る。ついでにドライグ達も中に戻してからこっちに来たが、あまりこいつらを見せたくないし使い魔だと間違いやすいからだ。
「会長が出場されるからですよ。他の試合は、これほど混んでません」
俺のセリフが独り言のような感想を深雪が拾ったので、俺はへえーと言いながら深雪の方を向いた。向こう側にレオと幹比古でエリカの後ろに美月、俺の後ろにほのかと雫がいた。幹比古は本来熱気にやられているが、俺が幹比古に熱気を与えないようにした為かダウンしていなかった。ほのかは俺の後ろではあるが見づらくなさそうだった。
「それより幹比古、俺がやっといて正解だったろ?」
「あ、うん。ありがとう一真」
「幹比古に何をしたんだ?」
「熱気で気分悪くなるかもしれないと思ってな、午前中が終わった後に幹比古と美月に熱気を浴びても遮断するような結界というか、シールドを張った」
「なるほど、だからなのですね。私もメガネを掛けていなかったらダウンしていたのに、全然ダウンしないのでなぜだろうと思ってました」
特に感覚が鋭敏になる二人を結界による物で、熱気遮断をしたお陰で気分が悪くなったりはしていないようだ。まあこういう熱気対策を前から考えていたからやっといて正解だったと思ったが、会長が姿を現すと嵐のような歓声がスタンドを揺らしたのだった。スタンド周辺にあるディスプレイが一斉に「お静かにお願いします」のメッセージを映し出して静寂になった。その分熱気が強まったが、対戦相手が気の毒だなと思った。人気選手の相手をするのは、競技の種類によらずに強いプレッシャーが付くが相手を気遣っているように見えた。会長は観客の応援など存在しないかのような感覚を持ちながらデバイスのトリガーロックをし、開始合図を待っていた。開始シグナルが鳴ると同時にクレーが射出されたようだった。
「上手い!移動魔法で白のクレー同士をぶつけて破壊している。一気に二点だ!」
空中を白い円盤が乱舞する中、会長が撃つクレーの色は赤。赤く塗られたクレーを有効エリアに飛び込んできた瞬間に同時に撃ち砕かれて行く。後ろから聞こえた「凄い」という声が聞こえるが確かに凄いが、戦術的には賢くはないが先に自分のターゲットを撃ち落とせば、相手は自殺点を心配しなくても良くなるからだ。だから相手選手も手当り次第に攻撃可能となる。相手選手も死角があれば撃てないと判断したが、それはミスだな。どんなに命中精度がよくとも直線軌道には限界があっても、俺らでいうビット攻撃なら死角無しで撃てるからだ。
「『魔弾の射手』・・・・これはとても厄介な魔法だな『まるで俺らで言うならライフルビットで死角無しの攻撃をしているという事だ』情報によると去年よりも速くなっているらしいな」
空中を乱舞するクレーから目を離さず、頷く仕草だけで深雪も理解しながらだった。白いクレーの向こう側を飛ぶクレーを下から撃ち抜くドライアイスの弾丸。誘導弾では無い事くらいは分かっているし、白いクレーと赤いクレーが同時に射出された後に真下から魔弾を作りだすのではなく銃座だ。スピード・シューティングでも魔法で弾丸を生成して狙撃する会長の戦い方をする選手は例外で、クレーに移動魔法をかけて別のクレーにぶつけて破壊する。という戦い方がこの競技の主流で、魔法は物理的な障害物に左右されないのだから、今のようにブラインドになった標的破壊するのに特別な技術を使用する必要性は本来ない。
『魔弾の射手』と名付けられた遠隔弾丸生成・射出の魔法は、何を目的とし如何なるメリットを有するのか。他人が魔法を使用している領域外から死角をついて攻撃する事が出来る、という点だけだ。対戦で、互いの振動魔法を撃ち合った場合には、魔法対象となる紅白の標的が接近している時、互いの魔法が干渉して魔法発動しないか超音波による衝撃波を撒き散らすとかを引き起こす場合がある。
「『魔弾の射手』はドライアイスの弾丸を撃ち出す魔法『ドライ・ブリット』の射出点をコントロールするバリエーション。十師族・七草真由美が得意とする殺傷ランクある魔法だ。スポーツ競技ならまだしもここが戦場で前線だった事を想像してみろ、殺傷能力を最大にしてみたらの場合をだ」
そう言ったら皆顔を暗くしていた、死角のない遠距離攻撃をしてみたらどうなるか。まあ俺達も魔法ではないが、ビットによる死角攻撃をしているからかこうなったとしても守れる事は可能だ。対戦型スピード・シューティングは魔法発動速度と魔法力の集中を要求されるが、会長は魔法行使領域外から狙撃する事で一人で魔法を行使する事となっている。そうなれば自然的に速度と照準を精確さの勝負となる。
