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オズのムシノスケ

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第二幕その八

「速球だけだったのよ」
「そうだったんですね」
「あと変化球もね」
 ドロシーはカルロスにそのこともお話します。
「カーブとかシュート位だったわ」
「あれっ、それだけですか」
「そうなの、変化球も少なかったのよ」
「二つ位だったんですね」
「カーブでドロップはあったわ」
「あの縦に落ちるカーブですね」
「そう、けれどね」
 変化球の種類はというのです。
「今みたいに多くなかったわ」
「今はかなりありますからね」
 カルロスはピッチャーの人が投げるのを見ながら言うのでした。
「カーブ一つにしても」
「ええ、さっき神宝が言ったスローカーブもそうだし」
「その他にも」
「ナックルカーブなんてものもあって」
「他にもありますね」
「スライダーとかもね」
 横に曲がるこの変化球についてもう言うドロシーでした。
「なかったわ」
「あれ結構新しいんですね」
「そうなの、あの変化球は日本生まれだった筈よ」
「日本ですか」
 ここで驚いたのは恵梨香でした。
「アメリカじゃなくて」
「そうよ、貴女の国でね」
 生まれた変化球だというのです。
「そうだった筈よ」
「そうだったんですか」
「ええ、そしてそのスライダーも」
「結構種類が多いですよね」
「高速スライダーとかね」
 ドロシーは少し投げる仕草をしました、見れば手の握り方はスライダーのものになっています。
「落ちるスライダーとかスライダーとカーブの中間の」
「スラーブですね」
「色々あるわよね」
「あとカットボールもありますね」
「ええ、スライダーもね」
 種類が多いというのです。
「本当に変化球の種類が増えたわ」
「ええと、ドロシーさんの時代は」
 カルロスはドロシーがカンサスにいた時代が何時かを思い出したましたs、その時代は何時だったかといいますと。
「まだベーブ=ルースも」
「いなかったわ」
「そうでしたね」
「本当に昔よ」
「だから変化球も」
「なかったのよ、今みたいに」
「何か想像出来ないですね」
 カルロスだけでなく他の子達もです、そのことは。
「その頃の野球は」
「グラブもとても小さくて」
 野球に欠かせないこれもです。
「今のとは全然違うわよ」
「そんなに違ったんですね」
「別物だったわ」
「何かその頃の野球は」
「カルロス達は想像出来ないわね」
「はい、とても」
 実際にというのでした。
「どういったものか」
「そうよね、けれどね」
「そうした野球だったんですね」
「その頃はね」
「そうですか」
「私は野球もね」
 このスポーツもというのです。 
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