ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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番外編
雪宮 雫の日常
前書き
番外編第一弾、それではどうぞ!!
こんにちは、私は雪宮 雫といいます。訳あって私は二年ほど前まで眠っていました。
SAOというVRMMOに閉じ込められて、そこから抜け出したかと思えば今度はALOで囚われの身となってしまいました。
しかもその時にマインドコントロールをかけられ、戦いたくない人と戦うはめになりました。しかしその人が救ってくれたことで私はその呪縛から抜け出すことができました。
現在はSAO生存者のための学校に通っています。
そこで今日は私の一日を紹介したいと思います。
現在私は高嶺 雪羅の家に来ています。その理由というのが───
「こんにちはー」
「あら、雫ちゃん!いつも悪いわね♪」
「いえ、好きでやっているので♪」
奥の方から出てきたこのブラウンのロングヘアーの女性は高嶺 沙織さん、雪羅のお母さんである。
聞いた話だと家のお母さんと同い年らしい。
「雪羅なら裏の道場にいるわよ」
「はい、ありがとうございます」
私は裏に回ると、そこには平屋の木造建築が建っていた。
ここが高嶺家の道場にあたるところです。
入り口には車椅子が置かれており、その隣には靴がきれいに揃えてある。
「っと、いたいた・・・」
道場の中心には一人の青年が正座していた。白銀の髪に蒼い瞳、傍らには竹刀が置かれている。
胴着を着た彼が高嶺 雪羅、私を呪縛から救ってくれた人である。
「ふっ・・・!」
彼は集中した後、竹刀を振る。
その一太刀は鋭く、迷いのないものだった。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
「雪羅!」
私は雪羅にタオルと飲み物を差し出した。
「おお、雫。来てたのか」
「うん、お母さんに聞いたら道場にいるって言ってたから」
「そうか・・・」
雪羅は貰った飲み物を飲み、汗をふく。
「さて、それじゃあ戻ろうかな」
「うん!」
「俺はシャワー浴びてくるから先に戻っていてくれ」
雪羅は車椅子に乗り換えると、器用に操作し家の方に向かっていた。
私も戻ろうとしたとき竹刀が置かれている棚にあるものを発見する。
『長い棒に、短い竹刀?』
その長い棒は2m近くあり、重さもそれなりだった。また短い竹刀の方は小太刀程度の長さだった。
疑問に思いつつも私も家にお邪魔することにした。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
玄関に戻るとそこには見馴れた靴があった。
リビングまで行くとそこには雫の義母、幸子が沙織と一緒にいた。
「あれ?お母さん?」
「あら、雫ちゃん。雪羅くんは?」
「雪羅ならシャワーを浴びにいったよ。それよりどうしてここに?」
「言ってなかったっけ?沙織ちゃんとは高校での同期だって」
「ぇえ!?そうだったの!?」
初耳だった。雪羅から同い年とは聞いていたが、まさか高校で同期だったなんて・・・。
世の中とは狭いものである・・・。
「ん?どうしたんだ?」
雫の声に反応してお風呂からあがった雪羅がジャージ姿で登場した。
「実は・・・」
雫は雪羅に幸子と沙織が同期であったことを告げると、雪羅は二人の顔を見る。
「ん~、まぁ、考えられなくないな・・・」
「そう、なの?」
雪羅はタオルで頭を拭きながら答える。
「ああ、はじめてあったとき、なんか他人の気がしなかったから・・・」
「そうそう、あのときはびっくりしたな~・・・」
「お母さん、雪羅に会ったことあるの?」
「そっか、あのときは雫は寝てたからね」
