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遊戯王GX 〜プロデュエリストの歩き方〜

作者:ざびー
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エピソード15〜轟く、氷竜の咆哮〜

 
前書き
気づいたら総合評価が3桁に達してました!!めっちゃ嬉しいです!評価してくれた方、お気に入り登録してくれた方ありがとうごさいます。これからもよろしくお願いします 

 
召喚されたのは【サウザンドアイズ・サクリファイス】。そのモンスターの降臨とともに刹那と対峙している京子の様子に異変が起こる。

「ぐ…なに、これ……おかしいわ…あぁ、アァァァァァァァ!!」

頭を痛そうに抱え、突如奇声を発するとその目からハイライトが消え、正気ではないことがうかがえる。

「ぐ……グフ…グフフ…我、ついに身体、手に入れた。」

口調が一転し、纏わり付くような陰湿な雰囲気から身の毛がよだつような雰囲気へと変わる。

「な、なんだ!?京子先生がおかしくなっちまった!!」

「いや、多分違う……サクリファイスに自我を乗っ取られたんだ…」

精霊が持ち主を乗っ取るという事象に対し、何!?と驚愕する二人。

神のカードが所有者を選ぶように精霊にも意思がある。精霊を使役する人は二通りいる。
一つは強い絆で結ばれている場合。もう一つは力によって精霊を服従させている場合。後者の場合、何らの影響によって持ち主の力が弱まるか精霊の力が増すと精霊は持ち主へと牙を剥き、自我を乗っ取るということが起きるという。昔、邪神達が次々と所有者を変え、廃人へと変えていったように。

「じゃ、じゃあ…アレは京子先生じゃないってことか?もしかして、あの変態行動も乗っ取られたせいか…」

「いや、それは違うだろ。あの変態さは素だな。おそらくあの変態はたまたま何処かで精霊が宿っているカードを手に入れ、それを知らずに使って乗っ取られたんだと思う。」

少し論点がズレた十代にツッコミをいれつつ、解説する紫苑

「おい、あいつは元に戻せるのか?」

「多分。けど、絶対条件としてデュエルに勝たなきゃダメだ。負けたら本当にあの化け物に喰われるぞ。」

物理的な意味で喰われると言う紫苑。確かにサクリファイスは贄を求めるモンスター。それが実体化したとなれば、生贄として喰われかねない。
それにと続ける紫苑

「多分、あいつからダメージをもらうと実際にダメージとなると思う。気を付けて」

「結局、勝てばいいんだな。さぁ、かかってこい!化け物」

挑発的な発見とともに変態から化け物へとクラスアップした京子をにらみつける

「我、おまえ倒し、その精霊、喰らう。そして、もっと、力、手に入れ、もっと強く、なる。だから、我、おまえ、倒す」

千の目が刹那の隣に居る舞姫へと集中する。ヒッと小さく悲鳴をあげると刹那の後ろへと隠れる。

「仲間のためにも俺は負けない!」


京子(サクリファイス)
LP2500
手札2枚
魔法・罠伏せ1枚

【サウザンドアイズ・サクリファイス】☆1 ATK0

紫苑
LP1300
手札3枚
魔法・罠無し

【氷結界の大僧正】☆6 DEF2200

「我の効果、発動。大僧正を吸収。ダークアイズ・マジック!」

ぐるぐると赤黒い触手が大僧正に巻きつき、大口を開けて喰らう
グチャリグチュリと咀嚼音を立て、己の体の一部とするサクリファイス

【サウザンド・アイズ・サクリファイス】☆1 ATK0→1600

「我、これで、ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

刹那の場は何も無く、手札も今ドローして4枚。どうやってサクリファイスを攻略するかが鍵となる。

「【強欲な壺】を発動して、2枚ドロー!そして、通常魔法【氷結界の紋章】を発動!デッキから【氷結界の決起隊】を手札に加え、さらに【天使の施し】を発動。3枚ドローし、2枚捨てる。きたか…」

