本気になっていく恋
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第三章
第三章
それを前にして飲み食いとカラオケもしながらだ。仁は今度は匠馬に対して言うのだった。
「おい」
「何だよ」
「話してるか?」
こう彼に言うのである。
「相手の女の子とよ」
「この娘とかよ」
「そうだよ。折角舞台設定してやったんだからな」
笑いながらの言葉だ。そのうえで今は小龍包を食べている。中にはしっかりとスープもある。その熱さにはふはふとしながらの言葉であった。
「ちゃんとやれよ」
「ああ、わかってるよ」
「麻美ぽんもよ」
地和の方も麻美に声をかける。
「わかってるわよね、それはね」
「ええ、それは」
「あとどんどん食べてよ」
このことも言うのだった。
「さもないと大きくなれないわよ」
「大きくって。私もう大学生だけれど」
「胸はずっと成長するものなのよ」
その小さな胸を麻美の右腕に付けての言葉である。
「だからね。どんどん食べないと」
「胸は何時までも成長するって」
それを言われてもだった。目をしばたかせて戸惑った顔になる麻美だった。それを聞いてもである。信じていないことは明らかであった。
「そんなの初耳よ。大体それだったら」
「それだったら?」
「ちいだって。胸は」
「大丈夫よ」
しかし彼女は胸を張って言い切るのだった。
「私は絶対に大きくなるから。絶対にね」
「どうしてそう言えるの?」
「お姉ちゃんも妹も胸大きいし」
まずは自分の姉妹を話に出すのだった。
「それにお母さんだって大きいのよ。それだったらね」
「そうなの」
「そうよ。絶対に大きくなるわよ」
こう言うのである。
「絶対にね」
「そうか?」
力説する彼女に言ってきたのはだ。仁だった。彼は真顔で今は海老焼売を食べている。そのうえで醤油ラーメンを見据えながらその地和に話すのだった。
「御前幾ら何でもそれは」
「それはって何よ」
「大きくならないだろ」
その地和への言葉だ。
「もう絶対にな」
「大きくならないっていうの」
「御前Aカップじゃねえかよ」
何故かこのことも知っているのだった。
「それがどうしてGカップになれるんだよ」
「絶対なれるわよ」
だがまだ力説する地和だった。
「そうよ、絶対にね」
「絶対にかよ」
「何があってもね。その時にびっくりしなさいよ」
「女の胸は大きいだけじゃねえんだよ」
その醤油ラーメンを食べながらの言葉だった。
「そんなのにこだわらなくていいだろ」
「そうなの?」
「そうだよ。俺は小さい方がいいしな」
何気に爆弾発言である。しかし誰もそのことには酒のせいで気付いていなかった。
そしてだ。匠馬はその中で飲みながらだ。麻美と話すのだった。飲んでいるのはレモンハイであった。
「あのさ」
「ええ」
「文学部だったよね」
「ええ、国文学ね」
そこだと答える麻美だった。
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