インフィニット・ストラトス ―蒼炎の大鴉―
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クラス代表決定戦
ついにこの日がきた。という感覚はない。いつも通りスピードで翻弄し、火力で一気に叩くだけだ。
ちなみにこの決定戦はトーナメント制で俺はシードだ。つまり、勝った方が相手になる。
俺はこの1週間、対策として情報収集をした。戦術は今さら変えられないし、訓練したところでたかが知れてる。
イギリスのブルーティアーズはビット兵器を搭載した遠距離機。武装は狙撃用レーザーライフル、ビット兵器6基、内4基がレーザー砲、2基がミサイル。それと格闘兵装が1つあるが、今回は関係がない。ミサイルビットは常に機体周辺に待機し、[ビット兵器の操作中は他の動作が出来ない]という欠点を補う役割をもつ。
そして織斑の白式は近接用の高機動型で、武装は一撃必殺の雪片の改良型。当たれば威力は凄まじい。とっつきみたいなものだ。また、エネルギーを消失させる特性があり、ビームサーベルによるつばぜり合いは不可能。つまり、いかに近寄らせないかが重要になる。
やれるな。
織斑とオルコットがアリーナに入る。見れば白式はファーストシフトが終わっていないようだ。
さて、万全でない機体で素人が何分もつか、見物だな。
2機の戦いはオルコットの先制射撃で始まった。最初のレーザーは白式の肩の装甲を破損させた。あの程度も避けられないか。
その後も続けられるレーザーの弾幕は白式に次々と命中していく。
織斑も武装を出すが、ブレードだけ。それもファーストシフトが済んでいないのでただのブレードだ。
そして27分、逃げ続けたが、満身創痍、そしてビットが装甲の剥げた左足を狙う。
だか、織斑はオルコットに激突することでレーザーライフルの銃身を反らし、九死に一生を得る。
そして斬撃、ビットを1つ破壊する。さらに2機目のビットのスラスターを破壊し、機能を停止させた。
間合いに入り込み、3機目を切り捨て、4機目を回し蹴りで吹き飛ばした。
ここで本体に斬りかかるが、ミサイルビットが作動、織斑は爆炎に包まれた。
これで終わりか。呆気ないものだな。
爆炎が晴れると、ファーストシフトの終了した白式を纏う織斑が立っていた。
その手には雪片の改良型[雪片弐型]が握られている。
織斑が攻勢に出る。ミサイル発射態勢のビットを切り裂き、一気に距離を詰め、雪片弐型を振りかぶり、オルコットに降り下ろすが…
『試合終了。勝者――セシリア・オルコット』
エネルギー切れで負ける。
織斑は何が起きたのかわからず、ポカーンとしている。
そして両者はピットに戻る。
俺は織斑の方のピットに行き、用意をする。
今の戦いでオルコットの戦闘スタイルを覚えた。やれる。
ピットで愛機デルタカイを展開する。以前とカラーリングが変更され、紫だった部分は濃紺に、黄色だった部分はニュートラルグレーにそれぞれ塗り替えられている。
展開する武装は専用ビームライフル、メガマシンキャノンにした。デルタカイの武装選択で、最もスタンダードな構成、シンプルゆえにクセがなく、どの距離でも戦えるのが特長だ。
この装備でピットを出た。
俺が出たのを確認して、オルコットもピットから出る。
「では始めますか」
ブザーが鳴り響き、試合開始を告げる。
まずするべきことはビットの破壊
右斜め上にスラスターを最大で噴射、初撃を回避しながらビットを1つ捕捉する。ビームライフルをビットに向け、レールガンを発射、スラスターを貫通させ、破壊する。
「なんですの、そのスピードは!?」
相手はこちらの速度に対応できてないようだ。それもそのはず。スラスターを最大噴射すれば、最高速度はマッハ4に達する機体だ。アフターバーナーを使った戦闘機より速い。
続いて2機目のビットをすれ違いざまにビームサーベルで切り裂き、そのままアリーナの壁を目指す。
接触直前にスラスターを噴射し回転、アリーナの壁を蹴り、方向転換する。
さらに3機目のビットをビームライフルで撃ち抜き、4機目目掛けてメガマシンキャノンを叩き込む。実弾の嵐は瞬く間に最後のビットを蜂の巣にした。
これでレーザー砲は消えた。次にするべきことは、敵の機動性を奪うこと。
スラスターを噴射し、すれ違うように後ろにまわる。そしてスラスターの噴射で回転、スラスターユニット目掛けて一斉射撃を浴びせる。
ビームと実弾の混じった弾幕は瞬く間にブルーティアーズのスラスターを粉微塵に粉砕した。
オルコットは何があったのか理解できず、落下した。まだシールドエネルギーは残っている。
「とどめだ」
武装を換装、ロングメガバスターを取り出し、狙撃
『試合終了。勝者――黒鉄和也』
試合終了まで30秒。ビットの破壊に少し時間がかかったか。
試合を見ていたクラスメイトは唖然としている。
先程の試合で30分以上かかって勝った相手がたったの30秒で完膚なきまで叩きのめされたとなれば驚くのは当たり前か。
ピットに戻り、機体を解除する。
案の定織斑と篠ノ之、さらには山田先生も唖然としていた。
ただ、織斑先生だけはその限りではなかったが…。
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