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ルドガーinD×D

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第二十二・五話:怒りの証~ルドガーside~


どうして黒歌の声がこんなところで聞こえるんだ?
この会場内にいないことは分かる、それなのに歌声が聞こえるか普通?
本当に今の歌声は本物なのか?
……いや、そんなことはどうでもいい俺はただ――会いたいんだ!!

居てもたってもいられずに黒歌の声が聞こえた方に走り出す
正確な場所なんて分からない、それでも足を緩めることなく走り続ける
自分に運がないことぐらい分かってる、以前は冥界で彷徨い続けたことだってある

でも……今回だけは自分の走ってる方向が正しいって確信がある!!
残りの人生全ての運を使ったってこうは行かないだろうな
そのまま走り続けていると三人の人影が見えてきた
一人は恐らく小猫ちゃんだろう、背が小さいからすぐに分かる……後で殴られそうだな

そして残りの二人は凄まじい戦闘を繰り広げていた
片方は誰だか分からないけどもう一人は分かる――黒歌だ!!!
何で戦っているのかは分からないけど黒歌の方が押してるみたいだから心配する必要はないか?
そう考えていると戦闘が止まり二人が何やら話し始めた
何を話しているん――

「―――――っ!!?」

声にならない悲鳴を上げ足を止めてしまう
嘘だろ……クロが…黒歌が斬られた?
俺はただ茫然と突如襲い掛かってきた敵の攻撃から小猫ちゃんを身を挺して守り、倒れ伏す黒歌を見つめる

何で…俺はもっと早く行かなかったんだ?
何で俺は早く行って加勢しなかったんだ!?
どうして俺は大丈夫だなんて不可実なことを考えてしまったんだ!!?
大切なら何に代えても守りぬかないといけないって知っていたのにどうして俺は黒歌を守れていないんだっ!!!??

俺は…っ!!俺はっ!!?――「…白音……逃げなさい」
黒歌の声!?
そうだ……まだ死んでいない、助けられるんだ!!!

「…っ!?…姉…様……っ!!」
「ふふふ、安心しなさい姉妹仲良く殺して差し上げますから」
「…白音!!!」

早く!!とにかく早く行かないと守れない!!!

「…嫌です!!…姉様は私の…たった一人の家族です!!!…私が守ります!!!」
「…っ!!?…白音……」
「そうですか……では、死になさい!!!」

敵の女が大きく剣を振りかぶるのに合わせて小猫ちゃんが黒歌を守るために構える
黒歌が小猫ちゃんのお姉さんだったのか……
いや、今はそんなこと考えている場合じゃない!!!
二人を守らないと!!!
お願いだ!!!間に合ってくれ!!!!!

「うおおおおっ!!!」
『武器創造禁手化(ウェポンシフト・バランス・ブレイク)!!!』

瞬間――俺の体に凄まじい力が漲ってきた
漲ってきた力を使い今までの倍以上の速さで間に入り振り下ろされる剣をその刹那で止める
ガキーンッ!!!
よかった……間に合った

「人の家族に何をしてるんだ?」
「あなたは!?」
「…ルドガー先輩!!?」

俺の家族を傷つけた罰――その身で償ってもらうぞ!!!



突然の新手の出現に警戒したのかいったん距離をとるために離れる敵の女

「…どうしてここが分かったんですか?」
「証の歌だ……」

小猫ちゃんの質問にそう手短に答え、すぐに黒歌の元に行く

「…ルドガー……」
「…黒歌……っ!!傷が……そうだ、フェニックスの涙だ!!!」

さっきイッセーからフェニックスの涙を貰ったことを思い出しすぐに黒歌の傷を治すためにふりかける
すると傷はみるみるうちに塞がっていき綺麗に元通りになった
……よかった、これで大丈夫だ

「ルドガー……ごめんなさいにゃ……」

どうしてクロが謝るんだ?
守るって決めていたのに君を傷つけてしまった俺が悪いのに……

「クロが謝ることなんか何もないさ……少し休むんだ…」

そうクロに言い聞かせながらそっと頬を撫でる

「恋人ですか?下賤な転生悪魔同士お似合いですわね、ですが……安心してください二人仲良く死霊にして私の下僕にしてさしあげますから」

もしかしてこいつが死霊使いなのか?
……それにしても…恋人か……会えなくなってから何度も黒歌の姿を思い浮かべた
……心の底から会いたいと願った……分かっていたつもりなのにいなくなってから大切さに気づいた
恋をしてるのかもしれないな……

でも――今はまだ家族のままさ……だからと言って大切なことには変わるわけじゃない
この世界で一番大切だって言い切れる
そしてそんな大切な人を――

「…………………お前がクロを傷つけたんだよな?」

――傷つけたのはお前なんだよなっ!!?
怒りで禁手の制御が効かなくなり、体から青白い光が溢れ出す
この禁手は間違いなく体に大きな負担がかかるから
ある程度抑えながら使わないといけないタイプだろう
でも……今はそんなことは考えられない!!!

