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ポケットモンスター ホープロード

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第八話 雄々しき保護団員、フィーア

「ッ、なるほどさっきの地震はそのガブリアスのもの…。そして上にいるのはフワライドか。だが、このバクーダはハードロックを持つ。弱点では倒せん。バクーダ、噴火だ!」

バクーダは噴火し、その炎と岩石がガブリアスに命中した。

「さらに破壊光線!」

噴火の力も収まらないうちに破壊光線を放った。




「ああっ!」

ツヴァイは思わず声を上げた。
自分のポケモンを一気に壊滅に追い込んだ相手。
確かにガブリアスは強いことを知っているがこれだけの攻撃に耐えられるとは思わなかった。



「フフ、意気込んだわりに大したこと無かったですね…。」

「……。」

それでも黙っているフィーア。

ツヴァイは恐る恐るフィーアは見ると笑っていた。

「えっ…。」


「─全く…。」

じょじょに煙が晴れていく。


「すっごい攻撃だな、周りがえぐれてて地面にもクレーターができてやがる。…破壊光線の威力だけで地面が揺れてこちらにまで衝撃が伝わってくる…。」

相手の攻撃を褒めまくっているがフィーアの声には余裕があった。



煙が晴れていくとガブリアスのシルエットがあった。

「ま、まさか…。」

「だが…、ガブリアスには全く効いて無いんだよな。」

ガブリアスは何事も無かったように立っていた。

「…。」

ツヴァイはただ、驚くことしかできなかった。
ガブリアスの強さももちろんだが…何より…

兄という存在がとても頼もしいということ。
兄がいれば…怖くなかった。

「俺の妹を傷つけた罪…重いぞ!ドラゴンクロー!」

ものすごい勢いでバクーダをぶっ飛ばし一撃で沈めてしまった。

「なっ…私のバクーダが…!」

「ガブリアスはまだ暴れ足りない…さあ、次のポケモンを出せ。」

今までにない兄とガブリアスの気迫が周りを圧倒させていた。

「全部叩き潰してやるよ!」

フィーアがそう言うとガブリアスが

「もう…やめて…兄さん…。」

か弱いツヴァイの声がフィーアの耳に届いた。
いつもはフィーアのことは兄貴と呼んでいるが、この時は兄さんと呼んでいた。

「た、確かにあの人は悪い人だけど…ポケモンは悪くない。ポケモンは利用されてるだけなんだ…。」

「…ツヴァイ…。」

そう訴えるツヴァイの頭を撫でながら言った。

「わかってるよ、ツヴァイ。でも…その甘い判断が…あんなことにつながったんだ…。」

それでも涙を流している頬を拭いてあげた。



「フン、そっちに構っている場合かな。オニゴーリ、ふぶ─」

「……ガブリアス、大文字。」

吹雪打消し、を大文字でを焼き尽くした。






「たとえ悪魔と呼ばれようと家族を守る。そして探し出す。…その上で…お前らのような奴からポケモンを解放して見せる!!」

その声が辺りに響き渡る。
フィーアの覚悟の叫びだ。





「セルケト様…。これ以上の手の内晒しは…。」

「ああ、わかっている。私も少し熱くなりすぎた。」


グオングオンという音ともにヘリがやってきた。
そのヘリからプシューというガスが流れた。

「うっ…なんだ。」

「ケホッケホッ。」

目にも沁み、二人は目を瞑って口を覆った。
ガブリアスとフワライドもガスに苦しんでいた。
これはポケモンによるガスではない。人工的なガスだ。

グオングオンというヘリの音が収まる。

「くっ…大丈夫か、ツヴァイ。」

「うん…。」

意識が朦朧としてきて自分が何を言っているかわからなかった。

「おいっ、ツヴァイ!大丈夫か、しっかりしろ!」

兄の声さえ遠くなっていき、意識がふわふわとしていく。
何も考えられずあっという間に視界が真っ暗になってしまった。
















「んっ…ん…。」

目が覚めると暗い部屋のベットで寝ていた。
横の方を見ると隣でドライが眠っていた。
イスに座ったまま…寝落ちしてしまったらしい。

「兄さんッ!?」

その声でピクリと動き目を覚ました。

「あっ、ツヴァイ…?良かった、目を覚ましてくれて…。」

「兄さん…あの、どうして…ここに?」

「フィーア兄さんがコトブキ病院に運んだんだよ。謎の黒服の男達と戦って、怪我したんだよ。」

ここでやっと頭の整理がついた。

「兄さんは…フィーア兄さんはどこに!?」

「…多分、兄様に怒られて…廊下にいるんじゃないのかな。」

「そんな、兄さんは…僕を…。」

助けようとしてくれたのに。
フィーアを探そうと起き上がろうとすると背中に激痛が走った。

「ううっ…。」

「無茶しないで。」

ドライが肩を掴んで寝かせた。
その時、ふと時計が目に入った。
夜中の一時だ。さすがにフィーアも寝ているだろう。

「わかってるよ、ツヴァイを助けに行ったことくらい。僕にネンドールを貸してほしいっていうから気になってたけど…。多分、コトブキでは事件が多いから心配したんだろうね…。だったら、一緒に行動すれば良かったのにね。」

「そんなこと言わないでよ…フィーア兄さんは…。」

「そういえば、ポケモン達は回復してるから安心して。」

「あっ…。」

ずっとフィーアのことを引きずっているようなので話を逸らした。
すると途端にツヴァイは暗い顔になった。

あんな負け方は今思い出すだけでも胸が締め付けられるくらい悔しい。
自分が未熟だからポケモン達はあんな負け方をしたのだ。

「ううっ…僕のせいで…グレイシア達は…。」

「…ツヴァイ…。」

ツヴァイの心に深い傷を残したのだった。
そんなツヴァイの背中をドライは優しくさすってあげた。 
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