ロックマンX~5つの希望~
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第三十九話 彼女達の戦い3
しばらくしてレイヤーは帰ってきた。
傷だらけではあったがちゃんと帰ってきた。
次にパレットが向かったのはドロップ・デッド。
プレート境界廃棄処理施設であった。
マグマを利用した処理施設は、ミッションを開始した直後から高温を肌で感じていた。
地熱が金属管を通って各所に届き、捨てられた残骸を尽く焼き尽くす。
一瞬で金属の塊を溶かす炎のまがまがしさは、地獄の業火を彷彿とさせた。
レプリロイドの墓場にここ以上に相応しい場所はないだろう。
パレット「やっぱり、嫌な気分だなあ…」
深い穴をトントンと降りていく。
軽やかなジャンプは華麗で、戦場の殺伐とした空気には馴染まなかった。
戦乱の世でなければ、彼女はきっと、もっと微笑ましい場所で踊っていただろう。
彼女の幼い外見も相俟って、余計に悲惨であった。
アイリス『後少しで終着点だから頑張ってパレット』
パレット「はい」
アイリスのナビゲートを受けながらパレットは少しずつ確実に先へ進んでいく。
アイリス『ターゲットのバーン・コケコッカーは耐熱性能に優れ、炎を操る能力に長けてるの。また、相手の攻撃を利用して自らの能力をパワーアップ出来るらしいの。パワーアップはクラッキングで解除出来るの。パレットの場合、ショットを連続で放てばクラッキング出来るから』
パレット「分かりました」
パレットはアイリスの指示に従いながら、奥へと進む。
ボスは処理場最深部にて荒々しい姿を晒していた。
炎を纏い、こちらを睨み据える姿は恐怖を抱かせるが、パレットは毅然とした態度でコケコッカーを見つめる。
コケコッカー「誰だ…ここは子供の来るような場所じゃないぞ」
パレット「子供じゃないですよ。私にはパレットっていう名前があります」
コケコッカー「ふん…お前の相手などする気はないわ」
コケコッカーは演説するように両腕を広げた。
パレット「…………」
コケコッカー「…此処が何なのかは、お前には分からんだろう。ハンター共にイレギュラー呼ばわりされ、無念のうちに捨てられたレプリロイド達の墓さ!!」
マグマが身をもたげた。
イレギュラー達の無念の叫び声が、地獄の業火に変わったかのような灼熱。
パレット「知ってますよ。あなたはイレギュラーの復讐をするつもりなんですか?」
コケコッカー「そうだとも!!」
パレットの言葉にコケコッカーが目を見開きながら叫んだ。
コケコッカー「イレギュラー呼ばわりされ、無念のうちに死んでいった者達!俺はそいつらの仇を討つために立ち上がったのだ!!」
言下に空を駆けた。
炎を纏った足が、パレットの動力部を狙う。
パレットはギリギリだが、脇腹に熱を浴びながらも回避した。
コンマ1秒遅かったら、彼女は身体を貫かれていただろう。
それくらい鋭い蹴りであった。
アイリス『パレット!!コケコッカーをクラッキングして!!』
パレット「っ…」
眼前でコケコッカーの身体が炎を噴き上げていた。
フレイムエンチャント
自身の戦闘力を底上げする技。
銃弾を放ち、クラッキングによってパワーアップを食い止める。
コケコッカー「己…小娘が……メルトクリーパー!!」
コケコッカーは片足を上げると勢いよく振り下ろし、炎が地面を這って、パレットに迫る。
パレットは高くジャンプして、壁を蹴り上げ、ホバーの長い滞空能力を持って、雨のような銃弾を放った。
パレット「小娘だなんて、馬鹿にしないで下さい!!」
コケコッカー「事実を言ったまでだろうが!!」
怒れる鶏冠が、パレットを追尾するように飛ぶ。
高温の炎がパレットに直撃し、撃墜され、コケコッカーが追撃の蹴りを喰らわせ、吹き飛ばす。
その蹴りはかつてのイレギュラーハンターにして、レプリフォース大戦で裏切った第14番特殊部隊の隊長、マグマード・ドラグーンにとて匹敵するほどである。
パレット「痛…っ」
身体は痛みで震え、立つことさえままならない有様だが、戦意は衰えていない。
寧ろ、高まっていく。
友達を救いたいという想いが彼女の身体を突き動かす。
ハンターとなる配属式を終え、オペレーターとして配属されることとなったパレットは先輩であるエイリアとアイリスに紹介してもらったのだ。
イレギュラーハンターが誇る最強の戦士達。
他のハンター達の中には、彼らならマグマに突っ込んでも雪崩に巻き込まれて生き埋めになっても必ず脱出して無事に生還するだろうという謎の確信を持っている者さえいるほどの実力者。
パレット『オペレーターのパレットです。よろしくお願いします!!』
アクセル『オペレーター?ああ、エイリア達が言ってた新しいオペレーターって君?』
パレット『はい、後レイヤーもいるんですけど…』