「なんですかそれは?」
「……武器にとって最も重要なことは何だと思う?」
「?相手を確実に殺す殺傷能力ですかしら?」
「いや、それも大事だが最も重要なのは――」

地面が抉れるほど強く蹴り出し死霊使いに近づき
そして――

「消え…っ!!?」

――剣を握っている右手を斬り飛ばす

「――使い手の能力だ」
「き、貴様!!下賤な分際で私に何をした!!?」

ごちゃごちゃうるさい奴だ……
説明すればいいんだろう、説明すれば

「俺のバランスブレイクは『諸刃の剣(リミッター・デストラクション)』脳のリミッターを解除し全身の筋肉の百パーセントの力を発揮するものだ……だが今回は己の肉体を破壊しながらその限界をも超えて二百パーセントの力を引き出している」

いうなればこの状態は暴走だ、骸殻でも使って戦えばこんなことなんてしなくても
勝てるかもしれない、でもそれだと俺が満足できない

「そんな無茶をしてあなたの体が持つと思っているのですか!!?」

ああ、持つわけないさ、すぐに体が壊れる……でもな――

「今のとこ持って二分だな……だが、俺がお前如きを殺すのに手こずるとでも?」

――家族を傷つけたお前をただ力で叩き潰さないと気が済まないんだよ!!!

「私は……私は崇高なる悪魔です!!!それをあなた達の様な下賤な―「黙れ」―っ!!?」

ハンマーで死霊使いの腹に風穴を開けるつもりで思いっきり殴り飛ばす
さっきからごちゃごちゃごちゃごちゃうるさいんだよ!!!
崇高なる悪魔がどうだって言うんだよ!?
俺の家族をこれ以上侮辱するなっ!!!!!
自分の攻撃の反動に耐え切れずに腕から血が噴き出すが気にしない

「ゲボッ!?ま、まだ――アアアアアッッ!!!??」
「黙れと言ったはずだ」

死霊使いの足を二度と立てないように丹念に打ち抜いて行く
途中で逃げられたら困るからな

「わ、私にはまだ霊がいます!!行きなさい!!死霊共よ!!!」

これは、霊か……よかった俺が知ってる人ははいないみたいだな
何十体もの霊に攻撃を受けながらそんなことを考える
不思議だな、怒りのせいか痛みを全く感じない
そう言えばこいつらは幽霊なのに俺に攻撃できるのか

「俺に触れると言うことはお前らを斬れると言うことだな?」

とにかく触れる奴全員をめちゃくちゃに切り裂いていく
まだだ……まだ俺の怒りはおさまらない
限界だと悲鳴を上げる体を無理やり動かして睨み付ける

「ひっ!!……こ、この下賤がああああっ!!!!??」
「お前の死因はただ一つ……俺の家族を傷つけたことだ!!!!!」

俺はお前を絶対に許さないっ!!!
銃を空に投げあげ素早くハンマーに持ち替えて死霊使いの骨を砕きながら叩き潰す
そしてその反動で浮かび上がっているところをクロスするように一気に斬りつけ
落ちてきた銃をキャッチする、これで終わりだっ!!!

「祓砕斬!!はあああっ!!零氷っ!!!」

全弾をぶち当てていく……そして煙が晴れた後には何も残っていなかった
やったのか?
いや、今はそんなことよりもクロだ!!

「クロッ!!!」
「ルドガーッ!!!」

かなり無茶をしたせいで思うように足が動いてくれないけど
出来うる限りの速度でクロの元に駆け寄り抱きしめる、クロも俺を抱きしめ返してくれる
……ああ、会いたかった

「会いたかったにゃ……」
「連れ戻しに来たぞ……クロ」
「うん……」

もう二度と離さない……この命に代えてでも

「クロと離れてからずっと心に穴が開いたみたいだった」
「私だって何にも手に着かなかったんだから」
「俺の方が辛かったさ!!!」
「私にゃ!!!」
「俺っ!!!」
「私っ!!!」

お互いに意地の張り合いになってしまい睨み合いになってしまうが
すぐにおかしくなり笑いがこぼれてしまう

「……ははっ…俺達一緒にいないとダメダメなんだな」
「……うん……これからも一緒にいてくれるよね?」
「言わなかったか?……ずっと一緒にいて欲しいって」
「っ/////////!!……うん」

顔を赤らめるクロが可愛くてついまた抱きしめてしまう
これは仕方がないだろう?
クロがこんなにも可愛い仕草をしているのに抱きしめないのは人間じゃない!!!
まあ…俺は悪魔だけど
それにしても可愛いなホントに、エルやルルの可愛さにも全くひけをとらない!!
こんなに美人で可愛い人に好かれてるなんて俺ってホントに幸せ者――

「…いちゃつくならよそでやって下さい!!!」

しまった、小猫ちゃんの存在を完全に忘れてた……ごめん、小猫ちゃん



???「こ、このままでは終わりませんよ……必ず復讐してさしあげますからね、ルドガー・ウィル・クルスニク!!!」
 
 

 
後書き
若干ヴィクトル化しているルドガーさん、これが伏線かどうかはルルのみぞ知る。 
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