オズのムシノスケ
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第二幕その十一
「彼だからね」
「何時何処にいるかわからない子だからですね」
「このボタンを拾ったのはいいけれど」
「今何処にいるのかは」
「それは私にもわからないよ」
「そうなんですか」
「私は知識には自信があるがね」
伊達に教授ではありません、それもオズの国きってのもの知りと言われる訳ではありません、しかしだというのです。
「だがかかしさんとは違ってね」
「推理はですか」
「そちらは専門ではないからね」
だからだというのです。
「こうしたことはね」
「わからないですか」
「ううん、ただ」
「ただ?」
「彼がボタンを落としているということは」
このことは察することが出来る教授でした。
「彼の服に間が出来て困ってるね」
「それは間違いないですね」
「うん、だからね」
それでだというのです。
「彼に会ったらね」
「その時はですね」
「返してあげよう」
ボタン=ッブライトにというのです。
「ここはね」
「ううんと、それじゃあ」
ですがここで、なのでした。カルロスは教授と皆にこう言うのでした。
「ボタン=ブライトを探しません?」
「私達でかい?」
「はい、そうしませんか?」
「いやいや、そうはいかないよ」
すぐにです、教授はカルロスにとんでもないといったお顔で返しました。
「私は今はこの大学にいないといけないのだよ」
「大学の学長さんだからですね」
「そう、だからだよ」
それでだというのです。
「君達がボタン=ブライトを探すにしても」
「教授はですね」
「一緒に旅には行けないよ」
「そうですか」
「そう、この大学にいるのならいいけれど」
それならというのです。
「今は大学は離れられないよ」
「わかりました、じゃあ」
カルロスは教授の言葉を聞いて仕方ないですねというお顔で答えました、ですがそれでもなのでした。
トトがです、お鼻をくんくんとさせてから皆にこう言いました。
「あれっ、匂いがするよ」
「匂い?」
「匂いっていうと」
「うん、ボタン=ブライトの匂いがするよ」
そうだというのです。
「彼この大学にいるみたいだよ」
「えっ、そうなんだ」
「うん、だからね」
それでだというのです。
「探そうと思ったらね」
「探せるんだ」
「教授も一緒にね」
大学から離れられないこの人もというのです。
「出来るよ」
「おお、それでは問題ない」
教授はトトの言葉を聞いて目を輝かせて応えました。
「では私も一緒にボタン=ブライトを探そう」
「あの子が大学にいる間にですね」
「見付けてそうして」
その手にしているボタンを皆に見せながらの言葉でした。
「このボタンを返してあげよう」
「そうね、あの子がこの大学にいるのならね」
ドロシーも教授の言葉に応えて言います。
「探してね」
「うむ、返してあげよう」
こうお話を決めてでした、皆で大学の何処かにいるボタン=ブライトを探すことになりました。この時はまだ誰もこれからどうなるのか知りませんでした。
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