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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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第三次空白期
  帰ってきても平穏が無い件

海鳴よ!私は帰って来たぁ!
と、テンション高らかに俺は思う。

「お疲れ。今回は長い滞在だったようだな」

家のリビング。
そこにはやはりと言うかゼウスの姿があり、
コーヒーを飲んで寛いでいる。
お前仕事はどうしたんだよ?

「向こうでは3年程過ごしたが、こっちはどうだ?」

「こっちもそれくらいだ。
正直此処に彼女達が来たときは何時でも気が気じゃなかった」

彼女とは、言わずもがな高町、テスタロッサ、八神等のことだろう。
しかしゼウスは律儀にも留守番をしてくれていたようだ。

「悪かったな」

「いや、気にするな。
それよりも蒼也はまだなのか?」

「ん?まだ帰ってなかったのか。
だがアイツの行った世界はそこまで難しい依頼ではなかったはずなんだがな」

「んむ……まぁ気長に待つとしよう」

「そうだな」

しかし確かに遅い。
俺よりも時間が掛かるようには見えなかったし、解決の段取りもしてやった。
…となると、俺みたいに別の依頼が発生したのか?
まぁアイツなら大丈夫だと思うが。

「そう言えばな」

「…ん?」

徐に言葉を繋ぎ出したゼウスは、どこかよそよそしく感じる。
これはあれだ…良くないことの前触れだと長年の付き合いから良く分かる。

「この世界がお前に学校へ行ってほしいと願っていたぞ?」

「は?なにそれ?」

「何でも依頼に固執するだけの道は歩んでほしくないとか」

何でそんなことを世界が気にするんだ?
俺自身に支障が無ければ問題は無いはずなんだが。
しかもそれって高町等と同じ学校とかのフラグじゃね?

「いや、あー、何時かに世界は繋がると言う話をしたのを覚えているか?」

「ああ、確かにしたな。それで?」

「今度はその繋がった世界が学校と言う概念を持った世界で、
その世界と繋がった事によって今回の案件が浮上してきたと言うことなんだ」

「なにそれ?最近の世界は繋がることが流行ってるのか?」

「あー、これについてはまぁ………お前のせいだ」

「まてまてまてまて、どうしてそうなる。
俺別になにもしてなくね?」

俺がしていることなんて精々依頼くらいな物だぞ?

「その依頼が関係するんだ」

「……どう言うことだってばよ?」

「………突っ込まないぞ?」

「…チッ」

「さて、説明か……。
ユウジ、世界は成長するんだよ…」

「話がぶっ飛んだぞ?
頭大丈夫か?全知はもうお釈迦なのか?」

「残念ながら現役だ。
あー、つまりお前が別の世界で依頼を達成するごとにこの世界は通常の何倍もの成長を遂げ、
尚且つソレが他の世界との繋がりを持つことになっている。
それは悪いことではないし寧ろ良いと言ってもいい。
おまけに今回の事も成長の元根であるお前にお礼がしたいと言うことから来ているんだ」

「いや、感謝されるのは悪くは無いんだが、
些か説明不足じゃないか?
それで俺が学校へ通うなぞ結果的に意味を成さないだろ」

「いや、でもお前まともに学校通ったことが無いではないか」

そもそも学校とは少年少女が通う学舎であり、
俺と言う年の離れすぎた輩が行くような場所では無いはずだ。
大体学校と言うからにはその舞台は校舎であり、学生の勉学が基準とされるものだ。
そんな場所に知力カンストと言っても過言ではない俺が行くのは間違っていることこの上ない事なのだ。
仮に勉強だけが学生の役割ではないと言うのなら、
学校等と言うその建物も必要性を感じない機関の一部と言ってもいいではないか。
この世には学校に行きたくても行けない者が数多く存在している。
等と言う輩もいるが、それでも学校に行きたくないと言う者の意見も尊重すべきだと思う。

「ーーーーー結論を言おう。
学校になんて行きたくないでござる」

"ピンポーン"

「………すまん。
落ち着いたところで気が付いたのだが、仕事が溜まっていた。
すまんが後は頼んだ」

「どの後を頼んだのかは知らんが行ってこい。
だが、学校へは行かないぞ」

「はぁ……まぁお前が決めたのであれば止めないよ」

そう言ってゼウスは消えていった。

"ピンポーン"

……やれやれ、誰だ?
気配から察して高町等では無いのは分かる。
しかしこれまた微妙な気配だな…。
この感じは老人か?