「まあ今の日本は、一人で戦争を勝利から導く切り札とも言えるのが、日本最強の魔法師集団である『十師族』というもんだが。勘違いしては困る事もある、確かに魔法では最強だがそれは人間相手だったらの話だ。世界最強の組織というのが『ソレスタルビーイング』というもんだ」
一日目の競技で、スピード・シューティングは大方の予想通り、男子部門と女子部門で一高が優勝した。
「会長、おめでとうございます」
あずさの祝福に、真由美が笑顔で頷く。
「ありがとう。摩利も無事、準決勝進出ね」
「まずは予定通りだな」
既に夜になり、夕食と入浴を終えてからあとは睡眠で英気を養う時間であるが、真由美の部屋には女子生徒会役員と風紀委員長が集まっていた。初日が終わったばかりであって、明日も競技がある真由美であるが今はジュースで乾杯という簡単な祝杯を挙げていた。本格的なのは総合優勝の後になるが、女性限定になったのは時間を考慮しての事だが別にパジャマパーティーという訳でもない。男性がいても別に迷惑でもないが、女性のみというと。
「少しヒヤっとしたが、服部も何とか勝ち残りか」
摩利がヤレヤレという口調には理由があっての事、本戦の男子部門の戦績が思ったよりパッとしなかったからだ。スピード・シューティングは予想通り優勝を果たしたが、バトル・ボード予選で予想外に苦戦していたようだった。
「CADの調整が合ってなかったみたいです。試合が終わってからずっと、木下先輩と二人で再調整してましたけど・・・・」
「まだ終わっていないようですね」
あずさの言葉を受けて、鈴音が端末で各スタッフの作業報告を確認した。
「木下君も決して下手じゃないんだけど」
「残念ながら、名人とも言えないな」
一応木下を弁護するように見せた真由美だったが、摩利の評価に反論せず苦笑を漏らしていた。木下の所為とばかりとは言えないが、ここ最近服部が不安定だと言うあずさに対して選手を弁護するのがエンジニアの腕とそう言いバッサリと切り捨てた。選手側とエンジニア側では見るところが違うと言いたいが。
「幸い、はんぞー君は明日オフだし、本人の気が済むまでやらせてあげるしかないでしょう。・・・・でもそうすると、明日の木下君の担当をどうするかが問題ね」
「木下君は女子クラウド・ボールの副担当になってます。サブですので、抜けても問題は生じないかと」
「そうねぇ・・・・イズミんがいるから大丈夫とは思うけど・・・・・」
「和泉一人に任せるのもリスキーじゃないか?クラウド・ボールのコートは六面だ。一回戦でも二試合が同時になるし、一回戦を三人全員が勝ち抜けば、二回戦は三試合同時。真由美は自分で調整できるとしても、残る二人分を一度に調整する必要が出てくるかもしれない。各試合のインターバルが長く取ってあるとはいえ、時間が足りなくなる事態も十分予想される。その為のサブだろう?」
鈴音は真由美の判断を支持したが、摩利が難色を示した。それも、調整の重要性を理解しているからこその異論で反対の為の反対、議論の為の議論ではない。限られた人員の中でのやりくりは難しい問題らしい。
「男子のサブの石田君を女子兼任するのは如何ですか?」
女子の試合は午前、男子の試合は午後。鈴音の提案は、スケジュール的には可能だけど午前も午後では石田という者の負担が大きい。
「では本戦の時に空いている織斑君では如何でしょうか?」
「確かにそれはいい手だが、あいつの技術を公にするのは嫌がってなかったか?」
「それについては大丈夫です、お兄様の技術は見られないように細工してますから」
という事で一真に伝える役になるはずが、深雪は携帯端末を開いてから一真の声を聞いたら何を作業している時だったので口頭で伝えた。そしたらすぐに切れたが、一真は何をしているかというと剣型の武装一体型デバイスを作成してから牛山のとこに送信した。その後俺の部屋にいたのは、深夜と真夜で擬態前の姿となった俺は夫婦の営みを部屋でやった後に今度は桜花・結衣・沙紀とシて浄化後に地下温泉で身体を流した。そして今回は桜花と一緒に寝たけど、隣のベッドには蒼太もいたけどお構いなくという感じだった。
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