ロックマンX~5つの希望~
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第十六話 闇の戦士
前書き
イグニスを下し、次は…。
火力発電所を攻略したエックス達。
次はゼロがルナと共に行動する。
2人が向かったのはかつてシグマに与した元特A級ハンター、ブーメル・クワンガーが占拠したタワーを登っていた。
エックスと同じように懐かしさを感じたゼロはセイバーを構えながら辺りを見渡した。
そんな2人も、歴戦の戦士。
敵の気配を感じれば、さっと顔つきが変わる。
奥から飛び出して襲ってくるメカニロイドやランナーボムを、次々と破壊していく。
ゼロ「それにしても、同じ奴ばかり使う連中だな」
ゼロの言うことも尤もである。
今回の戦いで配備されている敵の殆どはランナーボム。
いい加減に見飽きたらしい。
ルナ「らしくないじゃねえか、ゼロ。いつものお前さんなら“イレギュラーは叩き斬るだけだ”とか言いそうだけどよ」
ゼロ「………」
そうこうしているうちに、1つの扉の前に辿り着いた。
ゼロ「ロックされているな…。しかも、相当頑丈そうだ」
近付いてもぴくりともしない扉を、ゼロが軽く叩く。
ルナ「解除するのがよさそうだなこりゃ…」
辺りを見回したルナは、壁面のパネルに目を留めた。
近付き慎重に操作する。
ゼロ「解けそうか?」
ゼロはこういう作業は苦手だ。ルナはハッキングも得意なので、順調に作業は進む。
ルナ「…ああ、これなら、何とかいけそうだ。少し待っててくれや」
カタカタとパネルを叩いていく。
数分後、ピーッという機械音が、扉とパネルの双方から鳴った。
ゼロ「早かったな」
ルナ「セキュリティが甘かったから…助かったよ」
セキュリティが甘いということは、来るなら来いということだ。
相手の余程の自信が窺える。
ルナ「…でも、ここで立ち止まるわけにはいかない。行こうぜ、ゼロ」
ゼロ「ああ」
エレベーターに乗り込み、タイヤ型のメカニロイドが複数降ってくる。
ゼロ「爆炎陣!!」
床に拳を叩きつけ、爆炎がメカニロイドを粉砕する。
ルナ「トランスオン!!イグニス!!」
イグニスに変身するとナックルバスターを構えて殴りかかる。
メカニロイドを粉砕すると次はエイプロイドとルインズマン。
ルナ「ゼロ!!」
ゼロ「分かっている!!」
セイバーに意識を向けるとセイバーの柄が伸びて、Dグレイブへと変形する。
ゼロはDグレイブを手前に引いた。
ゼロ「水裂閃!!」
目にも止まらぬ速度で繰り出す、水属性の突き。
スピードを加えるので威力は大幅に上がるが、勢いをつけなくてはいけない為に、隙が大きくなる。
一撃必殺か、サポートしてくれる仲間がいなければ危険な技。
ルナ「メガトンクラッシュボム!!」
至近距離でゼロに攻撃しようとしたルインズマンをナックルバスターによる打撃と爆弾による攻撃で粉砕する。
オリジナルのイグニスよりも能力はナックルバスターのチャージショットは炎から爆弾、ダッシュメガトンクラッシュ、ブラストボムが放てないなど劣化しているが強力な形態であることに変わりはない。
発射される爆弾には当然、爆発機能があるのだから、そこには必然的に炎に準じた性能を有する。
それに、準ずるとはいっても威力自体は炎より爆発の方が上だ。
雑魚を瞬く間に蹴散らしていき、ゼロとルナは頂上に辿り着いた。
かつてクワンガーが破壊された場所に1人のレプリロイドが佇んでいた。
ゼロ「(こいつもできるな…)」
ゼロは静かに佇む背中から、相手の実力の程を感じた。
ストンコングと同等、いやそれ以上の力を。
テネブラエ「来たか…」
こちらに振り向いたテネブラエは凄まじい闘気を放ちながら仮面越しにゼロとルナを見据える
テネブラエ「俺はあのお方からお前達の破壊を命じられている。」
ゼロ「あのお方?」
テネブラエの言葉にゼロは訝しそうに顔を顰めた。
テネブラエ「あのお方の栄光を汚す者を1匹たりとも生かしてはおけん。ここで始末する!!」
言い切るのと同時にクナイを放ち、高速移動でルナの背後に回る。
ルナ「なっ!!?」
実体化させたクナイを構え、ルナの首を掻き切ろうとしたが、ゼロのセイバーで阻まれる。
ゼロ「はあっ!!」
テネブラエを弾き飛ばし、ルナを背後にやる。
ゼロ「大丈夫か?」
ルナ「あ、ああ…全然動きが見えなかった…。」
ゼロ「ルナ、奴の相手は俺がする。お前はバウンディングをコピーしてジッとしていろ」
動かず最後まで見ていろというゼロにルナはムスッとしながらも頷いた。
テネブラエはクナイを構えて、斬り込んできた。
