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『自分:第1章』

作者:零那
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『就職』

色々問題はあった。
卒業の時、職を決めんかったのは給料が安かったから。
ずっとバイトしてきて、月20万以上は当然だった。
それが、就職になると初任給がグッと下がる。
それに納得出来んかった。
それは解るけど...
お母さんは、父親がバイトってのが許せんかったらしい。
就職して納税して保険も年金も払ってキチッと保証された中にいて欲しいって。
そこらへんは、男にとったらデリケートな問題であって、下手に口出したらプライド傷つけると思った。
だから、仕事の話はお母さんに任せっぱなしだった。

ユウは毎月10万、生活費として家に入れてる。
お母さんが決めた。
食費や光熱費でそんなに要るだろうか...
昼間は家に居ても電気つけんしテレビも見んし、携帯も無いから充電もせんのに。
零那1人増えて、上がるのは風呂やトイレにかかる電気、水道、ガス、あと食費くらいのもんやろ?
それに家賃は何人住んでも変わらんし。
息子から10万も取る意味が解らんかった。


何とか就職が決まった。
初任給から10万渡したら、残りは今迄通り、ユウの携帯代とタバコや酒、つまみ。
でも、足りん。
足りん分は零那の貯金で補ってた。
交友関係も飲みの席もある。
内緒でお金は渡してた。



相変わらず絶対安静は言われてたけど、なんとなく自分でも調子が良い時、悪い時が解ってきた。
ユウが、会社で出る弁当じゃなくて家から弁当持って行くって言い出した。
で、お母さんと話した結果、玉子焼き巻くのが嫌いなお母さんは零那に玉子焼きを任せた。
お父さん、弟、ユウ、それぞれ好みがバラバラで味付けが違う。
それを教えて貰いつつ、練習で作って本人達に味見を頼んだ。
遠慮して我慢したらずっと我慢やからハッキリ言ってなって頼んだ。
OKを貰って翌朝から玉子焼き巻き巻き。

鼻で息をせんことに慣れて、つわりも辛いけど少しは吐き慣れた。

弁当とは別に、大きいおにぎりを1つ作ってくれと要求されたので、なるべく大きくなる様に作ったらイビツな形に...
ユウは、笑いながらも『おっ!こんくらい!小さい手で良く頑張って大きくしたな♪』って。

今の会社に入って、人間関係に恵まれて毎日が楽しいらしい。
仕事自体も覚えたら楽しいって。
早く出来るようになりたいって。
やりがいが得られるようになったからか最近は優しくなった。
とゆうか、照れが無くなった?
一緒に居ることに慣れただけなんかな?
一応夫婦やし?
そこは未だに実感が無いんやけどなぁ...

 
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