オズのムシノスケ
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第一幕その九
「だからね」
「日本ですね」
「日本のデザートですね」
「甘味っていうのよね」
ドロシーは恵梨香を見て尋ねました。
「そうよね」
「はい、そうです」
「それじゃあね」
「その甘味をですね」
「皆で食べましょう。何がいいかしら」
「そうですね、今回も」
「それぞれなのね」
ドロシーは恵梨香が言葉と言葉の間に入れていたその言葉を読みました、そのうえでこう自分から言ったのです。
「ここは」
「はい、そうしましょう」
「それじゃあね、皆ね」
今回もというのでした。
「好きなもの言いましょう」
「わかりました」
「それじゃあ」
こうしてでした、六人共です。
それぞれ食べたいものと飲みたいものを言いました、すると。
羊羹やきな粉もち、それに白玉あんみつにです、他にもです。
善哉や和風のゼリーもあります。他には柿もです。
柿を見てです、カルロスは笑ってこう言いました。
「何か日本っていうとね」
「柿っていうのね」
「はい、そう思いまして」
「そうね、日本の果物はね」
「柿ですよね」
「そうね、それじゃあね」
こうお話してなのでした、カルロスはその柿を手に取りました。柿のその色が見ているだけでとても美味しそうです。
お茶もそれぞれです、日本のお茶ですが。
お抹茶や梅茶、麦茶と色々です。そうしたお茶もです。
それぞれ手に取って日本のお菓子と共に飲みます、ドロシーはお抹茶をきな粉もちと一緒に食べながら言うのでした。
「このお茶を飲むと」
「気持ちよくなりますよね」
「ええ、すっきりするわ」
こう恵梨香に答えるのでした。
「胸も頭の中もね」
「そしてお口の中も」
「とてもね。ただね」
「ただ?」
「ここはオズの国だから」
それで、というのです。ここで。
「お抹茶もね」
「国によって色が違うんですね」
「そうなるの、エメラルドの都では緑だけれど」
「マンチキンだと青になって」
「ウィンキーでは黄色でね」
カドリングでは赤、ギリキンでは紫です。
「そうなるの」
「オズの国らしくですね」
「そう、そうなるのよ」
「青や赤のお抹茶ですね」
「面白いわよね」
「とても、けれど味は」
「それは変わらないわ」
抹茶のままだというのです。
「そこはね」
「そうなんですね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「ここではね」
「エメラルドの都のお抹茶をですね」
「楽しみませてもらうわ」
「じゃあ私も」
恵梨香が飲んでいるのはよく冷えている麦茶です、この麦茶も恵梨香達の世界の茶色ではなくエメラルドを溶かした様な綺麗な緑色です。
その緑色の麦茶を飲んで、です。こう言うのでした。
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