ゼロはテネブラエの一撃を飛んでかわす。
そして着地と同時に、セイバーで斜めに斬りつける。
しかしテネブラエも簡単にはやられず、飛びのくことでセイバーから逃れたテネブラエに、続いて2度、3度と、ゼロの攻撃が襲う。
テネブラエはクナイをもう1本実体化させ、それらを受け流しながら、一定の間合いを取り機をうかがう。
ゼロの打ち込みをかわしたテネブラエは、大きく後ろに跳んで、距離を取る。
テネブラエ「曼陀羅手裏剣!!」
テネブラエの周囲にエネルギー体の攻防一体の手裏剣が複数出現した。
手裏剣の軌道が徐々に大きくなり、凄まじい勢いでゼロに迫っていく。
ゼロ「チッ!!」
それをかわしながらテネブラエに肉薄するが、テネブラエは高速移動でゼロから距離を取る。
そして天井にハンキングウェッジで身体を固定し、複数のクナイを投擲した。
ゼロ「波断撃!!」
衝撃波でクナイを弾き飛ばし、セイバーを大きく横薙ぎする。
ゼロ「飛影刃!!」
光の矢がテネブラエに迫るが、テネブラエは高速移動で回避した…ように見えたが、光の矢が突如方向を変えてテネブラエに迫る。
テネブラエ「ぐっ!!?」
直撃を受けたテネブラエがのけ反るが、すぐに持ち直し、クナイを投擲し、クナイで斬り掛かる。
ゼロのセイバーがテネブラエのクナイを受け止める。
素直な太刀筋ながら、鋭く重いテネブラエの一撃。
ゼロはこれまでに感じたことのない痺れが腕に伝わるのを感じた。
両者の刃が噛み合い、そのまま押し合いの形になる。
両者とも一歩も引かず、互いに睨みあう。
だが、ゼロの方が力が若干上だったらしく、ゼロのセイバーがじりじりとテネブラエのクナイを押していく。
気合と共にゼロのセイバーがテネブラエを薙ぎ払った。
テネブラエはすかさず飛びのき、ゼロの攻撃から逃れると、とんぼ返りに後ろへ大きく飛ぶ。
テネブラエ「ハッ!!」
気合と共にテネブラエの姿が3体に分離し、ゼロにクナイを投擲してくる。
ゼロは一瞬戸惑うが、数々の戦いの中で染み付いた勘と戦闘経験が本体がどれかを見切った。
ゼロ「そこだ!!」
左の分身をセイバーで斬り裂こうとするゼロ。
テネブラエは曼陀羅手裏剣を繰り出し、セイバーを弾き、逆にゼロにダメージを与えた。
ゼロ「チッ…」
咄嗟に利き腕ではない方の腕で防御したが、右腕がかなりのダメージを負った。
テネブラエ「ゼロと言ったか?随分と勿体ないことをしたものだな」
ゼロ「何がだ?イレギュラー」
テネブラエ「貴様がその気ならば、我々四天王の主になれたかもしれんていうことだ。あの方は貴様のことを気に入られていたからな」
ゼロ「イレギュラー共に担がれる気はない。安心しろ、あの方とやらも、お前の後を追わせてやる!!」
テネブラエ「そうはさせん。我が主には近付けさせん」
ゼロ「お前の言う主とやらはシグマだろう?何故奴にそこまで忠誠を誓う。」
テネブラエ「俺はかつて暗殺の請負人だったが、仲間に裏切られ死にかけたところを主に拾われ、生を受けた。一度失ったこの命、主のために使う。」
ゼロ「それが例え利用されていると知っていてもか?」
テネブラエ「愚問だ。今の俺の命はあの方のためにある」
テネブラエが絶え間無く攻撃を繰り出す。
ゼロ「(何とか奴の隙を…)」
テネブラエがゼロ目掛けてクナイを繰り出してくる。
ゼロは飛びのいて避けるが、すぐさまテネブラエは身体を反転させてクナイを手に駆けてくる。
ゼロの直前に迫ったテネブラエが、クナイで斬りつけてきた時、ゼロはセイバーでクナイを受け止めると見せかけて、素早く向きを変えて跳躍する。
テネブラエのクナイから逃れたゼロは、振り向こうと体勢を変えようとするテネブラエに隙が生じたのを見た。
その隙を逃がすゼロではなかった。
この一撃で決める。
ゼロはしゃがみこみ、テネブラエが振り向きざまに投擲したそのクナイをかわす。
そのままテネブラエをセイバーで横一文字に斬りつけた。
テネブラエはそれをかわすことも、後ろへ飛びのくこともできなかった。
セイバーがテネブラエの腹部を切り裂く。
テネブラエ「ぐっ…馬鹿な…!!?」
膝を着くテネブラエ。
ゼロはそれを静かに見遣る。
テネブラエ「(ダメージ危険域、これ以上の戦闘続行は不可能か…)撤退する…っ」
高速移動でこの場を去るテネブラエ。
ゼロ「ふう…」
ゼロが溜め息を吐くのと同時に、ルナもバウンディングへの変身を解除した。
テネブラエのDNAスキャンも完了し、2人はハンターベースに帰還する。
後書き
テネブラエ撃破
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