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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第16話 中国と言えばカマキリというのは偏見ではない気がする

 
前書き
どうも蛹です。
最近、投稿するペースがどんどん落ちています。
しかし、私の中のバグレイダースは死んではいません!
今だ私の中で燃え続けています!!(何言ってんだコイツは)

今回は新しいキャラが登場します。その人はかなり大きな問題を抱えています。
あと、ショーすると言った割にはできずにいた彼らが出て来ます(覚えてる人いるかな?)

それでは第16話、始まります!! 

 
 ダダダダダダダッ!

 バタンッ!

「帰ってきました!」
「わぁ、どうした突然!?」

ドアから駆け込んで来た雨の声を聞いた全員は驚いた。

「誰が帰って来たんだ?」

アスラの問いに雨は答えた。

「ぜひとも合わせたい人なんです!急いで来てください!」

彼女の性格からは想像できないはしゃぎ様を見て 
よっぽどのことだと思った全員は急いで彼女に着いて行った。



    **********



ー森 山の上ー
「将軍、将軍!」

衛兵は将軍を揺さぶって起こそうとしている。

「起きませんね‥‥‥‥」

衛兵がそうつぶやくと別の衛兵は言った。

「お前新入りか?起きるわけねぜだろ。将軍は今 仕事中なんだからよ」
『仕事中?ただ寝てるだけじゃないか』

そう思ったが彼はその言葉を口には出さなかった。



    **********



「な、何じゃこりゃァァァァァァーーーーーーッ!!!」

建物の外に出てみると、そこには大量の″鎧虫″の死骸が山積みされていた。

「ここまでの実力者がいるのか‥‥‥」

迅はつぶやいた。

「私たちの村の最強の″鎧人″の力です」

雨は自慢げに言った。

『もしかしたらあの時の“蹴り入れた奴″もそいつか‥‥‥?』

迅はそう思ったがおそらく違うだろう。なぜなら、その死骸は
まるで刃物で切られたかのように、綺麗に切り裂かれていたからだ。

『じゃあ、アギトの事か』

もしかしたらアギトの正体がわかるかもしれない。否、わかるだろう。
そう期待した迅は雨に訊いた。

「そいつはどこにいるんだ?」

雨は少し辺りを見回した。

「えーーーっと‥‥‥あっ!見つけました!」

雨は全員の立つ位置の向こう側を指さした。
全員は首、もしくは身体ごと後ろに向いた。

「‥‥‥‥ん?」

そこには茶髪の男が立っていた。
目が少しツリ目のなかなかの美男子だった。

「あんたが‥‥‥‥‥アギトか?」
「えっ!?」

全員に緊張が走った。しかし、彼の答えは迅の予想とは違った。

「‥‥‥‥‥違う」

迅は少し驚いた表情になった。

「誰のことを言っているのかは知らないが、少なくともオレはアギトじゃない。
 オレの名は豪《ハオ》だ」

確かによく見てみると身長が違う。
アギトは意外と小柄だった気がする。闘気で分かりずらかったが。
それに声も違った。もう少し声が低かった覚えがある。

「すまなかったな、死骸の損傷が知り合いの攻撃に似ていたんでな」

迅は右手を差し出した。

「よろしく豪。オレは迅だ。」

それに続いて全員が名前を言い、握手をした。

「雨、この人たちか?その‥‥‥森に倒れてたのって」
「はい、そうです」

豪は全員を軽く見回した。

「その割には元気だな」

雨は確かに、と思ったが口にはしなかった。

「‥‥‥‥ギ‥‥‥ギィィィィ!」

 ブオッ!

3mぐらいの″鎧虫″がまだ生きていたらしく、足を振り下ろした。

「危ないッ!」

 ガキイィィィン!

豪は腕で″鎧虫″の足を受けた。

「嘘だろ!?」

アスラはその光景を見て、驚いた。

「まさか‥‥‥‥"侵略虫"か!?」

足を受け止めた豪の左腕は、カマキリの鎌の付いた黄緑色の腕になっていた。

「いや、違う」

豪はそう言いつつ、鎌で右手首に触れた。

 ガシャシャシャン!

豪の身体に黄緑色の″鎧骨格″が換装された。
鎌の付いた腕は、そのまま″鎧骨格″に同化しており
反対の腕には、振袖のように鎌が付いていた。
頭は半分カマキリの顔に変形しており、対には目を模したパーツがついていた。
さらに両足も″侵略虫″のようになっていた。

「豪も‥‥‥アギトと同じ‥‥‥‥?」

マリーは豪の異形の姿を見て、そう思った。

「はぁッ!」

 ダンッ!

 クルクルクルクル

豪は横に回転しながらジャンプをした。

「喰らえッ!」

 ズバンッ!

そのまま″鎧虫″の顔面を真っ二つにした。
″鎧虫″はそのまま完全に息絶えた。

「‥‥‥‥よし」

 ガシャシャシャン!