「……はい」

俺は玄関の扉を開けた。
そこには結構な長身のじいちゃんが居た。

「すまんの。
君達に用があって来たのじゃが、上がらせてもらっても良いかのう?」

へぇ…君達、ね?
俺と蒼也に用事があるってことか。
取り敢えずこのじいさんの第一印象。
まず髭が、糞長い。
次に半月メガネ。そして長身。
見た目はじいさん。それも大分高齢と見える。
そして…魔力を持っている。
しかしそれは高町達のリンカーコアから感じ取れるものではない。
このじいさん自体が持つ魔力だ。

「知らない人を態々家に上げるとでも?」

「ごもっともな言い分じゃが、何かと立て込んどってのぅ。
手荒な真似はせんと誓うし、信用して貰えんかね?」

ふぅん。
初対面の、しかも見た目中学入る位の少年に誓いを立てる…ねぇ?

「……良いでしょう。
どうぞお上がりください」

「では、失礼…」

俺はいそいそと上がり込む老人をリビングまて案内し、ソファへと座らせた。





「あ、おかえり?」

……蒼也が居た。
いや、普通に考えて依頼から帰ってきたと推測出来るけど、
隣のソイツは誰だ?
まぁ見たところ青い服にジーンズの少年。
背中には一振りの片刃剣があった。

「えっと、お邪魔してます」

「ああ、君は?」

「平賀才斗です。
その、色々と事情があって…蒼也に連れてきてもらったんですけど…」

「事情…?」

ふむ、特に特にこれと言って願が強いわけでは無さそうだが…。

「まぁそれは後で話すよ。
それよりも…」

蒼也はずっと後ろ手待機していたじいさんに目を向けた。

『何でダンブルドアがいるの?』

『ん?知り合いか?』

『いや、別に知り合いじゃないんだけどさ…。
この人、別の世界の人間だよね』

『あ、そうなのか。
まぁそれはその少年と一緒に話してやる』

『えっと、了解。
それで、何でダンブルドアがここに?』

『何でも俺とお前に用があるらしい』

『どうみても学園勧誘フラグですねわかりません』

『勧誘?』

『と、取り敢えず話を聞いてみようよ』

『まぁ構わんが…』

「まずじいさんに話を聞こう」

「そうかの?
では早速……赤志 ユウジ君、葵 蒼也君。
君達は魔法を知っておるかね?」

ーーーー 魔法。
それぞれの世界で物語などでフィクションとして知られている物であり、
各世界観や文化の違いがある。
例えばこの世界。
オーバーテクノロジーであるデバイスと言う機械を用いて使用者のリンカーコアより魔力を摂取。
デバイスは媒体として魔法の術式を組み上げて発動する。