雫が寝ていた時というのはまだ雫がALOにいた頃だろう。
「あのときはまだ完全に記憶が戻ってない頃でしたけどな」
雪羅は冷蔵庫にしまってあった麦茶を飲む。
幸子は微笑みながら言う。
「あのときはまさか雪羅が雫ちゃんの彼氏だとは思わなかったわ~」
次の瞬間、雪羅が麦茶を盛大に吹き出した。
雫も突然のことに顔が紅くなる。
「ちょッ!お母さん!?」
「ふふっ、若いっていいわね~♪」
「ほんとね~♪」
沙織もノリノリである。雫は雪羅が幸子を他人の気がしなかったっていうのが納得できた。
『『この二人、似ている!!』』
「そ、そういえば雪羅!道場に長い棒と短い竹刀が置かれてたんだけど、アレは一体・・・?」
雫は話の方向をそらす、こうでもしないとこの二人を止められない気がしたからである。
雪羅はその質問に対し、思い出したかのように答えた。
「ああ、アレか?アレは槍と二刀の練習だよ」
「槍と二刀流の?」
「そう、雪花を覚える他にアレンジを加えようかと思ってな」
「そういえば雪羅くんは足の方はどうなの?」
幸子の唐突な質問に雪羅は、
「まぁ、ボチボチですかね。親父の研究はまだもう少しかかるとは言っていますが・・・」
そう言って雪羅は脚に装着しているアクアに触れる。
「これでも十分日常で使えるまでにはなったんですけどね」
「そう・・・」
「さてと、じゃあ昼食作るからちょっと待ってて。雫も食べていけよ」
「あ、私も手伝う!」
雫は調理場で髪を括り、手を洗う。
「いいわね~、こうしてみてると新婚さんみたいね~♪」
「そう思うんなら母さんはまず料理を出来るようになろうな?」
「うぐっ、痛いところ突くわね・・・」
「安心しろ、急所は外した」
「でも、本当に新婚さんに見えるわね~♪」
「まったく・・・さっさとすませるぞって、雫?」
雪羅が雫の方を見ると真っ赤な顔をして俯いていた。
『せ、雪羅のお、およ、お嫁さん・・・!?』
今にも煙が出そうな勢いなので雪羅は雫を現実に帰そうとする。
「おーい雫、しっかりしろー」
「ひゃ、ひゃい!!」
「ハァ、ほら、さっさと作るぞ」
「う、うん・・・」
その光景をテーブルで幸子と沙織がニヤニヤしながら見ていたのは言うまでもない・・・。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
それから四人で昼食を食べると雪羅は食器を洗うため再び台所へと向かった。
私はリビングで二人で色々と話をしていると、洗い物を終えた雪羅が戻ってきた。
「じゃあ俺は部屋にいるから、何かあったら呼んで」
「はーい♪」
そう言って雪羅は二階へと上がっていった。
すると沙織さんは、
「さて雫ちゃん?」
「は、はい?」
「雪羅の何処に惚れたの?」
いきなりとんでもない質問に飲んでいたお茶を吹き出しそうになるのを堪え、飲み込む。
「ケホッ、ケホッ!い、いきなりなんですか!?」
「だって気になるじゃない、自慢じゃないけどあの子は結構恋愛に対しては疎い方よ」
沙織さんはこの方向に対しては過剰に反応する。雪羅曰く、仕事上のストレスの発散がこんな感じになるのだそう。
「で、どうなの?」
「そ、それは・・・」
私は手をテーブルの下でそわそわしながら話した。
「彼の人を思いやる気持ち、ですかね・・・」
「ほほーう」
「はじめは無理してばっかりな人に見えたんですけど、彼と一緒に過ごして分かったんです。彼は多くの人を守るために自らを犠牲にしてまで戦っているんだなって・・・。端から見たらお節介かもしれないんですけど、それでも私はそんな優しさに惹かれたんだと思います・・・」
そう、彼はいつでもそうだった。お節介なくらい優しくて、無茶ばっかりする。でも、そんな彼に人は集まってくる。
私はそんな誰もを引き寄せる彼の優しさに惹かれたんだと。
