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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫

作者:黒鐡
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第2巻
  オージュ子爵からの願い×盗賊団がいるとこまで行軍中

「ティッタ様はこの町に来た事があるのですか?」

「来た事はないけど、地図上なら知ってるよリム。あとは大量にばら撒いた無人偵察機とかで、情報収集をしているけどね。テリトアールは駄々っ広い草原がどこまでも続いてます、山といえばあそこのヴォージュ山脈でしょう。ここの人達は葡萄畑を作ったり、牛を放牧したり鳩を飼って暮らしているようです」

そうして話していると、町の承諾を得たのでニールとレノックスとリムの三人だけで町に入った。俺達は余所者だが、時々この町の者から頼まれては何らかの形で神国と仲がいいのと、よくレノックスがこちらに来るので知っている者がいるとありがたい。リムは甲冑や兜、面頬をしていない状態であった。本来なら女性騎士は目立つからと、甲冑姿になるが、ティッタも一緒なので甲冑無しの姿となった。家の造りはこちらと違うからなのか時々俺らも回りを見渡している。

「レノックス様、どうしてどの家の屋根にも丸い石が乗っかっているのですか?」

「ああ、そういえばプトレマイオスやジスタートにはないもんだから、ニールの旦那もそういう目線なのか。あれは昼間の内に太陽の熱で暖めておいて、夜になったら色々な事に使うもんなのですよ」

「なるほど・・・・。だから人の頭程度の石があるのですね」

ニールもなるほどと言ってから、オージュの子爵の屋敷に到着したが木と石とレンガを組み合わせた屋敷だった。プトレマイオスの屋根は、太陽光を取り入れたソーラーパネルだからか、最初にここに来たリムやエレン様から質問があったと隊長から聞いた。

「鳩小屋?」

首を傾げむリムに、またレノックスが答えたのだった。

「それは食用に飼われているんですよ、小屋の大きさから見て百羽くらいいるのでしょ。ジスタートにはなかったのでしたかな?」

「鶏小屋はありますが、鳩小屋というのは聞いたことがないですね。鳩を食べない訳ではありませんが・・・・」

「俺らもさすがに鳩は食わないさ、リム」

屋敷に入り、武器は一切預けないのを不思議に思ったがそれはすぐに理解したリムだった。量子変換させたので、今手元には武器を持っていないからである。なのでリムだけ武器を預けたのだった。そんですぐに子爵の部屋へと通される、顔見知りであるレノックスがいたからだ。領主の私室とは思えないほどの、質素な部屋だった。飾り気のないベッドに、人の良さそうな笑みを浮かべる老人が身体を起こした。

「おやおやプトレマイオス神国のレノックス様ではないか、久しぶりですな」

「お久しぶりです、それよりどこか身体が悪いのであれば別の日にしたのでしたが」

「ちょっとした怪我だけだというのに、この屋敷にいる周辺が大袈裟でのう。息子も今は遠くにいてすぐには帰れないものだから、やれ安静にしろの一点張りでしてな」

「その怪我でしたら、すぐにお治ししますよ。代金は無しで結構ですから」

と言ったティッタはタブレットを取り出してから、オージュ子爵の身体を全体スキャンをかけてから怪我のところを治療をしたのだった。そしたらオージュ子爵は立ち上がってさっきまで元気がなかったのが嘘のように身体を動かしていた。

「治療完了しましたが、紹介が遅れましたがヴォルン大公の屋敷に住んでいる侍女兼兵をしておりますティッタと言います、隣がニールで私とニールは大公補佐官であります。本来ならヴォルン大公が行くはずでしたが、ただいま我が主は出かけておりますので大公代行として我々が来ました。隣にいますのは、リムアリーシャ、戦姫エレオノーラ=ヴィルターリアの信頼厚い将です」

ティッタはタブレットをしまってから、簡単な自己紹介をしたのだった。リムは無言で一礼をしたら、子爵も会釈で返した。健康状態抜群となったのか、健康な身体となったのが嬉しかったが、今は目の前の話をしなければいけないので、真剣な顔立ちとなった。マスハスから受け取った手紙内容で大よその事情は伺ったが大公代行のニールに直接詳しく話をしたのだった。ニール大公補佐官が詳細な話を聞き終えたら、難しい顔をしていた。

