ハイスクールD×D~赤龍帝と覇龍~
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閑話休題『転校生は突然に……』
前書き
お待たせ致しました!
一向に筆が進まず停滞していましたが、なんとか苦し紛れに書き上げる事が出来ました
それでは本編へどうぞ!
「うむ、今日も絶好の昼寝日和だな」
「それ教室来る度に言ってるだろ?」
「つか最早日課と化してるよな暁斗」
何を言うかこのハゲとイッセーは…
「程よい日差しが机に当たる。その暖かさはまるで布団と共に日光浴をしているかのような感じなのだよワトソン君」
「いや、その例え方は色々おかしい」
そんな三文芝居をしていると、チャイムが鳴り朝のHRとなった
ガラッ と教室のドアを開け、いつものごとく担任が入ってくる
「今週は暁斗が週番だったな、挨拶頼む」
……朝から嫌な予感がしてたのはきっとコレな気がする
俺はしぶしぶ机から上半身を離し、号令を掛ける
「きりーつ礼、お休みなさい」
「コラコラ寝るな寝るな」
ちくせう、担任教師によって我が安寧は断たれてしまった……
仕方無い、休み時間に寝るとするか
「そういえば今日、転校生が来ている。HRが終わったら入って来てもらうから後は頼んだ…それじゃあ朝のHRを終わる」
ある意味この教師、俺らに丸投げです
そんな事をよそ目に教師はと言うと教室から出て行き、入れ違うように誰かが入って来る
「失礼する」
声から判断して女子である事は分かった、だが俺はそこまで興味は無いため最初の授業が始まるまで睡眠を貪る事にした
「神室祇 緋奈鞠だ。 特にこれと言った趣味は無いが、よろしく頼む」
その女子生徒は凛とした顔立ちと雰囲気を漂わせ、髪は黒のロングで大和撫子を彷彿とさせる。スタイルは有無をいわさず誰しもが抜群と称する物だ
その姿に殆どの生徒は見とれ、呆気に取られていた……約1人を除いて
緋奈鞠と名乗った女子生徒はまるで何かを探す用に周りをキョロキョロと見回すも、見当たら無いらしく近くの女子生徒に声を掛けた
「いきなりだがすまない」
「は、ひゃい!?」
「あぁ、驚かせてしまったのは詫びる。 ところでこのクラスに龍ヶ崎 暁斗と言う男は居るか?」
「は、はい。あそこに」
女子生徒が指さした方向には、机にひれ伏っしている暁斗の姿があった
緋奈鞠は礼を言い、ツカツカと暁斗の元へと向かって行った。
「そこの男子生徒、起きろ」
聞いた事はあるような声だが寝ぼけているせいもあり、誰の声であった事は覚えている気がするような……
「……仕方無い、か」
緋奈鞠はそう呟くと一度せき払いをし━━暁斗の制服の襟を掴かみ、自らの唇を重ねる
「!?!?」
暁斗は目を一瞬にして白黒させ、目の前の現状に気付いた
「んんん!?」
「……んはっ…ふぅ……」
緋奈鞠は暁斗から唇を離し、僅かながら頬を紅潮させる。
可愛い光景なのだが、状況が状況である
場所は教室それもHR終了直後、当然クラスメイトはほぼ全員居る
女子数名は顔を真っ赤にして卒倒する者も居れば、手で顔を隠すも指の間から目を覗かせている者も居た
一方男子はと言うと口を開け唖然としている者も居れば、血の涙を流すように歯を食いしばり、鬼の形相をしていた
「数年ぶりだな、暁斗」
暁斗の目には数年前旅先で色々あって知り合った親友とも言える人物、神室祇 緋奈鞠(かむろぎ ひなぎく)だった。
当の本人はと言うと暁斗の反応を見る限りしてやったと言わんばかりの笑みを浮かべている
「……ひな、ぎく…?」
「キミの愛しの神室祇緋奈鞠が会いに来てやったぞー?」
片目を閉じ、ニヤリとも言える笑みを浮かべる緋奈鞠とは反対に暁斗は肩をワナワナと震わせていた
「……バカ野郎おぉぉぉぉぉぉ!!」
「え、ちょっと何処へ…!?」
この羞恥に耐えられなかったらしい暁斗は緋奈鞠の腕を掴み教室を飛び出し、何処かへと走り去って行った
◆
「…ッア、ハァ…」
「ハァ…一体、ッハァ……突然どうしたんだ…」
暁斗が向かった先は現在、あのリアス部長率いるオカルト部以外ほぼ無人な旧校舎
二人とも肩で息をしており、緋奈鞠は喋るのがやっとだった
暁斗の返答はなく、呼吸音だけが続いた
そして暫くして、口を開いた
「……ったく、初日からなんてことしてんだよ…!」
暁斗の声には若干強みがあり、怒っているのかと緋奈鞠はやりすぎたと思ったが
「…コレじゃろくに教室入れねぇじゃねぇか……」
「暁斗……もしかしなくても、照れてるのか…?」
その顔は真っ赤とまでは行かずともそれなりに染まっており、緋奈鞠はまさかとは思いつつも恐る恐る尋ねる
「……恥ずかしくない訳ないだろこのバカが」
「いたっ」
ふざけるな、と言わんばかりに軽く頭を叩く
転校生と名ばかりの親友から初っ端からクラスメイトのど真ん中でキス……ある意味ラッキーなのかもしれんが後の事を考えるとアンラッキーしか浮かばねぇ…
「…むー、そんな邪険にしなくてもいいじゃないか」
「……転校初日から頭痛がする問題作ったのは何処のどいつだ」
そんな可愛く頬を膨らませてコッチ見たって許しません
「……キミは中々酷いな、私はファーストを捧げたと言うのに」
「ぶっ!?」
突然、緋奈鞠のとんでもないカミングアウトに俺は思わず吹き出した
え、ファーストが、え!?
