それでも歌い続ける
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はぁ?だったら?
前書き
パーカーことシャオがスマホとiPhoneどっちも持ってるっていうツッコミも無しでお願いします。
神様に祈りながら2番目の兄貴が買ってきた沢山のケーキをパクパクと食べ続ける。兄弟以外は、俺の食べっぷりに目を丸くしていた。そりゃあそうだわ今ケーキ5個目だからな。まぁ、だからと言ってどうというわけじゃない。俺がケーキを何個食べようが俺の勝手だ。
「敬人。」
「んだよ?」
俺は、返事をして隣にいるパーカーの方を向いた。・・・・パーカーは、片手を俺の頬にあててもう片方の手で俺の口を拭いた。俺は、されたこともないことを予告も何も言わずにされたからすっげー怒った。
というか皆の前だったからかなり恥ずかしかった。
「?!!!!なにすんだっっっっ!!!」
「ごめんごめん。ケーキで口が汚れてたから拭こうと思って。」
「そう言うの先に言えよ!あとしなくていい!!」
「ケーキついたままじゃ、格好悪いぜ?」
「どうでもいいよ。そんなの!!」
いつも通りの冷たい感じでかえした後、怒りを静めるために、また途中のケーキを食べ始めた。ちなみに俺が好きなケーキは、モンブランだ。(今もモンブランを食べている)
「そういやぁ、兄貴。こんな沢山のケーキどこで買ったんだよ?ケーキって高いんだろ?」
「フフフ!実は、駅の近くにケーキ屋がオープンしたんだ。んで今日は、5000円でどんなケーキでも買い放題だったから沢山取ってきたんだ!」
「如月兄ちゃんは、そういうの上手だもんね。」
「まぁな。まだ有るから皆遠慮しないで食べな!!」
遠慮しないでと言われても皆は、そこまで食えないだろ。俺達と違うんだから。(⇦ケーキ何個でも食える)
・・・
ケーキを食べ終わると兄貴(長男)が皆に話をし始めた。俺の話だ。・・・・兄貴は、心配性だから知らない人には、必ず俺の事を話す。別に話さなくたって良いじゃん。話したから何だよ?相手にとってそんな情報どうだっていいだろ。
それに、正直あんま話してもらいたくないことだってある。俺がどんな奴だとか俺に優しくしてほしいだとか。兄貴がそんだけ考えてくれてるのは、わかる。けど俺には、いらない同情だ。今まで同情されたいと思った事は、ない。同情するならもう俺のことほっといてくれよ。一人にしてくれよ。そしたら俺は、本当に何も言わないから。頼らないから。
「兄貴。もういいだろ。皆そんな話されても・・・・。」
「敬人。俺達は、お前に頼って欲しいんだぞ?なんかあったら俺(心春)とかシャオとかに言えよ?」
「いや別に困んな・・・・」
「一人で抱えるのは、よくないよ?私達年は違うけど助けてあげられるから。」
何だよ・・・・それ・・・・。お前らに頼って何になるんだよ・・・・。俺は、友達もいらないし同情だっていらねぇんだから。一人で・・・・平気・・・・だから。
急に身体と顔があつくなった。エアコン・・・・壊れてんじゃないの?おかしいよ、絶対。変すぎる。いや変なのは、俺の方か?何時の間にか泣いてやがる。声も出さずに。恥ずかしいったらありゃしない。
俯いて泣いてるから首が痛い。うまく動かない。辛い。
泣くの久しぶりで自分が今どんなんだか分かんない。皆にどんな目で見られてんのかな。俺。・・・・頭の上に暖かいものがのった。そして撫でられている。この感じは、手か・・・・しかもパーカーの手。今俺は、パーカーに同情されてんのか。嫌だな。同情されたっていいことなんて無いんだから。
「・・・・散歩行こうぜ!敬人!」
「はぁ?いきなり何言って・・・・」
「ほら!んじゃ行ってくるよ~!」
『行ってらっしゃい!』
パーカーは、強引に俺の手を引っ張って外にでた。そしていつも歩いているところと逆方向の道を歩いていく。しばらく黙ってたが途中でパーカーが静かな声で話してきた。
「僕ね、親死んじゃったんだ。」
「・・・・笑えねぇよ。」
「本当だぜ?だから1人暮らししてんだ。バイトとかやりながら。お金がヤバいときは、学校休んでるんだ。結構辛いよ。でもそれ以上に辛かったのはさ、まわりから可哀想、可哀想って同情されたことかな。別に可哀想じゃないのに、1人でも平気なのに皆みんな同情するんだ。嫌だよね。
