オズのムシノスケ
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第三幕その三
「日本じゃとても」
「日本にはそうしたことをする先生がいるんだね」
「はい、います」
「それはよくないね」
他の世界のことでもです、教授は恵梨香のその言葉に憂うべきものを感じてそしてこうしたことを言うのでした。
「生徒の子達にとって」
「そうですよね」
「その先生はいいよ」
何故いいかといいますと。
「自分はしないし何かを言われても気にしないといいからね、言い訳だって出来るし」
「けれどですね」
「そんな先生に教えられる生徒の子達は気の毒だよ」
だからよくないというのです。
「そうした先生がいいことを教える筈がないからね」
「悪い人だからですね」
「悪い人が先生になれば悪い先生になるよ」
「悪い人はどんな仕事をしても悪い人なんですね」
「だって悪い心のままだからね」
それでどんな素晴らしい仕事をしてもだというのです。
「悪いことしかしないよ」
「そうなんですね」
「何かをしているからいい人とは限らないんだよ」
教授はご自身も石を拾いながらです、恵梨香達にこのことをお話するのでした。とても真面目なお顔でそうします。
「どんな人かだよ」
「その人間性が大事なんですね」
「スポーツをしていても学問をしていても」
それをしていて人が決まるのではないというのです。
「その人がどうかなんだよ」
「それが大事なんですね」
「そう、学校の先生でもね」
先生が全ていい人ではなく、というのです。
「悪い人がいるから」
「そうした人には」
「話を聞くべきでないし間違っても見習ったら駄目だよ」
「悪い人をですね」
「悪い人を見習ったわ悪い人になるよ」
自分自身もだというのです、悪い人を見習うとそうなるというのです。
「だからね」
「私達も」
「そう、いい先生のお話を聞いて見習うんだよ」
「わかりました」
「いい人になる為にはいい人を見ることだよ」
それが第一歩というのです、教授は。
「そのことをね」
「わかりました、勉強させてもらいます」
「そうした人をね」
「オズの人達を見習えばいいですね」
カルロスが笑顔でこう言ってきました。
「そうですね」
「あら、私はね」
「あまり見習ったらよくないよ」
ドロシーと教授がです、カルロスの今の言葉に笑って返しました。
「結構いい加減だし」
「偏ってるところもあってね」
「貴方達よりずっと怠け者よ」
「知識をひけらかしたりもするしね」
教授は自分のそうしたところを悪い癖だと自覚しています、そうしたことにも気が付いているのです。
「だからね」
「私は見習うべきではないよ」
「他の人ならいいけれど」
「少なくとも私はね」
「僕もね」
トトも言うのでした。
「食べて寝て遊ぶだけだから」
「けれど自分で尊敬しろとか言う人って多分碌な人じゃないですよ」
カルロスは教授達のお話を聞いて何となくそう思いはじめています、それでドロシー達にもこう返すのでした。
「尊敬するなっていう人程」
「尊敬出来るっていうの」
「そう言うのだね」
「はい、ですから」
それでだというのです。
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