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遊戯王GX 〜プロデュエリストの歩き方〜

作者:ざびー
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エピソード20 〜論破タイム!〜

 
前書き
えー、廃寮編の後という事で大抵の方が予想していると思いますが、アレですね。
今回はアンチ鮫島・査問委員会・龍牙先生なので苦手な方は戻ってください。 

 
「ふぇ〜〜〜」

温かい湯に浸かり、心の芯まで解きほぐされるような心地よい感覚から思わず声が漏れる。
現在紫苑はデュエルアカデミアにある大浴場へと足を運んでいた。大浴場と言っても、銭湯のような感じではなく、むしろアミューズメントパークと言った方のが正解のような気がする。銭湯内には、小島があったり滝があったり…とにかく広い。

『紫苑さん、めちゃくちゃリラックスしてますね〜』

肩まで浸かる紫苑の頭上をふわふわと飛びながら、エアトスが声をかけてくる。

「ん〜?エアトスか…入らないの?」

『さすがに翼が濡れるので…あと、いつ誰が来るかわかったものじゃないので。』

「むしろ、入られても迷惑……てか、早速誰か来たよ」

『早速でしたね。誰でしょうか?』

脱衣所のほうからツカツカと足音が聞こえてくる。まだ七時前なので滅多に人は来ないはずなのだが…
ガラリとドアが開けられるとスーツにメガネといういかにもお役人っぽい人が入ってくる。

「おい、叢雲しお…ブホォッ。お、おいここは男子風呂のはずだろ…」

『まぁ、そうなりますよね〜…私も初めの頃はそうでした』

いきなり入って来たと思ったら鼻血を吹き出すお役人。エアトスはちらりと紫苑の方を見るとすぐに目を逸らし頬を赤く染める。お湯に浸かっているといっても鎖骨辺りは露出していて、頬を上気させ濡れた髪の毛がよりいっそう艶かしく魅せる。

たく、こいつらは…それとしおんって言いかけてたな、俺になんかようなのか?

「俺はこれでも男ですよ……。で、なんか俺に用ですか?」

「お前が叢雲紫苑だな。今から校長室まで来てもらおうか」

鼻血がまだ止まってないらしく、手で抑えつつ言ってくる。口調は偉そうだが、全く威厳というものが感じられない。それと、上から目線の態度に腹が立つ……。

「まずはその革靴脱いで出直してください。一応、ここ風呂場ですよ。そんなマナーすら守れない人に命令されたくないし、第一にあんたに命令される覚えもない。用が明後日出直してこい、小役人!」

「ぐっ…こいつ、言わせておけばさっさと来い!!」

「全く最近の大人は自分の思い通りにならないとすぐにキレる。そこんところどう思います?それと出口のところで牛乳売ってたんで飲んだらどうですか?カルシウム不足ですよ。」

苛立つお役人をさらに挑発する紫苑。お役人はお湯に浸かっているわけでもないが顔を真っ赤にする。

「そんなこと俺が知るか!!さっさと出やがれ!」

やれやれと肩を竦め、お湯から出る事にする




「ヘックション!うぅ~…湯冷めした」

「朝風呂なんてするからだよ」

「くそ…あの男のせいだ」

「お前ら!今どういう状況かわかってるのか!」

「「まったく。というか、状況説明されずに連れて来られたので」」

紫苑と翠の全く緊張感の無い会話に我慢の限界を迎えた黒服の男が怒鳴り出す。全く短気だな…

今の状況を簡単に説明すると校長室に連れて来られると既に姉と十代、翔が居り、鮫島校長とエリート官僚っぽい奴らと対峙し、ピリピリとした空気を醸し出していた。

「では、改めて…遊城十代、丸藤翔、叢雲紫苑、叢雲翠が立ち入り禁止の廃寮へと侵入したことは調べがついている!校則違反により退学を命ずる!」

「ちょっと待ってくれよ!退学なんてあんまりだ!」

「そ、そうっす!退学反対っす!」

十代達が異議を唱えるが規則を破ったお前らが悪いの一点張りで取り合ってくれない。そして、鮫島校長は愉悦に顔を歪めている。

なるほどね…そういうことか。わざわざ俺を退学にするためにこんな茶番劇を組んでくれたのかな?なら、愉しませてもらおうか?

