『自分:第1章』
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『オッチャンと』
電話の後、逢うことになった。
フェリーに乗る。
今日も海月は気持ち良さそうに波に揺られてる。
売店でドライ買って海月を数えながら飲んだ。
島から高松迄60分。
その間に飲んだのは3本。
高松着いて、また1本買ってから降りた。
オッチャン見当たらず。
下手に動かず、降りた港で飲んだ。
すぐ飲み終わった。
その瞬間、背後から首根っこ掴まれた。
海に落とされそうになって、そのままグイッと引き戻された。
オッチャンの顔が見えて、おなかにトンッとなった。
『...結構びっくりしたよ?』
『誰がこんなとこで明るいうちから飲みよんなぁ!中毒か!』
『...!!!そぉなんかも!!』
『あほか!飯は?』
『あ、そっか~やけんなんか気持ち悪いんかも!』
『空腹で飲んでんのか!そらあかん!飯や飯!』
駅ビルの[さぼてん]行った。
普通に手ぇ引かれて行ってるけど、周りの視線が少し痛い...
どぉ思われてるんやろ。
組長と娘?
援助?
愛人?
ただ単にオッチャンが恐くて?
今迄他人の目やか気にすること無かったから解らん。
ただ...零那は、オッチャンと外を歩いてるだけで嬉しかったりする。
決められた時間と場所でしか会ったこと無かったから。
戸惑いだったり恥ずかしさだったり...
変な感じ...
此の手を引いてるのが父さんやったら...
逢いたい、父さん...
オッチャンと重ねる。
店入るなりオッチャンが『生2つ!』って。
『いやいやそんなすぐ言わんでも待てるよ?中毒ちゃうし?』
『自信無いんか!まぁえぇや、足洗った祝杯や♪次はコッチの世界くるか?』
『でも、女極道とか居らんやん。』
『極妻なるか?お前ならOK!』
『考えとくわ!』
笑いながらそんな冗談話をする。
乾杯した。
次々と料理がくる。
『いつも飯食わんのか?』
『たまたまよ。起きてすぐ電話したし。』
『寝れなんだんか?』
『逆。爆睡。』
『ふつうに寝れたんやろ?良かったやんけ。』
『ん~...普通では無い。麻酔残ってたんや無いかな?』
『なんのやっ!』
『あ~...長くなるよ...』
『かまへん!いつもみたいにちゃんと話せ!』
説明した。
『よぉ生きとってくれたなぁ...ありがとぉ。』って言われた。
もぉその言葉が幸せだった。
生きてることを感謝されるって最上級やろ?
養父を撃ち殺す夢を見たってのも話した。
『おまえに銃は渡せれんなぁ』って笑われた。
『握ったことあるで。』
『撃ったんか?』
『撃ちたい人其処に居らんかったしなぁ~、人のやし。』
『人のって、おまえ、いつからヤクザと連んどったんや!』
『だって好きやもん♪』
『あほや...』
『ええねんアホで。だって父さんが生きてた世界やん。否定したくないし好きでいたい。オッチャンみたいな良い組長も居るんやし、父さんみたいな良い人もいっぱい居るんやろなって信じてる。やからヤクザはやっぱ好きや♪』
『まぁバカなチンピラもバカな上も居るけどな♪』
『まぁねぇ♪』
そんな笑い話をしながら3時間程して[さぼてん]出た。
『次どんな処に行きたい?』
『え、解らんわぁ~、任すよ♪いっそ海でも♪』
『無理っ!』
食い気味で突っ込まれた。
何処かに電話してた。
フェリーの最終って思ったけど、まぁ帰らんでもえっかって思った。
バイバイしたら港で海月眺めながら飲んで始発待てば良いし。
時間いけるんか?って聞かれて、帰らんから大丈夫って言った。
ほな飲み明かそか♪って。
連れて行って貰った店は居酒屋みたいな安い店じゃなくて、でも高級料亭っぽくなくて、和装の品ある美人女将が居る、温かくて落ち着く高級和食店だった。
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