「ん、知りません」

「救急車を呼びますか?」

「いやいや、それには及ばんよ。
さて、魔法を知らんとな。
では言おう。魔法は存在するのじゃ」

「成る程、洗脳ですねわかります」

「いたいけな少年になんてことを…」

「ふむ、信じられないのは無理もないじゃろ。
では見せて新是よう…」

「…………」

「…………」

「…………」

何も起こらない。

「…どう言うことじゃ」

じいさんは何も起きないことに疑問を抱き、回りを見渡したあと、
ニヤニヤしている俺達をみた。

「魔法遮断領域。
この家を対象とする、又はこの家の中で発動させる魔法は全て解除及び使用出来ない。
俺の許可が無い限りな」

「………つまり君は魔法の存在を知っておったのか」

「まぁ…4000年ほど前からな」

「4000…とな?」

「だからな、じいさん。
用件は単刀直入。前置きは無しで説明したまえ。
それを踏まえて話すといい」

「………いいじゃろう。
ワシは君達を魔法の世界、強いては魔法を学ぶための学校。
ホグワーツ魔術学院への入学を薦めに来たのじゃ」

魔術学院ねぇ…。

「どうして僕たちが?」

「君達には魔法の才能がありふれておる。
そしてユウジ君。君に関しては過去最大の才能がある」

「そこに行って何のメリットがある?」

「君達の他にも魔法を学ぶ生徒が大勢おる。
その者達と共に学び、マグ…人間社会に適応する能力を身に付けることが、
ホグワーツの方針となっておる」

……正直興味が皆無。
魔法なんて所詮現代日本の隠蔽対象だし、
社会で生きていくのであれば隠していけば暮らしていける。
魔法は隠蔽されるべきもの。
魔法を持ったものなら特殊な世界でない限りわかっているはずだ。


『ユウジ、僕行ってみたいんだけど…』

突然、蒼也から念話が入った。

『はあ?何で?』

『いや、知識としては結構面白いイベントが盛りだくさんだし、
多分僕たちが依頼を受けた日から大分たってるよね?
僕達成長してるみたいだし』

『……要は興味本意で行きたいって訳だろ?』

『だめかな?』

…正直に言えば胡散臭い。
考える間でもなく今回繋がった世界の一つなのだろう。
お前にコイツはマグ…と言い淀んだ。
詰まり人間を対等に見ていない奴だと俺の勘が告げている。

『……わかった。
行ってこい。この事は後から話し合う』

『ありがとう!』

嬉しそうにしやがって…。

「俺は行かない。だが、蒼也は行くだろう」

「やはりか…」

「予想をしていたようで何よりだ」

「一応、何故と聞いてもよいかのう?」

「胡散臭い。この一言に限る。
まぁ危険性はあまり感じられないから蒼也だけは行くのを許可した」

「…それは代役と言うことかの?」

「俺は暇じゃないんだ。
俺には依頼もあるし、何かを学んでいる暇はない」

「…そうか。
あいわかった。それでは蒼也君。また後程に会うとしようかの」

「了解です」

そう言うとじいさんは立ち上がり、いそいそと帰っていった。
つーか最後まで自分の名前を名乗らなかったな。







「さて、まずは少年について話そうか」

「うん」

「えっと、さっき自己紹介したけど、平賀才斗と言います」

「では少年。
何があったか話せるか?」

「それが……」


さて、聞いたことを簡単に纏めよう。
俺が蒼也の援助の際に渡した霊薬を扉の前で聞き耳を立てたルイズと言う娘が盗んで逃走。
その霊薬を身体の弱い姉に飲ませて死なせたらしい。
直ぐに気がついて追いかけたのだが、間に合わなかったそうだ。
その後、小娘は学院につき出され、退学の元、自宅謹慎。
その後、戦争へと駆り出されて死亡したらしい。
何でも名誉挽回のために自ら志願したとか。
そんなこんなで小娘と使い魔契約していた少年がルーンを解除され、
家に帰ることも出来ず、路頭に迷っていた所を蒼也が声をかけたと言うことだ。




「ならその少年を元の世界に帰せば良いのか?」

「それが…僕が何とか送ったんだけど…才斗の世界は何年たったかも分からない位に様変わりしてた見たいで…
両親とか家とか探せないし、もしかしたら居ないかもって事でここに連れてきたんだ」

なるほど、薄幸少年か。
気の毒だったな。

「俺は別に構わんぞ?
少年がここにいて何かを探すのであれば手伝いもしよう」

「やった!ありがとユウジ!」

「すみません、お世話になります」

「敬語は要らん。てか何でそんな低姿勢なの?
俺何かした?」

「いや、刺激しないようにって蒼也が…」

「あ、あははは…」

やれやれコイツは…。
取り敢えず少年については大丈夫だろう。
次は例の学校についてだ。

「学校についてだけど、特に心配は要らないよ?
多分後日に案内人が現れる筈だから」

「ふーん。ならこの話もおしまいだな」

「僕が言うのも何だけど…軽いね」

「はいはい。
それじゃあ少年。買い物に出掛けようか」

こうして新しい入居者の少年の日用品を買いに出掛けるのであった。 
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