| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

インフィニット・ストラトス ―蒼炎の大鴉―

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

クラス代表決定戦

ついにこの日がきた。という感覚はない。いつも通りスピードで翻弄し、火力で一気に叩くだけだ。

ちなみにこの決定戦はトーナメント制で俺はシードだ。つまり、勝った方が相手になる。

俺はこの1週間、対策として情報収集をした。戦術は今さら変えられないし、訓練したところでたかが知れてる。

イギリスのブルーティアーズはビット兵器を搭載した遠距離機。武装は狙撃用レーザーライフル、ビット兵器6基、内4基がレーザー砲、2基がミサイル。それと格闘兵装が1つあるが、今回は関係がない。ミサイルビットは常に機体周辺に待機し、[ビット兵器の操作中は他の動作が出来ない]という欠点を補う役割をもつ。

そして織斑の白式は近接用の高機動型で、武装は一撃必殺の雪片の改良型。当たれば威力は凄まじい。とっつきみたいなものだ。また、エネルギーを消失させる特性があり、ビームサーベルによるつばぜり合いは不可能。つまり、いかに近寄らせないかが重要になる。

やれるな。


織斑とオルコットがアリーナに入る。見れば白式はファーストシフトが終わっていないようだ。

さて、万全でない機体で素人が何分もつか、見物だな。

2機の戦いはオルコットの先制射撃で始まった。最初のレーザーは白式の肩の装甲を破損させた。あの程度も避けられないか。

その後も続けられるレーザーの弾幕は白式に次々と命中していく。

織斑も武装を出すが、ブレードだけ。それもファーストシフトが済んでいないのでただのブレードだ。

そして27分、逃げ続けたが、満身創痍、そしてビットが装甲の剥げた左足を狙う。

だか、織斑はオルコットに激突することでレーザーライフルの銃身を反らし、九死に一生を得る。

そして斬撃、ビットを1つ破壊する。さらに2機目のビットのスラスターを破壊し、機能を停止させた。

間合いに入り込み、3機目を切り捨て、4機目を回し蹴りで吹き飛ばした。

ここで本体に斬りかかるが、ミサイルビットが作動、織斑は爆炎に包まれた。

これで終わりか。呆気ないものだな。

爆炎が晴れると、ファーストシフトの終了した白式を纏う織斑が立っていた。

その手には雪片の改良型[雪片弐型]が握られている。

織斑が攻勢に出る。ミサイル発射態勢のビットを切り裂き、一気に距離を詰め、雪片弐型を振りかぶり、オルコットに降り下ろすが…

『試合終了。勝者――セシリア・オルコット』

エネルギー切れで負ける。

織斑は何が起きたのかわからず、ポカーンとしている。

そして両者はピットに戻る。

俺は織斑の方のピットに行き、用意をする。

今の戦いでオルコットの戦闘スタイルを覚えた。やれる。

ピットで愛機デルタカイを展開する。以前とカラーリングが変更され、紫だった部分は濃紺に、黄色だった部分はニュートラルグレーにそれぞれ塗り替えられている。

展開する武装は専用ビームライフル、メガマシンキャノンにした。デルタカイの武装選択で、最もスタンダードな構成、シンプルゆえにクセがなく、どの距離でも戦えるのが特長だ。

この装備でピットを出た。

俺が出たのを確認して、オルコットもピットから出る。

「では始めますか」

ブザーが鳴り響き、試合開始を告げる。

まずするべきことはビットの破壊

右斜め上にスラスターを最大で噴射、初撃を回避しながらビットを1つ捕捉する。ビームライフルをビットに向け、レールガンを発射、スラスターを貫通させ、破壊する。

「なんですの、そのスピードは!?」

相手はこちらの速度に対応できてないようだ。それもそのはず。スラスターを最大噴射すれば、最高速度はマッハ4に達する機体だ。アフターバーナーを使った戦闘機より速い。

続いて2機目のビットをすれ違いざまにビームサーベルで切り裂き、そのままアリーナの壁を目指す。

接触直前にスラスターを噴射し回転、アリーナの壁を蹴り、方向転換する。

さらに3機目のビットをビームライフルで撃ち抜き、4機目目掛けてメガマシンキャノンを叩き込む。実弾の嵐は瞬く間に最後のビットを蜂の巣にした。

これでレーザー砲は消えた。次にするべきことは、敵の機動性を奪うこと。

スラスターを噴射し、すれ違うように後ろにまわる。そしてスラスターの噴射で回転、スラスターユニット目掛けて一斉射撃を浴びせる。

ビームと実弾の混じった弾幕は瞬く間にブルーティアーズのスラスターを粉微塵に粉砕した。

オルコットは何があったのか理解できず、落下した。まだシールドエネルギーは残っている。

「とどめだ」

武装を換装、ロングメガバスターを取り出し、狙撃

『試合終了。勝者――黒鉄和也』

試合終了まで30秒。ビットの破壊に少し時間がかかったか。

試合を見ていたクラスメイトは唖然としている。

先程の試合で30分以上かかって勝った相手がたったの30秒で完膚なきまで叩きのめされたとなれば驚くのは当たり前か。

ピットに戻り、機体を解除する。

案の定織斑と篠ノ之、さらには山田先生も唖然としていた。

ただ、織斑先生だけはその限りではなかったが…。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