これで6枚。さらに施しで墓地に捨てたことによって墓地のモンスターも肥えた。さらにお目当ての1枚を引けたようで刹那の口元が少しほころぶ。

「手札から通常魔法【氷結界の三法陣】を発動!舞姫、軍師、風水師をオープンし、サクリファイスを破壊!さらに手札から軍師を特殊召喚する。」


魔法陣から放たれた吹雪がサクリファイスを凍てつかせ、粉々に砕く。

「ググ…よくも、我を破壊したな…ユルサヌ、人間メ…」

自分を破壊され、京子を乗っ取っているサクリファイスは色を失った目で刹那を睨みつける。

「俺はさらに舞姫を召喚!」

【氷結界の舞姫】☆4 ATK1700

『ようやく私の出番です!!』

「舞姫の効果で手札の決起隊をオープンし、おまえの伏せカードを手札に戻す!《吹雪の舞ー氷華ー》」

くるくると舞姫が踊りを舞うと、吹雪が吹き荒れ、伏せられたカードを吹き飛ばす。

「させぬ。その効果にチェーンし、伏せカードを発動する!【リミット・リバース】を発動!蘇れ、我が分身!」

今、破壊されたばかりのサウザンド・アイズ・サクリファイスが特殊召喚される。
このモンスターの登場により、刹那の攻撃が封じられてしまう。

『下等な者め!我が邪眼の威力を受けてみろ!』

カッとサクリファイスに生えた無数の目が開き、舞姫たちを凝視する。

『かっ…はっ。く、苦し…なに…これ…体がうご、かない!?』

金縛りを受けたように体が硬直し、息苦しさを訴える舞姫

「くっ……軍師の効果で手札の決起隊を捨て、1枚ドロー。そして、カードを2枚伏せてエンドだ」

京子(サクリファイス)
LP2500
手札2枚
魔法・罠
永続罠【リミット・リバース】→サウザンド・アイズ・サクリファイス

【サウザンド・アイズ・サクリファイス】☆1 ATK0


刹那
LP1300
手札1枚
魔法・罠伏せ2枚

【氷結界の軍師】☆4 ATK1600
【氷結界の舞姫】☆4 ATK1700


「我のターン、ドロー。クク、いいカードを引けた。小賢しい人間にさらなる絶望を見せてやろう。我は手札から【メルキド四面獣】を召喚。さらに場の四面獣とサクリファイスを生贄に捧げ、出でよ、【仮面魔獣 デスガーディウス】!」

サクリファイスが1枚のカードを天井に掲げるとそこから禍々しいオーラが噴出し、天井を突き抜けそうなほどの巨体をもつ魔獣が姿を現す。

【仮面魔獣 デスガーディウス】☆8 ATK3200

なんでこんな遊戯さんを苦しめモンスターばっか出てくるだよ!!

おかしい!シャウトする紫苑。

「死ね!デスガーディウスで舞姫を攻撃!ダークデストラクション!!」

黒々とした光を帯びた爪が舞姫へと振り下ろされ、その恐怖から目を瞑る舞姫

「舞姫をやらせわしない!リバースカードオープン!!」

泡が舞姫を包み込み、爪撃から守る。

「ナンダト!?」

「トラップカード【ハーフアンブレイク】の効果だ。これにより、舞姫は戦闘破壊されず、俺への戦闘ダメージも半分になる。」

刹那LP1300→550

「小癪なマネを…我は永続魔法【波動キャノン】を発動し、エンドする。さぁ、貴様のラストターンだ。せいぜい足掻け」

「あぁ、確かにラストターンだな……俺のターン、ドロー!!手札から魔法カード【浮上】を発動!墓地の伝道師を特殊召喚!さらに手札から風水師を召喚する。」

「今更モンスターを召喚したところでどうする。我のデスガーディウスには足元にも及ばない。」

ククク、刹那をあざ笑う

「見せてやるよ…俺の仲間たちの力を!レベル3のチューナーの風水師でレベル4の舞姫、レベル2の伝道師をチューニング!」

『見せてやりましょう!我々の守り神の内、一柱の力を!!」

三つの光の輪が舞姫たちをくぐると強烈な閃光が起こる

「破壊を司る龍よ!全てを凍てつかせ、砕きされ!降臨せよ!トリシューラァァァ!」

【氷結界の龍 トリシューラ】☆9 ATK2700

部屋を凍りつかせるほどの吹雪が吹き荒れる。すでにソリッドビションの域を超えている。
そして、そのモンスターの登場によって余裕の笑みを保っていたサクリファイスの顏に焦りが表れる

