ロックマンX~5つの希望~
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第五話 エックスSIDE2
前書き
エックスSideの続きです
指令室に足を運んだエックス。
中にはエイリアとアイリスとシグナスがいる。
モニターにはレッドアラートの戦士達が映し出されていた。
エックス「シグナス、エイリア、アイリス…すまない。何も出来なくて……」
エイリア「あなたは悪くないわ」
彼女はエックスの言葉に必死に首を振った。
シグナス「エイリアの言う通りだ。」
エックス「………」
シグナスの堂々としながら、エックスを思いやる優しさに溢れていた。
シグナス「それよりもレッドアラートだ。奴らはここ最近、手口が凶悪化した。イレギュラーだけでなく一般人をも巻き込んでいる。」
エックス「ああ、人々のために戦っていた彼らがどうして…」
アイリス「エックス、私はこの事件に何か裏があると思えてならないの。何の根拠もないんだけどね」
エックス「…ああ、俺もそう思う」
エックス達はモニターを見遣るとゼロとルインの姿を見つめる。
ゼロとルインがルナとアクセルと別れ、ディープフォレストに到着した時、既に夜は明けていた。
朝日が柔らかい光を投げ掛けて来る。
鳥の鳴き声、木漏れ日は薄布の如しで、触れればふわりとしそうだった。
全く平和な朝である。
ゼロ「(アクセルか…)」
屈託のない少年を思い浮かべる。
彼はエックスとルイン、そして自分に憧れているという。
ハンターになりたいとも言っていた。
偽りのない真っ直ぐな目で。
ゼロ「(エックスとルインならともかく、何故俺に憧れるんだ?)」
端正な顔に影がかかる。
自分は憧れられるような男ではない。
何故なら自分は全ての元凶なのだから。
思った矢先に全ての真実を知る男がいた。
ルイン「ライト博士!!」
ゼロ「Dr.ライトか」
かつて2人の天才科学者がいた。
1人はその能力を平和のために使い、もう1人は己の欲望のために使った。
偶然かそれとも運命なのか…。
彼らは互いに自分が最高と自負するロボットを造り上げた。
1人は“平和”。
もう1人は“破壊”。
それらを息子に託した。
ゼロ「あなたに言いたいことがある。何故あなたはエックスに力を押し付けた?あいつは誰よりも戦いが嫌いなのに…俺はあいつを…いや、ロックマンを倒すために造られた。世界を滅ぼすために生み出された…。俺達はあなた達の下らん競争のために造られたのか!!?」
ルイン「ゼロ!!」
ライト博士に食いかかるように迫るゼロをルインが止める。
ライト『それは違う。』
ライバルで、後に敵対した友の息子。
深い深い青の瞳は、邪悪な色を映してはいなかった。
今は人々のために戦う正義の戦士なのだ。
ライト『私はあの子が幸せに暮らせることを願っている。争いのない世界で…人々とレプリロイドが共存する世界こそが私が望んでやまない理想郷だ。今回エックスに渡すアーマーはこれじゃ』
ライト博士はカプセルの中心にぼんやりとした映像を出した。
かつて見たセカンドアーマーに何処か似ているアーマーだ。
ライト『このアーマーはかつてエックスが使用したセカンドアーマーをベースに飛行能力を高めた物じゃ。名付けて“グライドアーマー”。アームパーツはチャージショットの射程と威力を高め、2発のチャージショットに匹敵する威力の追尾弾を同時に放ち、命中率を飛躍的に高めた。ポディパーツは受けるダメージを半減させ、ダメージをエネルギーに変換し、ギガクラッシュを放てるようになる。このアーマーの最大の特徴はグライド飛行じゃ。かつてのフォースアーマーで培われた“ホバリング”機能を更に進化させ、エネルギー供給を別カートリッジに分割する事で、滞空時間の上昇、長時間の滑空が可能となるとエックスに伝えて欲しい。』
アーマープログラムを受け取るとライト博士は瞬く間に消えた。
ルイン「理想郷かあ…」
エックスも似たようなことを言っていた。
今は迷っている場合ではない。
今はここのボスを叩くことの方が先決だ。
ディープフォレストの最奥に控えていた戦士。
ゼロ「できるな…」
姿を見ただけで、ゼロは相手の強さに気付く。
大きな背からは、強者の気を感じられる。
ストンコング「ゼロと言ったか、この世で最も優雅に舞う武神よ。我が名はストンコング。戦いの中にしか己を見出だせぬ。貴様と同じだ」
ゼロ「一緒にしないでもらおう。俺達は戦いが全てだとは思っていない。」
ルイン「ストンコング。あなたみたいな著名な哲学者が何故こんなことを…」
ストンコング「我が戦いは忠義が為。ここからは戦いの為の戦い。信念の剣を翳し、刃を持って語るがいい!!」
振り下ろされた一撃をゼロはかわすとルインがチャージセイバーで斬り掛かる。
真一文字に振られた一撃。
並のレプリロイドなら容易く破壊出来る一撃。
しかしそれは超硬石の盾に阻まれた。
ルイン「…っ、硬い。まさかこれ超硬度岩石!?」
