『自分:第1章』
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『文化祭Ⅱ』
涼君が『ゆっくり話したいから体育館行こ』って。
行ったら零那が興奮してしもた。
『うおーっ!ヤバイ!体育館!バスケしたいっ!』
ボール有ったけん走って拾いに行った。
涼君に笑われた。
でも『やろっか?』って、優しく言ってくれた。
なんか、子供をあやすような感じだったけど...
涼君が零那からボール奪ってシュートしたら涼君の勝ち。
零那がボール取られずにそのままシュートできたら零那の勝ち。
零那が勝ったら涼君に何か歌って貰うって決めた。
涼君はカラオケで歌わんから単純にどんな好みなんかが興味有った。
涼君が勝ったら、零那にして欲しいこと何かヒトツって...
現実的に零那が出来ることなら何でもするって言った。
お互い本気でボールの奪い合い。
零那は必死でボールをお腹に抱える。
涼君がそれを必死で取ろうとする。
涼君に、こしょばされてボールが落ちた。
シュートされた。
零那はわざとらしく言った。
『うわぁ...涼君ってそんな卑怯な事するんやぁ...知らんかったぁ...ショック...』
『嘘嘘!冗談に決まっとるやん!準備運動やん。弱点みっけたし責めやすぅなったわ♪』
意地悪な表情...
初めて見る子供らしい表情だった。
それが嬉しかった。
バスケしてた筈やのに、いつの間にか、こしょばしあいっこになってた。
涼君も弱いやん!って解って、ついついムキになった。
小学生かって位はしゃいだ。
相当久々にこんな笑った。
ごっつい楽しい。
涼君が『なんで泣くんよっ!』って言うから『泣いてないし!』って言ったら涙拭われた。
自分が一番ビックリした。
自覚の無い涙...
『あはは♪あまりにも楽し過ぎたんやな♪』
涼君が神妙な顔で聞いてくる。
『何かあったん?』
『ちゃうちゃう!ほんまに!笑い過ぎ楽し過ぎの涙やわ♪』
『ほんまに?』
『ほんまほんま!大丈夫やで♪』
『ほんまやったらえぇけど何でも聞くよ...また笑いたくなったら、こしょばしあいっこしたげるけん♪』
最後また意地悪っぽく言う涼君が、良い子過ぎて幸せやなって感じた。
良い友達に巡り逢えて感謝。
涼君の印象も180度変わった。
暫く体育館で戯れよった。
他の生徒も遊びに来てた。
涼君は『うおーっ!涼が女と居る!』とか『涼の女?』とか言われてた。
涼君は特に否定せず。
『否定せんでええん?』
『あいつら多分言いふらすけん、そのうちユウ来てくれるよ』
『なるほど...でも勘違いしたままの子とか...』
『別に気にせんよ。それより零那さん1人にさす方が危険やし!狼ばっかやけんな!』
『ありがとぉ...』
『...聞いたよ、ユウから。急に居らんなった理由とか、あのチビにヤラレよった事とか...色々と...』
『...そっか。でも、今、涼君の本当の姿が見れて、前より近付けて、それがごっつい嬉しいよっ♪』
『変わらんよ~!前はユウの...ってのもあったし、あんま話しかけても...って感じやったし』
『そぉなんや、なんか冷めてるってゆうか大人ってゆうか...ユウに1回聞いたし、涼君ちって普通の家庭?って。もしかしたら苦しんだりしてるんかなって。』
『いやいや!至って普通♪』
『うん、安心した♪』
『考え過ぎよ~、大体、女と話すこと自体が苦手やし...』
『でも絶対モテてたやろ?』
『ケバい姉さんに囲まれて怖い怖い!』
爆笑♪
『嫌われてるワケじゃなかったなら良かった』
『嫌いとか思たこと無いし!おもしろいし優しいし話しやすいし話聞いてくれたり、むしろ...!!!』
涼君が止まった。
自分達は向かい合って座ってた。
涼君は、真ん前...つまり零那の後ろを見て止まってた。
振り向いたらユウが怖い顔して立ってた。
涼君は、何も言わず止まったまま。
『ごめん!ユウ。ビックリさせよ思て、涼君に内緒にしてもろてたんよ!』
『...樹が言いに来たわや!』
『涼君が、そのうち噂聞いてユウなら来てくれるやろぉって』
『もぉええよ涼、面倒見てくれててありがと!』
なんかトゲある...
『じゃあ俺、樹とこ戻るわ!ありがと零那さん!』
『こちらこそ!またね!』
『うん♪ユウ!後で!』
『おう!』
涼君は颯爽と走り去った。
ユウは不機嫌。
久々やのに。
やっぱイヤなんやん。
やっぱ迷惑なんやろ...
『やっぱ結局来られたら迷惑なんやん。そりゃこんなヤンキーが女とかイヤやわな。あんたは普通の真面目な高校生やし。無理あったんやろな最初から。』
『そっちちゃうし!何で言わんのん!ビックリさそ思てとかヤメろや』
『あんたかて黙って来たりしたやんか!何言うてんの!』
『俺は他の女と会って無い!』
『...は?...涼君の事?...キレる理由そこなん?』
『当たり前だろ!』
『いや!ごめん!当たり前とか言われても理解できんわ...自分、涼君と長年の友達なんだろ?零那も何回も一緒に遊んでるし、嫉妬とかなら引くよ!涼君に失礼やと思わんわけ?え、零那がおかしい?信用してる友達に嫉妬するんて普通?零那無理。』
知らん奴にナンパされて仲良く話してるなら、キレられても仕方ないやろうけど...
それに、皆と一緒は良いけど2人で話すのは無理とか...正直めんどい。
2人っきりの空間なワケちゃうし。
体育館やし人いっぱい居るし。
何があかんのんか解らんかった。
『あ~めんど~』
男が良く言う。
女からの嫉妬に対して。
まさにそんな感じだった。
零那、感覚が男寄りやなって改めて感じた...
価値観や考えのズレは当然ある。
でもコッチに居た頃には解らんかった一面。
ユウの嫉妬や独占欲が怖かった。
これくらいが普通なんか?
それすら解らん。
基本的に、今迄の人生が抑圧されて縛り付けられてきた。
だからか、もう二度と誰にも束縛されたくないし、締め付けられたくない。
その気持ちは普通の女よりカナリ大きいと思う。
涼君と樹が来た。
涼君は、樹に、ユウの態度が普通じゃない事を話したっぽい。
樹がユウに言う。
『ユウ、拗ねるなや、な?涼は零那さんが危険な目に遭わん様にしてくれてたんやん。妬くな!おもんないやんけ!一緒に廻って来いや、せっかくなんやけん!』
『そんなんちゃうし!妬いてないわ!たこやき焼いてくる!女頼むわ!』
逃げた。
やっぱ子供。
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