呼び出された意図を知ると密かに笑う紫苑。翠も紫苑の考えていたことが伝わったらしく小さく笑う。


「さて、黙って聞いてれば全く…情報なんて穴だらけだろ。そんなんで退学だ云々言えないだろ。もっとしっかりした情報を持ってこい」

いきなり口を開き、挑発的な言動をする紫苑に驚く調査委員の役人ども

「なんだ貴様は!我々の捜査に穴などないわぁ!」

「それは違うよ!」

某超高校級の人のようにビシリと怒鳴る役人を指差す

「まず人数。廃寮に入ったのは俺ら四人の他にあと三人いるぞ。その時点で捜査に穴があるよな?」

「なっ⁉︎ただ、お前らが主犯と我々は判断したのでお前ら四人を呼んだのだ!」

「だからどうした。主犯、副犯限らずこの場に呼び出して処罰を伝えるべきじゃないのか?」

くっ…と押し黙る役人ども。まだまだ終わらせないぞ

「まだあるぞ。俺らが廃寮を出たのは夜中の3時頃だ。そして、俺らが呼び出しをくらったのが6時から7時まで。捜査したとしても最長で四時間もないよな?よくこんな短い時間でちゃんとした捜査ができたなんて言えたものだな」

「と、匿名の情報があったからだ!」

「へぇ〜、情報もらっておいてよく捜査したなんて言えますね。」

「それにその情報が偽りという可能性もあるし、その情報提供者があんたらとグルで俺らを学園から追い出そうとしている可能性もある!」


「あぁ〜、なるほど。確かに穴だらけだな。なんで気づかなかっんだろうな」

「いきなり退学って言って焦らせて冷静な思考を奪う風にやってるじゃないの?」

合点がいったようで十代はなるほどと頷く。

「くっ…だが、お前らが廃寮に忍び込んだのは紛れもない事実だろう!」

「だから、その情報が嘘の可能性があるからもっと調べろと言っているんだよ」

やれやれと肩を竦めて呆れる紫苑。その挑発的な態度によりいっそう憤慨する査問委員会の役人ども。

「ついでに俺らがもしも侵入したとして、そんな簡単に入れるようにしといていいのか?侵入如きで退学にするのならもっと厳重にバリケードでも張って入れないようにしとけ」

「な、やっぱり入ったじゃないか!それにお前がいうことは我々には関係ないわ」

「それに査問委員会に責任がないなら、責任の処遇はこの学園を管理する校長ということになりますね。主に管理不行きとか、職務怠慢とかね…。仮に俺らが配寮に侵入して処分を受けたとしても、俺らだけじゃなくてあんたらにも責任が問われるぞ?」

まさかの責任転換に焦る校長。容易く言いくるめられると高を括っていたのか今は冷や汗を浮かべてどうしようか迷った顔をしている。

「な!?お、脅しのつもりですか!」

「ただの忠告ですが、ナニカ?そして、最後に…」

「はいはーい、超重要人物入れちゃってくださ〜い」

翠が外に向かって声をかけると多少やつれた男が黒服二人に両脇から固められて入室してきた。

「な、龍牙先生じゃないですか⁉︎どうしてここへ?」

「この男は闇のデュエルをしているタイタンという人物をこの学園へと招き、かつ遊城 十代と叢雲 翠とデュエルさせ再起不能にしようとしていました。」

淡々と黒服のうち一人が応える。違う違うと捕まっている龍牙先生は否定しつつづけている。

「ち、違うぞ!私はそんなことをしていない!こいつらのでっちあげだ!証拠を出せ!証拠を!」

「へー、あっそーですか。じゃあ、これなんですか?」

翠の手には一枚の紙ーー領収書が握られていた。そこには、タイタンのサインと公務員三ヶ月分の月給くらいの金額が記されていた。タイタンのやつ……意外といい商売してんな

それを見た瞬間、龍牙先生は顔を青くしていき、空気を求める魚のように口をパクパクし始める。

「わ、私は知らない‼︎た、タイタンなんて"男"知らないぞ‼︎」

「へぇー、タイタンが男って知ってるですね〜。私達一度もタイタンの性別言いましたっけ?あ、ちなみに性別推測しましたなんて言い訳は通じないんで〜。」

焦り過ぎて墓穴を掘った龍牙は絶望色に顔を染めている。まぁ、そうなるように仕向けたんだけどね。

「その男などどうでもいい!貴様は校則違反によって退学だぁ!」

脅しに屈しなかったのか、馬鹿なのか…まだ退学だ校則違反だと騒ぎたててくる。
もう面倒なので切り札をきろうかな?

