転生赤龍帝のマフィアな生活
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十三話:狂った神父と聖女
前書き
今回はバジル君メインです。
それでは本文どうぞ。
Sideバジル
悪魔の仕事である依頼主の願いを叶えると言う契約。人によって願いは様々ですがそれらに可能な限り応えていくのが拙者に与えられた使命……以前に依頼を受けた魔法少女にしてくれと言う願いは流石に拙者の力では不可能でしたがそれ以外はかねがね上手くいっていると思います。契約も幾つかとることも出来ましたですし、親方様にも筋が良いと言われたので最近は契約を取ることが楽しくなってきています。さて、今日は一体どんな依頼主がどんな願いを持っているのでしょうか?
「初めまして、拙者、グレモリー眷属悪魔のバジルと―――」
魔法陣から出てそこまで言ったところでこの家の異常さに気づく。
すぐ最近の物と思われる濃い血の匂い、不自然なまでの静けさ、すぐに警戒を強めて慎重に唯一明りのともっているリビングに向かう。
「こ、これは……。」
リビングに入ると共に拙者の目に飛び込んできた物は―――死体。
上下逆さまの状態で磔にされており、体は切り刻まれ内臓は飛び出している状態。
そして血で書かれた文字―――
「『悪いことする人はお仕置きよ!!』って、聖なるお方の言葉を借りたものさ。」
「何者!!?」
「あれあれ?これはこれは、くそったれのあーくま君、じゃありませんか。」
「お主がこの惨状を作りだしたでござるか?」
「イエスイエス、いかにも俺が殺っちゃたよーん。だってさー、悪魔呼び出す常習犯みたいだったしぃ?デスしかないっしょ。」
狂った人間、少しの言動からでも分かる異常性、それにあの服装と背筋が冷たくなるような感覚……悪魔の天敵である悪魔祓いであることは間違いないでしょう。
「取りあえず、今日この場で出会えたと言う奇跡に感謝してぇ―――死ね。」
「断ります!!!」
光の剣と銃を取り出し、攻撃してくる悪魔祓い。
「銀狼の牙!!!」
「わお!!なに糞悪魔のくせに生意気に神器なんか持ってんですか?ムカつくんだよ!!!」
光の剣を銀狼の牙で防ぐ、あれは当たるとまずいですね。悪魔にとって光は毒、当たれば無事ではすみません―――っ!!?
「はあ?銃声の聞こえないこの銃をなんでよけれるんだよー、きみ。」
「撃たれてから避けることは難しいですが引き金を引く瞬間を見ておけば避けれないものでもありません。相手が銃を持っている場合の常識です。」
「おいおい、キミ何そんな無駄な技術持っちゃてんの?トーシロじゃないの?」
「これでもマフィアなので。」
そう言いながら斬りかかるがひらりと交わされてしまう……この神父中々やりますね。
「悪魔でマフィアなんて救いようがないトーンデモないゴミですねー。」
「お主にだけは言われたくないでござるな。」
銃が放たれるのを察知し、直ぐに距離をとる……これだけ狭いと銀狼の牙も扱いづらいですね……ここは一先ず引いて体制を立て直すべきでしょうか―――
「キャアアアアアアッ!!!??」
悲鳴につられて振り返ると金髪の女の子が磔にされた死体を見て絶叫していた。
「ふ、フリード神父、これは一体?」
「可愛い、悲鳴ありがとうね、アーシアちゃん。そっか、アーシアちゃんはこの手の死体は初めてですかねぇ?ちょーど良かったです。よーくご覧になっちゃってください!!悪魔さんに魅入られるような糞人間さんはこんな風になるんですよぉ?」
「ふざけたことを!!!」
「おやおや、悪魔くんが生意気な口聞くんじゃありませんよ。アーシアちゃん、ちょーと待っててね?ちょいちょいとそこの悪魔くんを殺っちゃいますから。」
戦闘再開に備えて再び銀狼の牙を構えます、が、それは金髪の女の子―――アーシア殿がフリードと拙者の間に立ち塞がったことで出来なくなりました。
「……おいおい、マジですかー。アーシアたん、キミ、自分がなーにをしてるのかわかっているのでしょうかぁ?」
「……はい、フリード神父、例え悪魔であっても不用意に人の命を奪うことはあってはいけません……この方を見逃してもらえないでしょうか?」
なんと…なんと優しい方なんでしょうか……シスターであっても悪魔である拙者を庇うなんて……普通は出来ません。
「ちょいちょい、なーに言っちゃってんの?悪魔は即、デスでしょうが?もしかして君達出来ちゃってんの?いいねー、シスターと悪魔の禁断の恋―――ふざけてんじゃねえよ!!!」
「ふざけていません!!!フリード神父、こんなことを続けていれば主がお許しになりません!!!」
「いいんですよーだ、どうせおれっちはぐれだしー。」
はぐれ悪魔祓い……あの男なら納得ですね。イタリアの方で何度か他の悪魔祓いに会ったこともありますがあのような異常人物は今まで見たことがありませんし。
「そんな悪い事を言うアーシアたんにはお仕置きですよ―――そこどけよ!!!」
「きゃあああっ!!?」
「アーシア殿!!?」
「ゲフウウウウウウウッッッ!!!??」
アーシア殿を殴ろうとしたフリードは目にも留まらぬ速さで繰り出されたアーシア殿の拳をもろに受け、壁を貫通してそのままどこかへ飛んでいってしまいました……。
「………はう!?ど、どうしましょう!!?フリード神父を吹き飛ばしてしまいました!!!す、直ぐに治療しに行った方がいいでしょうか!!?」
「………別に行かなくてもよいのではないでしょうか?」
「で、でも、人を殴ってそのまま何て……ああ!!神よ!!!」
うっ!!地味に祈りが効きます……でも本当にこの後どうしましょうか?
