オズのムシノスケ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四幕その五
何の手掛かりも匂いもありません、ワインの匂いがするだけでトトは教授に対してこんなことを言うのでした。
「ボタン=ブライトの匂いがしなくてもね」
「ワインの匂いだね」
「それが強いから」
だからだというのです。
「僕は苦手だよ」
「匂いで酔うからだね」
「僕お酒には弱いんだ」
トトだけでなく犬自体がです。
「だからね」
「それではね」
「うん、ここはね」
「すぐに出よう」
こうお話してでした、一行も酒倉はすぐに出ました。そしてその出る中で、です。教授は皆にトトとお話したことについて言いました。
「犬にはお酒は駄目なんだよ」
「弱いんですか」
「そうなんですか」
「そう、君達もだけれど」
子供である五人もというのです。
「お酒は駄目だよ」
「お酒を飲むのは日本では二十歳からですね」
恵梨香が言います。
「大人になってから」
「そうだよ」
「ロシアは皆結構飲んでますけれど」
ナターシャは自分のお国のことをお話しました。
「それは」
「あまりよくないよ」
「そうなんですね、やっぱり」
「そう、お酒はね」
それはというのです。
「子供にもよくないよ」
「そうなんですね」
「そう、それにね」
教授はナターシャにもお話します。
「大人でも飲み過ぎたらね」
「よくないんですね」
「そう、よくないから」
だからだというのです。
「君達も大人になったら注意してね」
「私はお酒を飲んだことがないの」
ドロシーはにこりと笑ってこう皆に言いました。
「オズマも他の娘達もね」
「それはボタン=ブライトもですね」
カルロスは今彼等が捜しているその子の名前を出しました。
「ずっと子供だから」
「そう、だからジュースは飲むけれどね」
それでもだというのです。
「お酒は飲まないの」
「そうなんですね」
「飲めないと言ってもいいけれど」
それでもというのです。
「どちらにしてもね」
「お酒はですね」
「私には関係ないわ」
「そうなんですね」
「どんな味かも知らないの」
そうしたこともというのです。
「だからトトにもあげたことはないのよ」
「僕っも飲んだことはないよ」
トトも言います。
「だから匂いにもね」
「弱いんだね」
「そうなんだ」
トトはカルロスの問いに答えました。
「犬自体がね」
「成程、じゃあ僕も犬を飼うと」
「お酒はあげないでね」
それは絶対にというのです。
「そのことは注意してね」
「うん、わかったよ」
「そのことはお願いするよ」
カルロスに強くお願いするのでした。
「さもないと大変なことにもなるから」
「君達にとって」
「だからね。とにかく彼は酒倉にもいなかったから」
だからだというのです。
「別の場所に行こう」
「そう、次に行く場所は」
何処かとです、教授が言う場所は。
「森かな」
「大学の森ですね」
「その茂みとかにね」
そうした場所がです、次に行く場所だというのです。
ページ上へ戻る