ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第十一幕その六
「これまた最高の味」
「お好み焼きも凄いですよ」
「こんなの何処にもないですよ」
「クレープみたいで全く違う」
「絶品です」
「素晴らしい食べものですよ」
「全くだ、しかしこのお好み焼きは」
ここで、です。老紳士はふとこんなことも言いました。焼きそばを食べ終えてお好み焼きを食べながらの言葉です。
「ここに来るまでに二種類見た様な」
「このお好み焼きとですね」
先生が老紳士に応えてきました、勿論先生もお好み焼きを食べています。
「もう一つ、完全に全部混ぜてから焼く」
「そういうものも見ましたが」
「そちらは大阪のお好み焼きです」
「大阪、西日本最大の都市ですね」
「そうです、その街のお好み焼きでして」
こう老紳士に説明するのでした。
「これは広島のお好み焼きです」
「大阪と広島ですか」
「お好み焼きは二種類あるのです」
「何と、そうだったのですか」
「このことは意外でしたか」
「意外も意外」
老紳士は驚きを隠せないまま先生に答えます。
「想像も出来ませんでした」
「そうでしたか」
「お好み焼きは一種類だと思っていました」
「しかし実は違うのです」
「日本文化はわかりませんね」
首を傾げさせながら言う老紳士でした。
「その食文化は多彩でかつ複雑です」
「僕もそう思います、しかし」
「しかしですね」
「その多彩で複雑なことがです」
それが、というのです。
「またいいのです」
「魅力があるのですね」
「その魅力はもう感じておられると思いますが」
「そうですね、このお好み焼きにしても」
もっと言うと焼きそばもです。
「素晴らしいものがあります」
「これもまた日本の味です」
「この濃い味もですね」
「そうです、ソースを強く効かせた」
その味もまたとです、先生はお箸を上手に使いながらお好み焼きを食べつつ老紳士にお話を続けます。
「この味もです」
「繊細な味ばかりではなく」
「こうした濃い味もまた日本です」
「成程、そうですか」
「そうです、そして」
「そして、とは」
「このお好み焼きと焼きそばにはです」
この二つのお料理にはとです、先生はここであるものを出してきました。それは一体何かといいますと。
ビールでした、大ジョッキに並々と入っている。その黄金のお酒を老紳士に見せながらこう言うのでした。
「これです」
「エール、違いますね」
「ビールです」
この二つのお酒は少し違うのです。
「ビールが合うのです」
「あっ、確かに」
「これにはビールみたいですね」
「ビールが合いそうですね」
「この濃い味には」
「最高です」
こうまで言う先生でした、そして。
実際に飲んでからです、こう言いました。
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