オズのムシノスケ
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第四幕その七
「気付くべき時に気付けばいいじゃない」
「最初でなくてもいいと」
「私はそう思うけれどどうかしら」
「ドロシー嬢らしい考えだね」
「そう言ってくれるのね」
「そう、そしてその通りかも知れないね」
こうも言うのでした。
「気付くべき時に気付けば」
「それでいいわね」
「そういうことだね。ではね」
「皆で塔に行きましょう」
ドロシーは教授とトト、それにカルロス達に言いました。そうして皆で。
一緒に塔大学で一番高いその塔に登りました、その途中の階段にも一番上のお部屋にもボタン=bルアイトはいませんでした。
ですがそこからです、大学中を見回しますと。
カルロスがです、森のある場所を指差して皆に言いました。
「あれっ、あそこに」
「彼がいたのかい?」
「あれじゃないんですか?」
こう教授にも答えます。
「白い服で」
「むっ、確かに」
教授もです、上から森のカルロスが指差す場所を見て気付きました、そこにです。
森の木々の間にです、白いものが見えます。青い木々の中ですので白い色がとりわけ目立っています。
それで、です。教授も言いました。
「あれはね」
「若しかしますね」
「うん、若しかするよ」
実際にというのです。
「あれが彼かも知れないよ」
「ボタン=ブライトですね」
「そうか、あそこなら」
「すぐにあそこに行きますか?」
「うん、行こう」
是非にというのです。
「すぐにね」
「それでは」
「ただ」
「ただ?」
「あそこに行く前にお昼を食べよう」
ここでこう提案するのでした。
「ここはね」
「あっ、そういえば」
カルロスも気付きました、教授の今の言葉で。
「もういい時間ですね」
「そうだね、お昼は出来るだけね」
「その時間にですね」
「決まった時間に食べるべきものだからね」
それでだというのです。
「今から食べよう」
「わかりました」
カルロスも他の皆もです、教授のその言葉に頷きました。そしてドロシーがトトを腕の中に抱きながら言いました。
「今日のお昼は何を食べようかしら」
「学生諸君と一緒に食べないかい?」
教授はドロシーに提案しました。
「ここは」
「学生の人達となの」
「そう、大食堂に行って」
そのうえでだというのです。
「そうしてね」
「あそこで、ですね」
「皆で食べよう、そして」
「そして?」
「お腹を満腹にさせよう」
こう言うのでした。
「皆でね」
「そうね、皆でね」
「今日の大学の食堂ではね」
そこではといいますと。
「今日はカレーフェスタをやるんだ」
「あっ、カレーですか」
「カレーライスですか」
「そう、それをするからね」
だからだとです、教授は五人に笑顔でお話します。
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