「本来であればブリューヌとプトレマイオスは中立同士であるが、先に喧嘩を売ったのがこちら側とは。最初聞いた時は冗談かと思いましたぞ」

「嘘のような話でありますが、これは事実でございます。実際テナルディエ軍が我らの神国領土に来て、牙を剥きましたからな」

「マスハスの手紙とお主の話はどうやら事実のようですな、本来であれば我らはテナルディエ公爵に逆らってはいけないと思うであるが、プトレマイオス神国に進軍したのであれば話は別じゃ。正義はプトレマイオスに在りという感じですし、プトレマイオス軍とジスタート軍がブリューヌ内乱に介入するとならな今までお世話になってきた神国に感謝の念として、一緒に戦わせてくれとこちらから願いたいですな」

「では一緒に戦ってくれると?」

「この老骨の力でよければ・・・・と言いたい所ではありますが、悩みを聞いてもらえないでしょうかな?ヴォージュの山々に盗賊団が巣食っておるのだ。奴らは近くの村を襲って焼き、殺し、財貨や家畜を奪い、若い娘を攫うなどの悪逆非道の限りを尽くしておる」

そう話してもらったら、俺達も気付いたがリムが目を細めたのを気付いた俺達。まあオージュ子爵は気付いていないからいいとして、オージュ子爵率いる兵をヴォージュに向かったが敗戦したらしい。先程まで怪我していたところは、その時出来た怪我だと知らされた。我ら神国を頼ろうとしたらしいが先に攻撃をしに行ったらしいので、報告が遅れてしまったと。敗戦後にマスハスからの手紙が来たので、我らが来た時に一緒に話そうとしたらしい。

「ニール大公補佐官、わしらの代わりに盗賊団を駆逐してもらいたいのだが頼めるだろうか?」

「だから息子さんが近隣の諸貴族に兵を貸してもらうように遠くに行ってもらっているのですね?その盗賊団の数は?」

「およそ二百です、元は四十にも満たない小集団だったのだが、ジスタートの野盗や、遠くアスヴァールから流れ着いた海賊が加わり、ドナルペインという元傭兵が彼らを纏め上げ、短期間で驚くべき勢力となってしまった。わしは三百の兵で向かったが、返り討ちにあった」

なるほどとニール達は考えていた、最初は四十だったのにいつの間にか増えてその傭兵が頭となって纏め上げてしまったから、連携も上手くいったのだろうと。そうして考えていたら、脳量子波で隊長からの連絡が来た。

『話はだいたい聞いた、その集団を統率するのはただものではないという事を』

『ヴォルン大公、今どちらへ?』

『用事が済んだところだ、それよりそっちは大変そうだな。だがジスタート軍の精鋭部隊はともかくニール達と桜花たちだけでも殲滅できるだろう?』

『こちら屋敷上空、ヴォージュのところに盗賊団を発見いたしました。このまま偵察します』

『俺無しでも出来るなら、引き続きニール達で駆逐しろ』

『了解しました』

「その盗賊団、我々で駆逐を致します」

ニール達がオージュ子爵の屋敷を出た時は、夕方から夜になろうとしていた。町の外に出るとジスタート軍は既に陣地の構築を終えていた、スナイプ・ゼロワンのバイクはそのままとなり車の方はいつの間にかキャンピングカーになっていた。恐らくライルからの指示なのだろう、ニール達を出迎えたライルとルーリックがいた。

「町の中に泊まらないのですか?」

「そんな事よりも、大変な事が起こった。詳しくは陣地にて話そう」

そう言った後に、料理を作る桜花たちがいた。食事の準備をするのも桜花達の仕事なので、ジスタートの者ではなく桜花たちがやっていた。行軍中の食事は重要と教え込んでいるので、料理は桜花・結衣・沙紀でやっていた。で、俺らのキャンピングカーの中に入ってから、机に投影型の地図を出した。ニールとリムとルーリックが入った後に、ライルとレノックスは椅子に腰かけていた。ティッタは桜花たちの代わりとしてISを展開して上空に向かった。