・・・・僕がパーカー着てんのも、男のカツラかぶってんのもそれが理由だったりする。皆に自分を見てもらいたくないから、こんな感じになったのかも。」
お前は、一体俺になんて言いたいんだ。それにそんなこと俺に言っても だから何? としか言えねぇよ。悪いけど。
「敬人って好きな歌ある?」
「ねぇよ。音楽とか聴かねーし。」
「そっか。じゃあオススメしたら聴いてくれる?」
「聴いてやんねぇ事もない。」
「じゃあ聴いてよ。最近流行りのボーカロイドの曲。ヘッドホンかすから。」
ボーカロイドか・・・・俺は、興味ないけど嫌いなわけじゃない。むしろどんな声なのかなんで人気なのかわかんないから聴いてみたい。聴けばなにか分かるかもしれない。・・・・俺は、素直に聴く事にした。
パーカーは、背負っていたリュックの中からヘッドホンとiPhoneを出した。そしてそれを俺に渡した。
「ながすよ。」
「おう。」
テンポのはやい曲だ。・・・・・・・・歌が始まった。これがボーカロイドの声・・・・。人間じゃとても出せない声だ。すっごく声が高くて出したら喉がつぶれちまう。でも鳥肌がブワッとたって感動できる。すげぇな。
俺は、途中だけどはずしてパーカーにかえした。パーカーは、俺の顔を覗き込んだ。
「どうだった?感想は?」
「すげぇよ。感動した。」
なんでかわかんないけど今の俺は、柄にあわずとても素直だ。歌の力なのかやっぱり俺がおかしすぎるのか。
「僕、歌好きなんだ。毎日歌ってる。・・・・でもこんな声だから汚くて。まわりは、いつも不愉快そうだった。音痴だから。でもそれでも僕は、歌ってる。」
そう言ってパーカーは、歌い始めた。さっきの歌だ。地声と違って気持ち悪いほど高い声を出していた。うるさいのは、一緒だけど・・・・。でもこれだけは、感じる。こいつの声は、すごい。感動できる。ただの歌じゃない。ちゃんとした・・・・『言葉』だ。
パーカーは、歌じゃなくて言葉を俺に聴かせているんだ。伝えたい歌を。
「帰ろうか。」
「ああ。」
パーカーは、さり気なく俺の手を握った。俺は、怒ろうとしたけどドキドキしていてそれどころじゃなかった。・・・・帰り道もパーカーは、楽しそうに歌っていた。一曲終われば他の曲を歌って。そして笑顔で歌っているパーカーを見て俺は、心奪われていた。
きっとこいつは、歌の主人公なんだろう。誰にも見えないスポットライトに照らされて。辛いのかもしれない同情という舞台にたって・・・・きっと結末は、ハッピーエンド。俺は、お前の人生のシナリオのなかでただの思い出(脇役)。俺がしようと思っていたようにいつか記憶から消える。観客席の奴らからも忘れられてそれで終わり。
俺って変わっている。本当に変わり者だよ。変わり者は、お前じゃなくて俺だったんだ。
「敬人?どうしたの?」
「・・・・別に。あと手。」
やっとのことでつっこんだ。パーカーが手を離したときピロロン♪と音が鳴った。パーカーのスマホらしい。
「?!皆帰っちゃったの??!」
「お前置いて行かれたのかwww」
「そうみたい。あ!じゃあ敬人家に泊まるよ!」
「それだけは、やめてくれ。」
・・・・いや訂正しよう。お前も俺と同じでかなり変わり者だよ。それが1番正しい。
・・・
家に着いた。もうパーカーと別れなければいけない。と行ってもメアド知ってるから会わないなんて事は、有るはずがない。仕方ないからもう少しだけお前の気まぐれに付き合ってやるよ。感謝しろよな。
だから俺は、決めた。
「またな。パーカー。」
「!!・・・・ああ!またな!!」
これからは、 じゃっ をやめて、 またな にするって。パーカーが気づいたのかは知らねーし、どうでもいい。気づいたから?だったら?それが?で終わるはずだ。
しばらくしてもうパーカーの後ろ姿は、見えなくなった。ーパタンー 俺は、家に入った。
・・・
夏休みがそろそろ終わる。俺夏休みほとんどぼーっとしてたなぁ。(あと受験勉強。)特にやることとかないし。まぁ、ぼーっとする事を望んでたんだからそれはそれでOKだよな。何かしようかな。最後らへんくらい。・・・・そんな事を考えてると、うっ!パーカーから電話だ?!
