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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第十幕その九

「お昼だけじゃなくて」
「夜もなんだね」
「そうだったんだね」
「水芸はお昼と夜じゃ違うんだよ」
 カワウソさん達はこう狸さんにお話するのでした。
「お昼はお昼であるし」
「夜は夜でね」
「それはそれでね」
「楽しくね」
 そうしたものだというのです。
「夜にね」
「お互い見せようね」
「僕達もお昼の芸があるけれど」
 それでもとです、狸さん達も返します。
「今は何かね」
「大分飲んでるしね」
「飲み過ぎたからね」
「化けることもね」
「かろうじてだから」
 これは狸さん達だけではありません、カワウソさん達もです。
 どのカワウソさん達もかなり飲んでいます、それを見れば何とか人間の姿を維持していることは明らかです。ですから。
 お昼の芸も出せません、今はただです。
 お酒を飲んで美味しいものを食べています、そして。
 その狸さんとカワウソさん達を見てです、先生は笑顔で動物達に言いました。
「これでいいんだよ」
「こうして楽しむ飲んで食べてだよね」
「親睦を深めていくことが」
「そう、いいんだよ」
 こう言うのでした。
「芸を見せ合うこともいいけれどね」
「ただ楽しんで親睦を深め合うことも」
「そのことも」
「そう、いいんだよ」 
 そうだというのです。
「だから僕達もね」
「食べて飲んで」
「そうして楽しめばいいんだね」
「やっぱり三時はこれだよ」
 先生はにこりとしてミルクティーを飲みつつ言うのでした。
「紅茶だよ」
「お酒は飲まないの?」
 その先生にです、老馬が尋ねました。
「今は」
「お昼だからね」
 だからだとです、先生は老馬に答えました。
「今はいいよ」
「そうなんだ」
「お酒は夜だよ」
 その時に飲むというのです。
「だから今は紅茶を頂くよ」
「いつも通りだね」
「いや、このティーセットもモーニングも」
「美味しいよね」
「とてもね」
 老馬だけでなく動物皆が答えます。
「料理人の人の腕がいいんだね」
「そうだね」
「かなりね。素材も調味料もいいね」
 そのどちらもというのです。
「同じイギリスの料理でもね」
「本場より美味しいよね」
「ずっとね」
「何かね」
「味が違うよ」
「こっちの方が全然美味しいよ」
「イギリス料理でもね」
 お世辞にも美味しくないと言われているこのお料理でもだとです、先生はクッキーをお口の中に含んでから言いました。
「素材と調味料がいいとね」
「美味しいんだね」
「それにシェフの人の腕がいいと」
「そうだよ、それでね」
 如何にイギリス料理といえども、というのです。
「このお屋敷のお料理も美味しいんだよ」
「というか同じお料理でもこんなに美味しいなんて」
「日本って凄いね」
「神戸でもそうだしね」
「もう調味料が多くて」
「香辛料だって」
「イギリスではお塩とお酢とね」
 ダブダブが言います、お家のお料理を担当している。 
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