「……え、あ、いや…えぇ!?」
「なんだ?その『まさかお前まだファーストだったのか』という表情は」
いやだって容姿端麗、スタイル抜群、性格も悪い所はほぼ無い………美少女の要素を満点した貴女がファーストですと?
「全く…私がそこら辺の誰とも知らん馬の骨のような奴と乳繰り合う様に見えるか?」
「いやそこまでじゃないけど、少なくともちゃんとした人を見つけて、そういう経験ぐらいあるのではないかと思っていた所存でございます」
まぁ俺はそんなの微塵もありませんけどね!!
すると緋奈鞠はため息を1つつき、呆れたような表情で口を開く
「これじゃ誰の為に取っておいたのか、無駄になってしまうなぁ」
その言い草からはいくらなんでも鈍いなどとイッセー達に言われた俺ですら分かっていた
「……なんか、色々ゴメンナサイ」
「謝られるより、私は行動で示して欲しいんだがなー」
緋奈鞠は若干ニヤニヤとしながら暁斗に対してなんともイヤらしい注文をしていた
当の本人、暁斗はと言うと脳内が沸騰しそうなぐらい羞恥心と動揺が入り交じっている状態だった
「勘弁してつかぁさい……!」
チキンヘタレ、なんとでも言え
だっていきなりキスされて、それのお返しを求められるとか無理難題過ぎますって緋奈鞠さぁん!!
俺が心の中で嘆いていると、緋奈鞠はクスクスと笑いだした
鬼!悪魔!鬼畜!人でなし!女の子のくせにカッコイイ!
「まぁ、そんな早々と答えを求めるのも味気ないし……気持ちが固まったら、返事をくれ」
「お、おう…」
俺は少しではあるが安堵の息をつくが
「その分、その時の返事、期待しているぞ?」
思っくそハードルが上げられたのであった
◆
「修羅に剣士(ナイト)候補獲得……幸先良いスタートね!」
「ウソダドンドコド-ン!!」
何故だ、何故だ部長おぉぉぉ!
何故コイツを引き入れたあぁぁぁ!
「ハッハッハ、頼むぞ?暁斗」
緋奈鞠は俺の頭をポンポンと叩きながら高笑いしている……コイツから逃げようと思った俺が愚かだった
「暁斗…この恨みはらさでおくべきか……!」
イッセーは血の涙を流しながら見た事もない鬼のような形相で睨んでくるし……いや、俺被害者だからね!?
「確か、兵藤一誠…だったかな?」
「あっ、は、はい!そうです!」
緋奈鞠に話し掛けられると先程までの形相は嘘のように消え、嬉しそうな表情に変わった………ホントに現金な奴で助かるよ、本当に……
「…シて欲しい、か?」
「え、いや、えっと…え!?」
緋奈鞠はそう言うと唇に手をやり、妖艷に微笑む姿を見てイッセーは顔を赤くし、動揺を隠せていない
「ハッハッハ、まだまだ青いな少年」
「か、からかわないで下さいよ!」
「私を落としたければ、暁斗を超えて見せてれば考えてみなくもない」
「よし暁斗!絶対お前を超えてやる!」
「だったら堕天使10人ぐらい朝飯前になるようになれ」
「無理ですごめんなさい」
折れるが早いことに定評のあるイッセーの誕生の瞬間だった
「……センパイ、不潔です…」
小猫からも言われてるぞイッセー……
「まぁなにはともあれ、これからよろしくね。神室祇緋奈鞠」
「あぁ、暁斗共々コチラこそ頼む。部長」
スッ と互いに握手をし合う
……絶対この2人に逆らったら殺されるなコレ
「あらあら、これでまた楽しそうになりそうですわ」
朱乃さんはいつもどおりニコニコとしながら頬に手を当てていた
「剣士が2人か、僕も負けていられないな」
爽やかイケメン貴公子の木場は目の奥に密かな闘志を静かに燃やしていた
とりあえず明日は自身の身のために休もうと誓った
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