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『自分:第1章』

作者:零那
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『つわり』

つわりが、とにかく酷い。
病的に。
食べるのが相当苦労。
息止めて食べても辛い。
水ですら臭くてマズイ。
口にすれば必ず吐く。
食べれるモノはピュレグミのレモンと、かむかむレモン。
後は、もう氷食症かってくらい、氷ばっかり。
体重は減る一方。
どんなに我慢して頑張っても、意地でも吐かんつもりでも、体が拒絶する。
意地だけじゃどうにもならん。
当時は細くて40kg無かったけど更に落ちた。
自分が食べれんせいで赤ちゃんが死ぬのは耐えれん。
相当な意地と努力で、どうにか食べようとした。

皆と御飯行く事も出来んなった。
てかタバコ臭い皆が近くにいること自体、耐えれんかった。


ユウのお母さんの料理を食べるようになってからは、吐くけど食べれるようになった。
つわりが落ち着いたんやなって思った。
でも、御飯屋さんに行くと入り口手前から駄目だった。
めあんち弁当ですら駄目だった。
不思議と、お母さんの料理だけ体が受け付けた。
本能的に赤ちゃんが求めてるんかな...と、思ったりもした。

栄養バランスやカロリー計算までしてくれて、一生懸命作ってる姿には頭が上がらんかった。
吐くのはおさまらん。
食べてから吐くまでの時間を少しでも長くなるように。

少しでも多く栄養が赤ちゃんに渡るように。

母性なんかチャントもてるんかな?
零那にそんなもん存在するんかな?

安定期に入ってもつわりは続く。
スーパーとか入った瞬間に嗚咽が...ってレベル。
初期と変わらん。
外食は完全に無理。
ストレスも半端ない。
発散しようがない。
大好きな海ですら、工場の汚いもん流れてて明るいときは目に入っただけで吐く。
夜、海面が見えんくても臭いで吐く。
全然気にならんかった臭いまでもが急に鼻につくようになる。
それは通常のことやって言われたけど...
それに、情緒不安定になるのも通常って言われたけど...
零那の場合、通常が異常だったりするから相当狂いそうだった。
カッターに手が伸びることも何回かあった。

次の検診時に妊娠中毒症+血液の状態が悪いとかで入院と言われた。
食生活は徹底管理されてた。
間食は元々しない。
氷のせい?
だったら一切氷に手をつけないと決意して完全拒否。
約束事を書かれて絶対に守るようにと話がついた。
ただ、食生活で妊娠中毒症になる人はそんなに居ないのだとか...
結局は体質だったりするらしい。
安定期に入って暫くだったので次の検査次第では入院。
逆子なのも気になる。

 
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