ストンコング「我が盾はいかなる攻撃とて防ぐ。貴様らのそれとて同じ。」
ゼロ「調子に乗るな!!」
ゼロもセイバーで斬り掛かるが超硬石の剣で受け止められた。
ルイン「ゼロ!!」
ゼロ「力で押し切れ!!防御力がある分、攻撃に手が回らなくなるはずだ!!」
ルイン「うん!!」
脚部に力を回し、ストンコングを押し退けようとするが…。
ストンコング「これでも、か?」
逆に押し返される。
2人は足場の切れ目のすぐ側まで退いた。
ゼロ「(俺とルインの2人掛かりで力負けするとはな…)」
2人は間合いを取り、ルインがフルチャージショットを放つ。
巨大な砲撃がストンコングに迫る。
ストンコング「愚かなり!!」
吠えて巨岩を召喚した。
それはルインのフルチャージショットを弾いただけではなく。
2人に凄まじい勢いで迫る。
ゼロ「馬鹿な…一介の剣士にそんな真似が…」
ストンコング「我は力を手に入れた。戦いの為の力を!!その力を出し尽くし、強者を討ち取るのが我が生きる証!!貴様と同じく!!」
ゼロ「先程言ったはずだ。俺は戦いのために戦っているのではない。例えそのために造られたのだとしてもだ」
ゼロの振るった一撃が盾に当たるが、ゼロの手に痺れを残すだけで終わる。
ルイン「(私達には心がある。破壊の力を、守るために使うことが出来る。私達はそのために戦っている!!)ストンコング!!」
チャージセイバーを叩き込むが、弾かれた。
ストンコング[ルイン……ゼロと同じく戦場を美しく舞う舞姫よ。汝に問う。武力とは?戦いとは何か?]
ルイン「……自らの意志を、相手に強要する手段……」
エックスはそれが嫌で、でも戦いたくなくても戦うしかなくて。
他の方法を探しながら、戦って悩み続けてきた。
ストンコング「その通り!!ならば言葉は要らぬ!!信念の剣を翳し、刃をもって語るがいい!!どの道……」
ルイン「勝利の上にしか歴史は正当性を与えない…でしょ。私は私の道を行く。それだけだよ!!」
ゼロ「その通りだ。一気に行くぞ!!」
ルイン「シンクロシステム起動!!」
2人がシンクロを発動するとゼロとルインの能力が共有され、2人のセイバーの出力が段違いに上昇し、ビーム刃の長さも通常の数倍となる。
ゼロ、ルイン「「コンビネーションアサルト!!」」
凄まじい威力の斬撃はストンコングの盾と剣を両断し、ストンコングの身体に深い傷をつけた。
ゼロ「勝負あったな」
ストンコング「ば…馬鹿な…」
信じられぬという顔でストンコングは倒れた。
こずえの先に空が見える。
空に高みを極めた太陽がある。
ストンコングは自然が悠然と存在している様を眺めた。
彼の喉元には剣先が突き付けられている。
この世で最も優雅に舞う武神と舞姫が己を見下ろしていた。
ストンコング「見事だ…」
ルイン「ストンコング。あなたを連行します。」
ストンコング「連行?愚かなことよ…我等は信念の剣を翳し、刃を持って語った。それでよい…。最も強き者達と剣交えたこの戦いが、我が生涯の誉れ…」
ゼロ「お前はこのままイレギュラーとして生涯を閉じるのを望むのか?」
ストンコング「戯れ言を…ルインが言っていたように勝利の上にしか歴史は正当性を与えぬ」
ゼロのセイバーがストンコングの胸を貫いた。
エックスはストンコングの師をこの目にした。
戦場から遠く離れたハンターベースで。
エックス「(くそっ…)」
いつも誰かが犠牲となる。
傷つき、生命を奪う。
戦いは悲しみしか生み出さない。
エイリア「エックス…少し休んで。今のあなたに必要なのは休養なのよ…」
エイリアは優し過ぎるエックスを胸が締め付けられる思いで見た。
エックス「…ああ」
エイリア「そ、そう、それよりアクセルとルナのことなんだけど…」
エックス「え?アクセルとルナのあの能力のことか?」
2人が垣間見せた能力。
2人が輝いたかと思うと、全く別のレプリロイドとなっていた。
エイリア「ええ。あれはDNAデータを使って相手の姿と能力をコピーする能力なの。今は無くなってしまった研究所で研究されていたようだけど」
彼女は言葉を切ると、指令室の無機質な天井を見上げた。
エイリア「危険な能力だわ。強大な力は使い道次第で恐ろしい結果を招いてしまう。無限の可能性は同時に無限の危険性でもあるもの…」
エックス「そうだな…だが、大丈夫だ。あの2人なら、アクセルはまだ会って間もないが、ルナはそんな子じゃない。」
エイリア「そうね…」
苦笑しながらエックスは使えない腕を見つめる。
エックス「(どうして戦えないんだろう。こんな大切な時に…どうして戦えない…何も出来ないんだ…)」
彼の胸中が焦燥に掻きむしられた。
後書き
ストンコング撃破。
グライドアーマーは最弱のアーマーと言われていますが、バスターの命中率では他のアーマーより高いんですよね。
チャージショットの追尾弾はガンガルンにも当たるし
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