そんなことを考えていると直ぐ近くに魔法陣が現れた。あれは、親方様?
「やあ、バジル君、助けに来たよ……って、もう大丈夫みたいだね。」
「流石は私の眷属ね―――て、何かしら壁に空いたあの人型の穴は?」
「あはは……拙者ではなくアーシア殿が空けたものです。」
「あの子……シスターね。」
「あうう…。」
「親方様、アーシア殿は決して悪い方ではありません。悪魔である拙者を庇ってくださったのですから。」
「い、いえ、私はただ人が傷つくのが嫌だったんです。」
「そう…悪魔がシスターにこんなことを言うのも可笑しいかもしれないけど私の眷属を助けてくれて感謝するわ。」
「いえ、私がしたかっただけですので―――」
ドガーンッ!!!
突如起きた爆発音と共に崩れ落ちる壁……はあ…あの人は玄関から入ってこようとは考えなかったのでしょうか?
「何!?敵!!?」
「なんだ?もう終わってやがったのか?久しぶりに運動をしようと思ってたんだがな―――って、汚ねえ死体だ。」
「い、一誠!!?」
「イッセーさん?」
「……クロームちゃん。」
「あ…小猫ちゃん。」
死体を蹴り飛ばしながら現れたのはクローム殿を後ろに従えた一誠殿。そう言えばアーシア殿とも知り合いなのでしょうか?
「い、イッセーさん、どうしてここに?」
「あ?その指輪を着けてりゃ、どこにいようが繋がってられるつったろ?そいつには発信機がついてるからな。」
「お兄ちゃん……それストーカー…。」
クローム殿がぼそりと呟いた言葉に内心頷く、間違っても口には出しません。
拙者まだ生きていたいので。
「ストカーじゃねえよ、アーシアの身の安全のためだ……今回はカラス共が絡んでやがるからな。」
「堕天使が?」
「っ!!部長、この近くに堕天使らしき気配が近づいていますわ。」
「あなたの言うとおりね……堕天使の狙いは分かってるの?」
「大方予想は出来てるが……今はその暇はねえだろ?」
「そうね……みんな、いったん帰るわよ。」
「アーシア殿はどうするのですか?」
「なんのために俺が来たと思ってんだ?……ドカス共をカッ消すためだ。」
「ダメよ!!!あなたが教会と関係がある以上戦争になりかねないわ!!!!!」
「カスが俺に指図すんじゃねえ!!!カッ消すぞ!!!!!」
そう言うと同時に拙者達に殺気を飛ばしてくる一誠殿……心臓が止まるかと思いました。
「俺は誰の指図も受けねえ!!!俺はてめえの生きたいように生きて、てめえのなりたい自分になるだけだ!!!分かったか!!!!!」
「っ!!?やっぱり……あなたが……!!」
朱乃殿が何かに気づいたようにしていますが拙者には何のことか分かりません。
「あ、あのイッセーさん。」
「あ?」
「その…私には難しいことは分からないんですが…やっぱり人を傷つけるのはいけないと思います。」
「てめえも俺に指図する気か?」
「違います!!これは…その……友達としてのお願いです。イッセーさん、今回だけでいいので戦うのはやめてください!!!」
「…………………」
じっくりとアーシア殿を見つめ熟考する一誠殿、その様子を見てクローム殿が頬を膨らましているのは何故なのかは拙者には分かりませんけど。
「……今回だけだ。」
「っ!!ありがとうございます!!!」
「ちっ……。」
あの一誠殿を説得するなんて……やはりアーシア殿は只者ではないようです。
「それでどうする気なの?私達の魔法陣は眷属にしか使えないわよ。」
「カラス共の目を眩ます、クローム。」
「…………………」
「クローム?何をすねてんだ?」
「お兄ちゃんのバカ…。」
「くっ!?……良く分からねえが俺が悪かった…機嫌直せ。」
クローム殿の頭を優しく撫でる一誠殿、クローム殿は頬を赤らめて気持ちよさそうに目を細めています。こういう時に日本ではご馳走様と言うんでしたっけ?
