『自分:第1章』
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『共感』
家に居たくなかった。
コンビニ行ってドライ飲も。
バス停に向かう。
コンビニ到着。
立ち読み...座り読み。
写真、雑誌掲載されたらしく確認。
Ping(ピン)ってゆう風俗雑誌。
ちゃんとモザイクかかってた。
ふと、ガラス越しに黒塗りの車が入ってきたのを見た。
テンションあがった。
おっ!!
33グロ!!
カッコエー♪
いかつい♪
ちゃんとイジッとる♪
免許無いくせに車好き。
降りてきたのは金髪の男。
年は30位で濃い顔。
オレンジ色のジャージ。
背中にでっかいハイビ柄。
明らかにヨソモン。
で、カタギでもないニオイ。
そのハイビ男は、零那の後ろを通ってトイレに行って、買い物して、すぐに出た。
零那もドライ6本入りのん買って出た。
出てすぐゴミ箱の横で飲み出した。
無駄にだだっ広い駐車場。
此の敷地内、小学校の50Mプール何個置けるんやろって感じ...
33グロのエンジンがかかる。
おっ!!
エェ音♪
...って、コッチ来る。
横付けされた。
『此処ら遊ぶ所無いん?』
『島はマルナカくらいしか無いよ。ゲーセン、カラオケ、オリーブ温泉も在る。』
普通に遊ぶんなら島の人間も高松、岡山、大阪に出て行く。
この時、既に7時過ぎ。
軽く島に軟禁状態。
島からでるフェリーは無かった筈。
高速艇の最終はあったかも知れんけど把握して無かった。
てか、バスすら本数少ないし最終も早い。
此のコンビニ、徒歩だと家迄40分位。
基本的に、長距離を歩いたり走ったりは慣れてるし、苦痛では無いけど...
面倒な時はあるよね。
しかも帰りたくないし。
でも此処にズット居るのは微妙やし。
色々考えてた。
『誰か待ちよん?』
『待って無い。』
『何しよん?』
『デリ。』
『は?』
『...あー、飲む?』
ドライ差し出した。
素直に飲み出した。
良く、街で仕事何しよんって聞かれてたからクセで言ってしもた。
何事も無かったかのように何気ない会話が続いた。
33グロが好きなんも言った。
暫くして携帯が鳴ったらしく、話してた。
島には出張で来てるって。
で、此処には弁当買いに来たらしい。
何人分かの。
帰らなあかんから乗れって。
送るって。
帰りたくないから拒否った。
ほな帰らんでえぇからとりあえず乗れって。
このまま此処に居ったら危ないからって。
車内で聞かれた。
どぉするつもりやったんか。
フェリー乗り場のバス停は、家みたいな小屋になってる。
其処に...
って話をしたら怒られた。
潮風、潮の匂い、海月を眺めるのが好き。
道路に寝そべって星や月を眺めるのが好き。
誰も居らん静かな港で独りで...
呆れてた。
ガキって思われたんやろな。
デリも辞めなさいって言われた。
なんかムカついた。
帰るん嫌なら、寮やけど個室やから泊まってけって言ってくれた。
良く解らん。
掴めん人やと思った。
靴を持って部屋にあがった。
弁当渡しに行ってる間、机にあったノートを何気に見てしまった。
『死にたい、消えたい』って言葉が、一面に荒っぽく書かれてた。
心臓がギュウーッ!ってなった。
結構年上な筈。
でも、精神的に弱いし、たぶん中身も子供やと感じた。
泣きたい?
泣けた?
泣いてない?
気になるとかおかしい。
てか、自分の事でいっぱいいっぱいやのに...
どうにかしたげたいとか間違っとる。
無理やし。
どうにもならん。
足音がしたから、慌てて座った。
飲みかけのドライ飲んだ。
ふと、ソコに置いてあったDVDのタイトルに目がいった。
『Deep Love』
Yoshiの作品で、当時、シリーズで何冊も出てた本を全部買ってた。
携帯小説から書籍化された。
携帯小説が流行る発端になった人。
同じ作品...
複雑やった。
DVDを手に取った時に戻って来た。
『...観るん?』
『.....』
『観ん方がええない?』
『...てか、原作全部持ってるし。DVDの存在は知らなんだけど。』
『マジで!パオの貸してや!』
『わかった...んっ!』
鞄から出して渡した。
零那の鞄には、ありとあらゆるものが入ってる。
ふと、ノートを取られた。
『Secret Note』って書いてるんやけどなぁ。
過去をありのまま綴った...詩とは呼べん詩。
闇を晒した醜い言葉達。
既に読んでるからもぉヤケクソで飲んだ。
暫くして頭わしゃわしゃされた。
『俺も大概やけどお前もやな。』
いろんな事を晒した。
話した。
お互い...
早くから、内面的に解り合えた気がしてた。
この人は何年一緒にいても誰かに100%素直に心を開くことはない。
繊細なくせにプライド高い。
誰より温もりを欲しい筈やのに、他人には優しくないし無神経。
感情が欠陥してる。
其れは事実。
性格や人格、名前や年すら、どぉでも良かった。
お互いに共感した。
疲れてた...
こんな自分の事を、解ろうとしてくれる。
人格障害、睡眠障害、過呼吸、リストカット...
興味本位で相手出来るような自分では無い。
それでも、この人は、アッサリ軽く受け入れた。
其れに恐怖すら感じたほど。
愛情も同情も要らん。
ただただ、汚してくれたら良い。
イタミやヨゴレで存在してることを実感出来る。
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