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Fate/ONLINE

作者:遮那王
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第二十八話 悪魔の契約

 
前書き
Fateのアニメ、戦闘描写が半端ねぇ!!
流石はufotable!!

すいません、取り乱しました。

約一か月ぶりの投稿。
それでも少し短め。
だけど、物語は大きく傾きます。

 

 
「アアアアアアアアアアアアア!!!」

憤怒に燃えるような叫び声が木霊する。
同時に地面に何度も拳を打ちつけ、声の主、ケイタは叫び続けた。

「クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!!!」

彼の計画は完璧だったはずだった。

まずは、アーチャーの主従を待ち伏せし彼等と交戦する。
現時点で自分のサーヴァントがアーチャーより上回っていると踏んでいた彼は、アーチャーなら楽に倒せるとタカを括っていた。

万が一、他のサーヴァントが乱入しても、彼のサーヴァントなら二対同時に相手できる。
現にセイバーが駆けつけても、有利に立っていたのはこちらのほうだった。

だが、その自尊心がたった一体のサーヴァントによって脆くも砕け散った。

赤い槍を携えた蒼い戦士。

彼はあの男―――――――ランサーを見たことがあった。
自分が、黒猫団を解散したあの日。
仲間が殺されたあの日。

彼の事は一人のソロプレイヤーとしか、見てはいなかったが、それ自身が間違いだったと今回気付かされた。

おそらく、奴こそが自分の仲間であった少女のサーヴァントなのだろう。

「――――――サチ……サチィィィィィィィィィィィィ――――――――――――!」

怒りで我を忘れる。
仲間と思っていた彼女が敵になった。
もはや、言葉にもならない。

「がぁぁぁぁぁぁぁぁッ……!!」

怒りと同時に苦しみも体を蝕む。

あの神父、監督役の男と契約した際、彼は自らの精神と直接リンクさせ、バーサーカーとの繋がりをより濃くしていた。
そうすることで、バーサーカーはより強靭な力を手に入れることができる。

だが、それは同時に諸刃の剣でもあった。

サーヴァントと直接精神を繋ぐことで、確かに戦闘能力は格段に上がるが、同時に体をサーヴァントの魔力によって汚染されていく。

無論この世界において肉体は存在しないため、リアルにはそこまで影響はしないが、精神に直接それらを叩き込むことで、この世界では感じられない激痛が自らを襲う。

ペインアブゾーバによって、痛みはなくても苦しみは想像を絶する。

それでも、怒りはすべてを凌駕する。
怒りの矛先は、自分からすべてを奪い去ったあの黒の剣士。

「……殺してやる―――――――――――殺してやるぞ」

呻くような声で呟く。
体が思うように動かない。
それでも引きずる様にして懸命に動かす。

だが、その彼を止めるような声が後方から聞こえた。

「ちょっと、待ってくれねぇかなお兄ぃさん」
「……なに?」

よろけながら声のした方向へと顔を向ける。

「Ha……ひっどい顔だな。好きな女にでも振られたか?」
「……っ!」

軽口が彼の心を逆撫でする。
今にも殺さんばかりの殺気だった目付きで男を睨む。

「wow……怖いねぇ。そう睨むなよ、お互い同じ穴のムジナじゃねぇか」
「同じ…だと?」
「…………見な」

男はそう言い、左手にはめたグローブを外す。
そこには、赤く発光する三画の紋様が刻まれていた。

「!?――――――お前……」
「言っただろ?同じ穴のムジナだって」

この世界において、それが何を意味するかがケイタには理解できた。
男が見せたそれは、自分と敵対する証。

「……僕を、殺しに来たのか?」

それは至極当然な問いであった。
お互い敵対関係にあるのなら、疑うのは当たり前。

「HaHaHa……疑うのは当然だろうだが―――――――今はそんなつもりは無ぇな」
「なに?」

目の前の男はそんな不安を一蹴する。
男の言葉で身構えていたが、予想外の答えに呆気にとられた。

「お前のバーサーカー、大したもんだ。あのセイバーとアーチャーを相手にもう少しで倒せたのによ」
「……」
「ライダーやあの金ピカ野郎、それにランサーが割り込まなけりゃ、勝ってたのは間違いなくバーサーカーだぜ」

称賛にも聞こえるが、今のケイタにはそうは聞こえなかった。
セイバーとアーチャーには勝ったが、ランサーに手も足も出なかった。
嫌味にしか聞き取れない。
奥歯をギリリと噛みしめる。

「そこでだ、お前に一つ提案がある」
「……なんだ」
「俺と手を組まねぇか?」

唐突な男の言葉にケイタは固まった。
それはつまり……

「同盟を組むということか?」
「oh……物分かりがよくて助かるぜ」
「……何が目的だ」

警戒したまま、問いを投げる。

「……ウチの旦那がよぉ、あの黒の剣士のサーヴァントにご執着なんだわ。なんでも昔憧れた女なんだと」
「憧れた女……だと?」
「Yeah……その通り。旦那とお前さんたちの戦いを覗かせて貰ったんだが、旦那の奴あの金髪の女サーヴァントを見た瞬間、気が狂っちまいやがったと思うほど叫んでよぉ。流石の俺もドン引きだったぜ」

額を抑えながら、男はため息をつく。
白々しいほど、演技じみている。
現に男の口元は、嬉しそうに歪んでいるのだから。

「旦那はあの女サーヴァントが運命の乙女だとか聖処女だとか騒いでいるが、要するに自分の手に入れたいとか言っててな」

男の目が狂喜に染まった。

「そこで、あの女サーヴァントを奪うのに協力して貰いてぇと思ってよ」
「……」
「ウチの旦那はインドアでな。外に出て戦うのが少ねぇンだよ」

だから、自分とバーサーカーにセイバーの相手をしろ。
遠回しにそう言われている。
脳裏に黒の剣士とそのサーヴァントのビジョンが浮かんだ。

取引に応じるべきか。
考えを巡らせる。

悩むケイタを後押しするように、男がもう一つ言葉を紡いだ。

「マスターの黒の剣士はお前の好きにしていいぜ。殺したいほど憎んでいるんだろ?」
「ッ……!」
「俺達はセイバーが欲しい。お前は黒の剣士が欲しい。悪くない取引だと思うぜ」

奥歯を噛みしめる。
自分の中に溜まっていた恨み辛みが、噴き出す。
仲間の命を奪い、サチの心をも奪った。

その怨念が彼の心を動かす。

「……僕は、何をすればいい」
「Ha!……いいねぇ。欲望に忠実で何よりだ」

男はそう言うと彼に近づき、口を耳元に近づける。

「それはな―――――――――――――――――」

男は計画の一部始終を、彼に話した。
ケイタは初めこそ、驚きに目を見開くが徐々に表情を変える。

恨みが彼の表情を変え。
絶望が彼の心を変えた。

数分後…………二人は互いの手を握り、契約を結ぶ。

この世界に混沌を生む、魔の契約を。
 
 

 
後書き
一体誰なんでしょう、この男は。

まあ、SAOファンの皆様なら普通に気付きますよね。
ぶっちゃけ、ド偉い二組が手を結んじゃいました。

聖杯戦争、激戦化必須。

一体どうなるのでしょうか。

それではまた次回。

 
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