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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第三十三話 Stage Select

 
前書き
女性陣帰投。
 

 
ルイン達がハンターベースに帰投すると、メカニックのダグラス、医師のライフセーバーは息を呑み、科学者のゲイトは表情を顰めていた。
ハンターベースのモニターには、VAVA達に捕われた少年が映されている。
白と紫を基調としたアーマーを纏うルミネは、モニターの中で、ベースのハンター達を見定めるように正面を向いていた。
珍しい金色の瞳は知性的な輝きと美しさと、どこか冷たい、不可解な不気味さを感じさせた。

ゲイト「軌道エレベーター・ヤコブの管理官ルミネ…ヤコブ管理官である彼をさらったとなると、イレギュラー達は軌道エレベーターをコントロールするつもりなんだろうね」

ゲイトが不快そうに呟く。
人類が生き延びるための最後の手段“ヤコブ計画”。
それを担うルミネが敵の手中にあった。

アイリス「でも、何のためにそんなことを…」

ルイン「分からない。でもVAVAは、“新しい世界”を創るとか…」

今回は一体何を企んでいるというのだろうか、VAVAが残した言葉の不可解さ、犯人の真意も実力も明らかではなく、焦燥を禁じ得ない。
だが、指揮官たるシグナスは努めて冷静に振る舞う。

シグナス「“新たな世界”か…いずれにせよ、奴らを止めなければな」

指令室にはシグナスやゲイト。
ルイン、ルナ、エイリア、レイヤー、パレット、アイリスがいる。
ルイン達が食い入るようにモニターを見つめているとアイリスが何か気づいたのか、モニターに別の映像を映す。

アイリス「各地でイレギュラー反応!!8ヶ所で破壊活動が開始されました!!」

地図上に8つのポイントが灯り、イレギュラーの姿が映し出された。

アイリス「破壊活動地域、及びにイレギュラーの情報を入手しました。」

次々に映し出される情報に流石のシグナスも驚きを禁じ得ない。

《メタル・バレー》

アースロック・トリロビッチ

《ピッチ・ブラック》

ダークネイド・カマキール

《ドロップ・デッド》

バーン・コケコッカー

《ダイナスティ》

ギガボルト・ドクラーゲン

《セントラル・ホワイト》

アイスノー・イエティンガー

《トロイア・ベース》

オプティック・サンフラワード

《ブースターズ・フォレスト》

バンブー・パンデモニウム

《プリムローズ》

グラビテイト・アントニオン

8体のレプリロイドの大半はヤコブ計画に関係する新世代型レプリロイド達であった。

ルイン「何で彼らが…」

ルナ「んなこたあ、どうだっていい…!!こいつらはアクセルをさらったVAVAの仲間だ…ただのイレギュラーだ!!」

パレット「ルナ先輩…そうですよ…アクセルを助けなきゃ!!こうしてる間にも酷いことされてるかもしれない!!」

年齢がアクセルとルナと近いパレットは必然的に2人と親密になっていた。
友達を失いたくはないためにパレットも今すぐにでも出撃しそうな勢いである。

エイリア「落ち着いて2人共、今は策を練る時なのよ。エックスとゼロは意識不明でアクセルは敵に捕われた。イレギュラーが8体もいる。私達がエックス達の代わりにイレギュラーを退けなければならない…。ルイン達ばかりに戦わせるわけにはいかないもの…」

エイリアの言葉はルナとパレットに冷静さを取り戻させるのには充分であった。

ゲイト「さて…僕からの報告だが…」

空気が少しだけ和らいだのを感じたゲイトはすぐにエックスとゼロの容態について報告する。

ゲイト「エックスとゼロは新型のシグマウィルスに侵されていた。幸い治療が早かったから、僕が製作したワクチンプログラムを投与するだけでウィルスは除去出来た。」

ルイン「本当に?」

アイリス「良かった…」

安堵するルインとアイリス。
かつて世界を震撼させたナイトメアウィルス事件を起こした天才科学者。
いくらゼロのDNAデータがあるからと言って、ナイトメアウィルスを造り上げた彼に取って、ウィルスやワクチンは彼の土俵だ。

ゲイト「しかし2人受けたウィルスダメージはかなり深刻だ。少なく見積もっても2~3日は目を覚まさないだろうね」

2~3日。
それは人によっては短いと感じる時間ではあるが、戦争が勃発した現状でそれはかなりのハンデだ。
シグナスは憔悴をおくびにも出さなかったが、やはり瞳の奥には苦渋の選択をせざるを得ない暗い影が潜んでいた。
無言で向ける視線にはエイリア達が映っている。
エイリアは無言で頷くとエックスとゼロがいる治療室に向かった。






































エイリアは治療室に入ると、エックス達の寝顔を見た。
ゼロは彫像のように整った顔で寝顔にさえ鋭さを感じた。
凝視すれば、その気配だけで目を覚まし、斬りつけてくるのではないかと感じさせる容貌である。
逆にエックスの寝顔は、穏やかさを感じさせた。
肉体的に成長しえないレプリロイドの、精神面での成長によって大人びた寝顔。
普段は引き締まった表情ばかりのエックスも意識を失うことで力みが取れて、幼さを残した柔らかな寝顔であった。

ルナ「出撃が決まったぜ」

不安そうに治療室に入るルナ。
エイリアは彼女に振り返ると笑みを返した。
アクセルの身を案じている彼女はどこか不安定そうに見える。
生死も分からず、どこにいるのかも分からない。
それが彼女の不安に拍車をかけた。

エイリア「アクセルなら大丈夫よ」

エイリアは安心させるように微笑みながらそっとルナの頭に手を置いた。

ルナ「え?」

エイリア「アクセルは大丈夫。証拠も何もないけど、大丈夫だって信じているわ。勿論心配なのは本当。でも、アクセルが、例えさらわれたにせよ、呆気なく敵の思い通りにはならないはずよ?ただの思い込みだけど、そう思うわ。」

ルナ「…ああ」

エイリア「私達も戦うわ、私達は戦えるオペレータだもの。エックスとゼロ、アクセルやあなたやルインには及ばないけど…精一杯戦う。3人が戦えない今こそ、私達が彼らに代わって戦うわ」

ルナ「…ああ、一緒に戦おうぜ。エイリア…頼りにしてるぜ」

指令室に入るとルインもパレットもレイヤーも臨戦体勢だ。
纏う意志がそれを感じさせる。
そして今世紀最後の大戦が…彼女達の戦いが幕を開く。 
 

 
後書き
序盤は女性陣のみ。
エックス達は中盤からかな…? 
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