「トリシューラの効果発動!相手の場・墓地・手札からそれぞれ一枚ずつカードを除外できる!世界の全てを凍てつかせろ!氷河世界(フリージング・ワールド)!」

トリシューラが放った氷の竜巻がデスガーディウスを凍らせる。

「さぁ、トドメだ。トリシューラでダイレクトアタック!」

京子(サクリファイス)LP2500→ー200

「アァァァァァァァ!!??我が…人間に、遅れをとるなど…」

バタリと倒れ、気を失う京子。どうやらサクリファイスから解放されたようだ。

かくして、刹那の勝利によって男子3人の貞操は守られたのだった。






「う〜ん…ここは?私は確かデュエルをしてて…」

むくりと起き上がる京子先生。だが、3人を見つけるとニタァと気持ちの悪い笑みを浮かべ、ゆったりと近寄って来る

「クフ。クフフ…デュエルには負けちゃったみたいだけど〜、逃がさないわよ〜!!」

ぐわしと飛びかかってくる

「や、約束が違う!」

刹那が叫びつつ、なんとか避ける

「あらァ?私、負けたら逃がすなんて約束してないわよ〜〜。というわけで頂きま〜す!んほほほ♪」

「イィィィィィィヤァァァァァァダァァァァァァァァ!?」

『シネェェェェェェェェエ!!!』

エアトスが突如として現れ、紫苑へと飛びかかろうとする変態に大鎌を振り下ろす

『フォビデュン・レクイエム!!』

デスサイズで変態を一刀両断する。だが鎌は体を通り抜け、その後ばたりと変態が気を失う

「え、エアトス?な、何したんだ?」

黒いオーラを纏い、倒れている変態を睨みつけているエアトスに若干引き気味で尋ねる

『ただこの変態の精神を殺っただけです。心配はナイです…多分』

さっと目を横に逸らして答える

「多分!?どういうこと!!」

『軽くて一部記憶喪失、酷くて廃人なんで…まぁ、人類から変態へとクラスアップしているような人はただでは死なないのでよっぽど大丈夫でしょう』

頬をぽりぽりと掻きながら応えるエアトスは少し気まずそうである。

「なぁ、紫苑!こいつっておまえの精霊なのか!すげーな、おい!」

十代が目をキラキラさせて、此方をみてくる。そういえば、居たなおまえ。

「え、十代って精霊見えたの?」

まあなと鼻をこすりながら誇り高そうに言う


「そういえばおまえ、俺をここに連れて来たあとどこに行ってたんだ?」

『あぁ〜……ちょっとあの変態を抹殺するために武器取りに行ってました。遅くなってごめんなさいね』

てへぺろと舌を出しながら謝るエアトス。その手には大鎌が握られているのでシュールだ。
てか、何故にデスサイズ!?そこは聖剣じゃないの!!

「あ!やべえ!今授業中じゃん⁉︎俺戻るわ!」

ダダダと走り去ってしまう十代。その後ろ姿を呆然と見送る紫苑

着いたところで授業終わるぞ…

「はぁ。まぁ何にせよ、何事もなくてよかったな、紫苑」

大きく溜息をつく刹那。そして、名前を呼ばれたことにら驚く紫苑

「え?なんで知ってんですか⁉︎てか、そういえば、名前聞いてないや」

「俺は刹那だ。呼び捨てで構わん。それとおまえ、叢雲の弟?だろう」

なぜか弟のところが疑問形の刹那。弟だよ‼︎とシャウトする紫苑

「え〜と、刹那はなんで姉ちゃんのこと知ってんの?」

「まぁ、色々お世話になってるからな。その時に聞かされた。それとお前らの容姿、特徴的過ぎるだろ」

『あぁ〜確かにですよね。翠さんと同じで銀髪でスミレ色の目は希少ですね。しかも、紫苑さんなんか初見じゃ男の子とは気づきませんよねー。』

なるほどと相槌を打つ紫苑。
そして、割と失礼だな、おい!舞姫。

「まぁ、なんかの縁です。これからもよろしく」

「今日みたいなことがまたあったら流石に死ぬわ。」

「わわ!?ちょっ、何すんの!」

ぐしゃぐしゃと髪の毛を乱しながら頭を撫でてくる刹那

「巻き込まれたら手助けくらいはしてやるよ」

じゃあなと手を振りつつ、帰って行ってしまう。

「はぁ…全く…何してくれるだか」

乱された髪の毛を整えつつ溜息を吐く紫苑

『何事もなくてよかったです。私たちも戻りますか」

エアトスがそう言うと自分の寮へと帰る紫苑。あ、授業忘れた。と部屋に着いてから思い出すのだった。


















『ふむ。王に危機が迫ったようだがエアトスの奴が上手く対処してくれたみたいだな』

何もない。ただ何もなく、あるのは闇だけの世界においてサクリファイスやデスガーディウスなどとは比べものにならないくらい禍々しいオーラを纏う球体が呟く。三邪神の内の一柱、アバターだ。

『しかし、変だ。サクリファイスやガーディウス、こいつらは何者かの手によってあの人間に渡ったようだが……何者かが裏で暗躍しているのかもしれんな。王にまた危害が加わる前に少し此方で動いておくか』

そう言うアバターは球体の形を少しづつ変化させ、人の形へと近づいていく。
そして、形が完全に安定し、その姿は邪神達が王と呼ぶ紫苑そのものだった。違う点があるとすれば、紫苑は銀髪だが、紫苑の形をとったアバターは光さえも吸い込んでしまいそうな黒髪になっている。

『ふむ、久々に王の姿を借りたが、悪くないな。』

全裸の状態で身体のあちこちを確認した後、紫苑がよく着ている長ズボンにパーカーという服装をとる。

『さて、あとは裏でこそこそと動き回っている雑魚を見つけ、排除するだけだな。』

アバターは紫苑の知らないところで行動を開始するのだった。



 
 

 
後書き
最後には何やら伏線が…
それとアバターに紫苑の格好をさせたわけはアバター(分身)なので紫苑君の分身という設定にしてみました。決して某映画の青い人たちではありません(*^◯^*)
さて、紫苑アバターがどんな動きを見せるのか楽しみです。
あと、ルカさんオリキャラ案ありがとうございました。 
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