豪は換装を解いた。そして、ゆっくりと死骸の山を下山した。

「‥‥‥これでオレがアギトって奴じゃないことが分かったか?」

迅はうなずいた。

「ああ。装備や戦闘方法まで似てたら、そりゃ間違えちまうよ」

豪は迅を後にした。

「お、おい、どうしたんだよマリちゃん!」

マリーはアスラの後ろに体を隠していた。

「豪さん、あの時‥‥‥‥″侵略虫″みたいで怖かったから‥‥‥‥‥」

マリーは少し震えていた。

「‥‥‥‥すまなかったな、怖がらせて」

そう謝る豪の顔は少し悲しそうな表情をしていた。

「‥‥‥‥何でそんな姿になっちまったんだ?」

アスラは訊きづらい雰囲気だったが、勇気を出して訊いた。

「‥‥‥ここじゃなんなので室内に行きましょう」

雨にそう言われたので、全員は建物の中に移動した。



    **********



 ー森 山の上ー
「‥‥んん‥‥‥‥ふあぁぁ~~~~~‥‥‥‥」

将軍が目を覚まし、起き上った。手探りで何かを探している。

「あ、将軍。メガネは前に叩き割ったことがあるので退けときましたよ」

衛兵は将軍にメガネを差し出した。

「あぁ、すまねぇな」

将軍はメガネを受け取り、顔につけた。
メガネを渡した衛兵とは別の衛兵は訊いた。

「どうでしたか?」

将軍は口元を歪めた。

「あぁ、いたよ。迅の野郎、豪と接触したみたいだ。
 まったく、アイツは俺の“駒”だってのによぉ。クククッ
 アッハッハッハハハハハハハハ!!!」

将軍は大声で笑い始めた。衛兵には将軍の思惑が全く理解できずにいた。



    **********



「原因がわからないんです」

ほんの少しの沈黙の中、雨は言った。
全員の視線が雨に集まる。

「何故だい?」

迅は雨に訊いた。

「豪さんが採取した″種″に何かしら異常があるからじゃないかと思うんです」
「うーーん、異常ねぇ‥‥‥‥」

迅は腕を組み、考えた。

「もしかしてよぉ」

リオさんがつぶやいた。

「俺と同じなんじゃないのか?」

迅は眉をひそめた。

「どうだろうな。お前の場合は長い間吹雪にさらされたせいで
 寒さに耐性があるけどなぁ‥‥‥それと同じかどうかは‥‥‥‥‥‥‥」
「え、そうなのか?」

ホークアイはリオさんに訊いた。

「でも弱点が多いんだ。暑さに弱いとか。
 換装するときは肩に直接触れなきゃいけないとかな」

確かに、リオさんが換装するときはいつも右肩を露出させている。

「でも、この場所はそんな過酷な環境じゃないからなぁ‥‥‥‥あ」

迅は言葉を漏らした。

「‥‥何だよ、もったいぶらずに話せよ」

ホークアイは迅に問い詰めた。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥わかった」

迅は答えた。

「″種″の作成に世代があるって博士が言っていたんだ」

それを聞いた雨が迅に訊いた。

「それは製造する上での過程という意味ですか?」
「まぁ、多分そういうことだろうな」

迅が説明を始めた。

「″種″を作るのためにかなりの犠牲者が出たらしい。
 何の資料もない物を一から作り上げるんだからな。
 それを作り上げた″スメラギ博士″は作成に得た過程を三世代で分けることにした」

話している途中にマリーはつぶやいた。

「もしかしてその″スメラギ″って人は悪い博士だったの?」

答えようとした迅の顔は何とも言えない表情をしていた。

「彼は‥‥‥‥良い人だったよ。犠牲になった全ての人の墓を丁寧に作り
 毎日頭を下げていた。すまない、私の力不足だ‥‥‥ってね」

そういうと迅は目元を押さえた。
マリーは顔をうつむかせて言った。

「‥‥‥ごめんね迅さん、辛いこと思い出させて」

迅はいつもの笑顔を見せて言った。

「大丈夫。さぁ、それより続きだ」

迅は再び説明を始めた。

「第一世代は完全な失敗だった。
 全身を覆った″鎧骨格″が肉体にまで融合を始め、巨大化、暴走を始めた。
 この姿はもはや人ではなく″鎧虫″だった」

全員はそれを聞き、一声も出せずにいた。

「第二世代はかなり換装者の負担が減り、安定性も増した。
 しかし何かが足りないらしく、精神のバランスが崩れると
 第一世代と同じ運命をたどることになる。だが、完全に意識が消滅するわけではなく
 精神を再び覚醒させれば、元の人間体に戻ることが出来る。
 ‥‥‥‥‥所々おかしな部分があるとは聞いていた。
 だが、まさか肉体そのものが変質するなんて‥‥‥‥まるでオレたちみたいだ」

豪は顔をうつむかせてつぶやいた。

「常に命の危険があるってわけか‥‥‥‥‥」

雨は豪に語りかけようとした。しかし、できなかった。

「第三世代はお前たちの知っている″鎧人″。
 全身を完全に安定した″鎧骨格″に覆われた完成形だ。
 その生物の生体機能を維持するために、主に
 攻撃よりも防御を重視した設計になっている」

アスラ、マリー、リオさんがそれに該当することがわかる。

「分かったよ‥‥‥迅さん」

豪は椅子から立ち上がり、ドアの方へと向かった。

「‥‥‥‥‥しばらく一人にしてくれないか?」

そういって豪はドアの向こうへと去っていった。 
 

 
後書き
悲しき運命を背負いし男、豪《ハオ》。
この後も彼は大変な目に合うことになります。

彼は将軍な上にメガネだったんですね(小説じゃ分かりにくい)。
豪を駒と言う将軍の名と能力とは?
はたして豪はその運命を受け入れることが出来るのか?

次回 第17話 中国人でも恋がしたい! お楽しみに! 
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