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ホモセクシャル

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第七章

「今ここで私に罰を与えるでしょう」
「そうなると」
「ここで」
「そうです、今ここで」
 まさにこの礼拝堂で、というのだ。
「私に罰を与えるでしょう」
 こう言いつつ主を見る、しかし。
 キリストは十字架で穏やかな顔のままだった、その顔で三人を見ていた。そうしてそのうえでなのだった。
 ジョーンズは二人にだ、あらためて言った。
「どうやら」
「はい、神は私達を」
「許して下さったのですね」
「その愛が純粋なら」
 そうしたものなら、というのだ。
「神は許して下さるのですね」
「同性であっても」
「それでも」
「そうです、私も今そのことがわかりました」
 ここで、というのだ。
「そうだったのです、では」
「これから二人で」
「愛を紡いでいきます」
 二人も誓った、そして。
 二人はジョーンズに深々と頭を垂れてそうしてだった。
 心から礼を述べてだ、そのうえで二人で礼拝堂を後にした。そうして。
 ジョーンズは二人を見送ってからだ、礼拝堂に戻って来たナンシーにこう言った。
「私は間違っているのかも知れませんが」
「それでもですか」
「純愛ならば」
 それならというのだ。
「私はいいのではと思いまして」
「それで、ですか」
「彼等に答えました」
「例え同性でも」
「それが純粋な愛ならば」
「そうなのですね」
「それは間違っているのでしょうか」
 ジョーンズは考える顔だった、その顔で深く考えそうして出している言葉だ。
「私は」
「私は間違っていないと思いますが」
「キリストの教えでは」
「やはり間違っているでしょう」
「ですが、ですね」
「はい、牧師様が愛し合う二人を認められたことは」
 このこと自体はというのだ。
「素晴らしいです」
「左様ですか」
「そうです、ですから」
「間違っていてもですね」
「胸を張られるべきかと」
 これがナンシーの言葉だった。
「純粋で清らかな恋愛を認められたことは確かですから」
「だからですか」
「そうです、そのことは確かですから」
 だからだと言うナンシーだった、そして。
 その話を聞いてだ、ジョーンズは。
 また礼拝堂の十字架を見た、そこにいる主はというと。
 優しい微笑みを浮かべているだけだった、その主を見てだった。
 ジョーンズはその前に跪き深々と祈った、ナンシーも彼に続いた。主はその二人を微笑みをたたえ優しく見守っていた。


ホモセクシャル   完


                              2014・6・21 
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