アクセル『ストップ、敬語は止めてくんない?僕はそういうの苦手で。歳だって近そうだしさ』
パレット『え?あ、うん』
アクセル『僕はアクセル。よろしくパレット』
パレット『こっちこそよろしくねアクセル!!』
ルナを除けば、年上ばかりのハンターベースで、同じ歳の頃のパレットは新鮮なのだろう。
パレットも人懐っこいアクセルを気に入ったようで、会ってすぐに仲良く話す2人はなんとも微笑ましい。
歳の近い2人が仲良くなるのに時間はかからなかった。
その友達が敵の手の内にあり、酷いことをされているのではないかという不安が、そして敵への怒りが戦う力をくれた。
コケコッカー「この程度か!!お前の力はこの程度なのか!!」
パレット「違う!!私の力はこんなものじゃない!!あんたなんか、絶対に倒してやるんだから!!あんたを倒して…アクセルを助けるの…絶対に助けてあげるの!!」
パレットパレットから放たれたショットは、コケコッカーの急所に当たった。
パレットの武器のパレットバレットの一撃の威力はアクセル同様低いが、その分連射に優れ、怯んだ敵を一層追い込んだ。
勿論、コケコッカーも簡単にやられたりはしない。
反撃を試みるが、メルトクリーパーはパレットの一歩手前で止まる。
圧倒的な弾数が、コケコッカーを破ったのだ。
例えるなら、幕末の剣豪が西洋式の銃撃部隊に突撃するようなものだ。
彼は直立したまま、炎を上げて絶命した。
パレット「はあ…はあ…」
パレットはがむしゃらに銃弾を浴びせ、コケコッカーが倒れたのを見て、やっと勝利に気づいた。
その彼女に上空から現れた存在がいた。
VAVA「ふははは…オペレーターだと聞いてはいたが、中々やるじゃないか」
パレット「あんたは…」
元特A級ハンターにして、イレギュラーの最強の一角、VAVAであった。
彼はバイザーの下から満足げな笑みを浮かべていた。
楽しみが増えたことに喜びを感じているのだろう。
パレット「アクセルをどこにやったの!!?」
VAVA「坊やのことなら案ずることはない。いずれは奴の方から姿を現すだろうよ。」
パレット「返してよ…私の友達を返して!!」
一度は止んだ銃声が再び上がり、茹だるような空間に反響する。
銃弾をものともせず、VAVAは歩み寄り、パレットの目の前に立った。
パレットに恐怖はない。
敵への怒りと友達の帰還を願う気持ちが心を支え、VAVAを睨み据える。
VAVA「ククク…いい目をするじゃないか…最近のハンターにはエックス達以外ロクな奴がいないと思っていたが…確か、パレットと言ったな…?それからあの女共もいい目をしていた…今此処で殺すのは惜しいな…今日の所は退いてやろう。精々強くなる事だ。この俺の疼きを高まらせる程に!!」
その言葉を発した後、VAVAは去っていった。
次の瞬間、地響きが発生する。
アイリス『緊急事態よ!!火山の活動が戦いの影響でコントロール不能になったの!!転送可能な火口まで急いで!!』
アイリスの叫びを聞き、パレットはホバーで火口を目指して上昇する。
敵の手の内にいるアクセルの身を案じながら…。
おまけ
エイプリルフールネタ。
時期ハズレにもほどがある…(汗)
アクセル「今日はエイプリルフールだね」
ルイン「エイプリルフール?」
首を傾げるルインにルナは笑いながら説明する。
ルナ「ん~と、簡単に説明すれば嘘をついても大抵は笑って許される日のことだ」
ゼロ「小さな嘘くらいならな」
ルイン「嘘をついてもいい日なんだ~、へえぇ~……あ、ちょうどいいところに…エックス~」
たまたま近くを通り掛かったエックスにルインが歩み寄る。
エックス「どうした、ルイン?」
ルイン「エックス、私…ゼロとお付き合いする!」
エックス「∑( Д)゜゜な、何だって!?ゼ、ゼ、ゼロオオオオオオ、君という人はあああああああ!!!!」
アルティメットアーマー装着。
バスターブレード発現。
エックス鬼化。
ゼロ「ま、待てエックス!!それは嘘…」
エックス「問答無用!!!」
ゼロ「チッ!!」
強化形態を発動して、逃走するゼロ。
エックス「待てっ!!」
逃走するゼロをバーニアを吹かしながら追跡するアルティメットアーマー装備のエックス。
シグナス「ルイン…つく嘘と相手は選ばないと色々洒落にならんぞ…(汗)」
ルイン「ごめんなさい………(汗)」
アクセル「ご、ごめんゼロ…僕のせいで…(汗)」
ルナ「エックスの奴、今日がエイプリルフールだって忘れてたな++(キラーン)」
アクセル「Σ(何で光るのさ…!!?)」
後書き
今更ですけどX8編では女性陣が本格参戦しているためにアイリスがオペレーターしてます。
アイリスはエイリア、パレット、レイヤー三人の性能を持った万能タイプ。
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