「オージュ殿は三百の兵を率いて盗賊団討伐へ行き、敗戦したが、その経緯をまず話す」

ニールが機器を動かしていると、ちょうどオージュ子爵率いる兵達が映っていたがこれは無人偵察機からの過去の映像を流したものだ。これについては既にリムとルーリックに説明済みだから驚いてはいない。数で勝っているといえども、普段から畑を耕しているような者達が槍や革鎧で武装しただけで、練度は低い。無残に襲われ、焼かれた村々の惨状を目の当たりにしているために士気は高いが練度が低いのが誤算。地の利はあちら側があるので、子爵は山道を封鎖してから、盗賊団を山中に封じ込めたと考えた。子爵の軍が麓に姿を見せると、盗賊団は山を降りて襲い掛かって来た。盗賊団とオージュ軍は麓から離れて激突した。野盗達の武器は剣や戦斧や大鉈や棍棒という武器で鎧も革鎧を毛皮や鉄片で補強して補ったのと推測する。戦いはオージュ軍の一方的になるかと思ったら、山道で罠を張っていたのに気付くのが遅すぎた。山道に入ってから矢や石、土砂などが雨となり降り注いだ結果大量の死体が積み上げられた。大岩や丸太もあったのでそれらに潰された兵達もいて、オージュ軍は後退するが逃げたはずの野盗達が立ち塞がっていた。山を出るまでオージュ軍は数十の犠牲を出してから、ペルフォルの町に辿り着いた時には三百いた兵は二百余まで減っていた。

「という事があり、オージュ殿の息子さんであるジュラールという者が各地を駆け回っている様子。オージュ殿の怪我は先ほど完治させたので問題はないが・・・・」

「映像と話を聞く限り、二百人の盗賊団は手強そうな連中ですな」

話と映像が終わった事により、ルーリックは難しい顔をしていた。

「ニール大公補佐官は何か策があるので?」

「無論だ、それに俺達の部隊は元々少数部隊で大部隊を葬るくらいの武器を持っている。騎兵も使う事になるかもしれんが、まずは我々の戦い方を見てほしいところですな」

「ではその戦い方をご教授させて頂きましょう、ルーリックもニール様達の戦い方を勉強するように」

との事で、俺達の少数部隊での戦が始まろうとしていた。長期化するのは好ましくないので、速攻で決めるために翌朝ニール達とジスタート軍五十騎はペルフォルからヴォージュ山脈に向かった。馬だと一日かかると言われたので、軍用車となって乗車していたニール達。レノックスもこちらに乗っていて、バイクは軍用車のパーツとなり走っていた。

『そういえばニール大公補佐官に見て頂きたいものがあります』

と右側にいたリムがこちらに寄ってきて、丁寧に織り畳まれた数枚の紙を取り出した。それを助手席にいるレノックスに渡す、ティッタとライルは後部座席にいてニールが運転をしていたからだ。受け取ったレノックスは、紙を開いて見るがこの世界の文字はさっぱり分からないのでスマホを翻訳モードとしてから、書いてある事について納得したのだった。

「これはプトレマイオスを発ってから今日まで掛かった戦費か?」

『はい。全て大公の負担となりますが?』

「これについてはヴォルン大公が戻ってきてからでいいか?俺達が勝手に判断してはいけないからな」

『いいでしょう、では大公が戻ってきてから請求させて頂きます』

これらの紙にはこう書かれていた、五十人分の給料、食糧、薪などの燃料、薬や雑貨類の代金に工具の修理費など、行軍中にかかった費用が全て書かれていた。会計とかはティッタに計算させているからかすぐにでも渡せるようだと言った。騎兵は馬の分歩兵よりも費用がかかるし、プトレマイオスがテナルディエ軍を追っ払った時も給料は出していた。そんで会話をしていたり、ティッタが電卓で計算していたりしていると見えてきた目的地であるヴォージュ山脈。プトレマイオスのすぐ隣にあるが、そこら辺は監視もしているので、盗賊団がいたとしてもすぐに駆逐できる。それが北方や南方のところでは、監視はしていないが無人偵察機をばら撒いている。 
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