「まったく…査問委員会の連中は寄ってたかって退学にしようとし、校長はそんな生徒に慈悲もかけず……どう思います?…………海馬社長?」

「「「「「!!??」」」」

最後の一言に全員が息をのみ、驚愕な表情を露わにする。そして、胸ポケットからス○ホを取り出す。翠は知っているのであちゃー、もう出すんだね。と言っている。

〔確かにな。鮫島と代われ!〕

えらく偉そうな口調の声が響き、そのまま鮫島校長へと渡す。画面を覗きこむと目を大きく見開き、表情が凍りつく。ちなみにビデオ通話である。もちろん、さっきの茶番劇もバッチリ録画してある。

「お、オーナーですか⁉︎なぜ、貴方が!」

こうして、デュエルアカデミアのオーナーことKC社、社長海馬瀬戸の介入によって茶番劇は幕をおろした。







「審議の結果、鮫島校長は減俸、査問委員会及び龍牙先生は解雇という形になりました。」

数時間後、海馬社長の右腕である磯野さんがこちらへと趣き、結末を伝えてくれる。

「どうもお疲れ様です。」

「いえいえ、これが私の仕事ですので。それとあなたたちにも校則違反を犯したという事なのでペナルティとして、制裁デュエルを受けてもらいます。ルールは2VS2のタッグデュエル。対戦相手はこちらが用意致します。勝てばペナルティ無し、負ければ停学2週間ということになります。」

デュエルと聞いて十代は早くもワクワクしている様子である。一方、翔は怖気づいている。お前ら、気が早すぎだろ…

「デュエルの日時は後日ご連絡致します。それと海馬社長からご伝言を預かってますので失礼ながら読み上げさせてもらいます。ゴホン!『デュエリストたる者、自らのロードは己で切り開け!』出そうです。それではがんばってください。」

ぺこりとお辞儀をして退室していく。なぜだろう、いつも冷静な磯野さんが海馬社長のテンションで喋ると違和感があり過ぎる…

「さて、タッグデュエルのペアだけどどうする?」

「ん〜、俺は誰とでもいいぜ!」

「そう言うと思ったよ…俺と姉ちゃんはデッキは幾つか持ってるからペアに合わせて使い分けれるけど、問題は翔だな。」

ショボーンとしていた翔は急に話題を振られ慌てる。

「エェ⁉︎俺っすか⁉︎俺なんかが組んだらペアの人に迷惑かけちゃうっす〜…」

言うと思った…と心の中で愚痴り、溜息を吐く。正直、こいつのひ弱精神をどうにかしてやりたい。ストレスから殴りそう…

「じゃあ、翔俺と組まないか!紫苑達は姉弟だからそっちのがいいだろうし、俺はも義兄弟だしな」

「うぅ…アニキ〜。一生ついて行くっす〜」

目をうるうるさせて十代に飛びつく。なんだこいつら……
そう思っているとドアがバンッ!と荒々しく開けられ三人ほど入ってくる。明日香と雪乃とコアラみたいな人だ。名前は…忘れた

「十代君、聞いたわよ!退学にされるんですって⁉︎」

「いや、それは間違いだぞ明日香。実はな、紫苑と翠が査問委員会の奴らを言い負かしてな、それはなくなった。」

「そ、そうなの…」

「い、言い負かしたって、貴方何者よ?」

「よかったんだな〜」

言い負かしたと聞いて一斉にこちらを見てくる。明日香とコアラな人は安堵の表情を浮かべていたが、雪乃はなぜか頬を引きつらせている。

「言い負かしたわけじゃなくて、ただ間違ってる事を訂正して尚且つあいつらが墓穴掘るように誘導してやっただけだろうが。人を人外見るような目で見るな」

「うん…十分それはすごいよ。まぁ、私も協力したんだけどね。」



 
 

 
後書き
テスト終わって、ようやく投稿できたよ。次回は翔君をなんとかします…………多分 
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