「んだよ・・・・。」
『もしもし?!僕だよ!覚えてる?!』
「お前は、オレオレ詐欺でもする気か?自分の名も名乗らないで・・・・。」
『言わなくてもスマホにかけてんだからわかるだろ?』
「それより要件は?無いなら切るから。」
俺は、無理やり切ろうとしたがパーカーが慌てて要件を言ったので聞くことにした。
『僕らももう夏休みが終わるから最後の思い出にプールに行こうと思ったんだ!だからいくぞ!』
「おいおい?!人の都合とか聞けよ!!そもそもどこで待ってればいいんだよ?!」
『都合とか聞かなくても敬人なら来てくれるって思ってるから。場所は、あの公園ね。バイバーイ!』
「あっ?!」 ツー・・・・ツー・・・・
切られた・・・・。早く準備しねぇと。・・・・・・・・・・・・「来てくれるって思ってるから。」って言われたって・・・・。信じられても困るんだけど。ダメだったときのこと考えろよ。
「兄貴ー・・・・ちょっと行ってくる。」
「どこに行くの?」
「・・・・プール・・・・誘われたから。ぱっ・・・・じゃなくてシャオに。」
「そっかぁー行ってらっしゃい。」
バタン
・・・
あれ以来俺は、この公園には、行かなかった。近くを通ったことは、何回もあるけど。何かあると嫌だからなんとなくパーカーに電話をした。・・・・なんでパーカーにかけたんだろう、俺。花梨とか心春でもいいじゃないか。切って他の人にかけようとしたとき。
『敬人?どうしたんだい?』
パーカーがでた。もう切れない。
「あのさぁ・・・・お前今どこにいんの?俺もう着くんだけど。」
『僕は、もう着いてるよ。皆もいるよ。』
「わかった急ぐ。切るわ。」
『ゆっくりでも大丈夫だから。』
「おう。」
急いで走ると直ぐに公園についた。皆を捜すとパーカーが手を振っているのに気づいた。
「悪い。遅くなった。」
「いいのよ。急に誘っちゃってごめんなさいね。」
「待ってたぞ!さっ行こう。」
相変わらずパーカーは、紺色のパーカーを着ている。暑くないのかよ?まあ、紺色以外だったら逆に驚くけどな。
・・・
流石に夏休みだから人が溢れかえっていた。気をつけないと迷子になる。まぁ、ここのプールは、兄貴と弟とかと何回か来てるから大丈夫だろう。
「じゃあ着替えたら直ぐ合流な。うろちょろすんなよ!」
「大丈夫だ!そういうシャオこそちゃんと待ってろよ?」
「わかってる。んじゃ。」
ー男子更衣室ー
空いているロッカーを探して着替えていると心春が俺の肩をちょんちょんと触った。「何?」とかえすと口を耳に近づけて小声で話してきた。
「ここだけの話何だけどサ」
後書き
閲覧サンクス。誤字脱字ありましたらよろしくっす。変なとこ終わりでサーセン。
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