「~♪」
「そ、そんなところです・・・」
「いいわね~、純情な恋。私そういうの大好物!」
「ほんと、素敵よね~♪」
「/////」
今更ながら恥ずかしくなってきた。
「わ、私ちょっと・・・」
「雪羅の部屋なら上がって一番奥よ♪」
沙織さんは雪羅の部屋を教えてから、部屋に手紙を持っていくよう私に渡した。
それは海外からのエアメールで、宛名も英語で書かれていた。
沙織さんに言われた通り、私は雪羅の部屋の前までつくとドアをノックした。
「雪羅、いる?」
「ん?雫か、ちょっと待って・・・」
雪羅はドア越しにそう答えると、すぐにドアを開けた。
「どうかしたか?」
「沙織さんからこれを・・・」
私はエアメールを雪羅に渡し、雪羅はその送り主を見た。
「Ciel Canberra・・・。ああ、アイツか・・・」
「その人って誰?」
「ああ、一時期オーストラリアにいたときの友人だよ」
「女の子?」
「お、おう・・・」
その時の雫の顔は浮気を追い詰める女の顔をしていた。
「あ、あの雫さん?目が怖いんですけど・・・」
「ん~、そんなことはないよ~♪」
目からはハイライトが消え、絶対零度の視線が雪羅を襲う。
「雪羅、そのシエルさんとはどういう関係なの?」
私の質問に雪羅はばつの悪そうな顔で答えた。
「俺の剣のもう一人の師だよ・・・」
「えっ、もう一人の?」
「ああ・・・」
雪羅はその時のことを懐かしむように語った。
「俺が昔、野球をやっていたのは知ってるよな?」
「うん・・・」
「その時に精神を鍛えるって意味で剣道を親父に勧められてな、その時に出会ったのがシエルなんだ」
その後の話だとシエルさんはオーストラリア人の父をもつハーフで、雪羅のお父さんとは学生時代からの付き合いだったらしい。
その時にシエルさんから剣を教わったらしい。
「はじめは結構人見知りだったみたいでな、馴れるまで苦労したよ・・・」
雪羅は頬をかきながら苦笑する。
「それで、シエルさんからは何て?」
「ああ、今度日本に来るらしくって、その連絡だって」
「へぇ~、そうなんだ・・・」
「まあ、その時にはお前も紹介しようかな」
「えっ・・・!?」
「どうした?」
「う、ううん。なんでもない・・・」
雪羅が私を誰かに紹介しようとするなんて考えもしなかった。
「ねぇ、雪羅?」
「なんだ?」
「もし、私とシエルさんを選ぶならどっち?」
「ん?お前」
雪羅は質問に対して即答で答えた。
「確かにあいつはある意味、完全無欠かもしれない。普通の男ならとっくに惚れてたかもな」
「じゃあ、なんで・・・」
「なんでって言われてもな~・・・」
雪羅はうーん、と真剣に考え出した。そこででた答えが、
「わかんね・・・」
「えっ・・・」
「まあ、安心しろ。どんなときでも、何があっても・・・」
次の瞬間、私の唇は雪羅の唇によって奪われた。
最初は何があったのか分からず惚けていたが、起こったに気がつくと私は顔が紅くなり、体温が上がるのを感じた。
「俺はお前を離さない」
「ッ!/////」
雪羅はそう言い残して私の頭を軽く撫でた後、彼は下に降りていった。
彼はいつもそうだ、自分の言いたいことだけ言ってどこかへ行ってしまう。
「まったく、ずるいよ。君は・・・」
でも、そんな姿も含めて私は彼が、高嶺 雪羅が好きなのだと。
そんな彼の背中を、私はいつまでも守っていたい。
彼の隣にいつまでも、一緒に、寄り添っていたいから───
後書き
はい!番外編の第一弾、いかがだったでしょうか?
書いていて思ったことは、主人公、ヒロインの母親が共にいいキャラしてんな~と言うことでしたw
コメント待ってます!!
ではでは~三( ゜∀゜)ノシ
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