「………危ないわね。」
「ええ、道を踏み外さないか心配ですね。」
「お兄ちゃん…もういいよ……がんばる。」
「任せたぞ。」
何やら藍色の箱らしきものを取り出すクローム殿、あれは一体?
「ムクロウ…お願い。」
『霧フクロウ開匣!!』
「フクロウ?」
「ムクロウ…この家に誰も入れないように幻術をかけて。」
ムクロウと言われたフクロウが羽を広げると同時に霧に家が囲まれていきます。
これが幻術……。
「これでしばらくは誰もこの家に入れないと思う…。」
「よくやった、クローム。」
「うん…/////」
「えっと…どうなってるのかしら?」
「カラス共を騙すための時間稼ぎだ。ここにアーシアがいると思っているカラス共はクロームの幻術がかかっている限りはここで足止めだ。その間に俺とクロームがアーシアを安全な場所に移動させる。」
「移動中に見つからないかしら?」
「ムクロウが残ってクロームが俺らと行くから問題はねえ。」
「頑張って…ムクロウ。」
「付いて来い、クローム、アーシア。」
「うん…。」
「は、はい。」
そのまま霧の中に消えて行く三人。御武運をお祈りします。
「私達も戻るわよ……それにしても、この子は何なのかしら?使い魔みたいだけどそうじゃないし神器でもないみたいだし……。」
「ホー。」
「部長、今は帰るのが先ですよ。」
「そうね。」
そうして拙者達はこの家を後にした。
Sideoutバジル
「ここなら安全だ、俺の家だ。」
というか俺の後ろにいさえすれば安全なんだがな。
「お、お邪魔します。」
「…ただいま。」
「お帰りなさいませ、坊ちゃま、お嬢様。あら、お客様ですか?」
「しばらく家に置いておくことにした、アーシアだ。」
「アーシア・アルジェントです。よ、よろしくお願いします。」
「ご丁寧にどうも、メイドのミランダと申します。どうぞお見知りおきを。」
「は、はい!!」
「それでは、私はアーシア様の寝具を用意してきますね。」
「ああ。」
「アーシア、適当にくつろいでろ。」
「あ、ありがとうございます。」
それだけ聞いて俺はソファーに座り込む。
今日はカッ消せなかったが堕天使は必ずカッ消しておかないとな。あいつらの狙いは十中八九アーシアの神器だ。何に使うかは知らないがあいつらの思惑通りに進めさせる気など毛頭ない。
だが、リアス・グレモリーの言う通り派手に動き過ぎれば最悪戦争だ。俺は別にそれでも構わないんだがよくよく考えてみるとそんなことをしてしまえば地域住民に被害が及ぶ可能性があった……うかつだった。今度からはしっかりと地域住民への保護対策をしてから戦争をふっかけないとな。
(結局戦争はふっかけるのだな。)
(俺に従わない奴はカッ消すだけだからな。)
(相棒はまさに『暴君』だな、今まで長らく人間を見てきたが相棒ほど身勝手で強い人間は見たことが無い。)
(当たり前だ。カス共と一緒にするんじゃねえ。)
二人仲良く麦チョコを食べているクロームとアーシアを眺めながらドライグと話す。
正直癒される……。
そう言えば、あの発信機付き指輪そろそろはずさせても大丈夫だな。正式に晴れのボンゴレリングを渡そう。
「アーシア。」
「はい、なんですか?」
「受け取れ。」
アーシアに指輪を投げ渡す。
「ひゃっ!!……また指輪ですか?」
「お前が今着けてるのは発信機付き偽物だ。そっちが本当に渡したかった方だ。」
「そうなんですか?あの……最初にもらった方も持っていていいですか?」
「構わねえが……なぜだ?」
「イッセーさんが初めて私にくれたものなので…その…持っていたいんです。」
「…………貸せ。」
「え?」
「発信機だけ取ってやる。」
「あ、はい。」
まあ、大した手間じゃないし構わないよな?
べ、別にそこまで喜んでくれていたのが嬉しかったからじゃないぞ?本当だ!!!
後書き
バジル君の戦闘を書こうと思ったらアーシアが全部持っていってしまった……。
これならファーブニルが出ても安心だね(ニッコリ)
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