ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第七幕その九
「絶対に頂きます」
「お茶もお菓子もですね」
「そうしています」
「この三時のティーセットがなければ」
「どうにもしっくりいかないですね」
「この松山にいても」
どうしてもと言うのでした、老紳士にしても。
「これは外せません」
「とてもですね」
「しかもです」
「しかもとは」
「日本のお茶はです」
それはどうかといいますと。
「お水がいいせいか美味しいですね」
「そうですね、それは確かに」
「私の目に狂いはありませんでした」
「日本のお水はいいですね」
「はい、質がよく」
しかもというのです。
「量も豊富で」
「貴方達にとってはですね」
「最高の場所です」
カワウソさん達にとってはというのです。
「やはりずっといたい場所です」
「そう思われますね」
「お茶を飲んでいるとあらためて思います」
「それでは」
「はい、ではどうぞ」
その日本のお水で淹れたお茶をというのです。
「三時はこれです」
「そうさせて頂きます」
先生はお屋敷でもでした、三時にはティータイムを楽しむことが出来ました。そうしてそのお茶を楽しんだ後で。
お屋敷を後にしました、門番の人にお屋敷の門から玄関まで案内してもらってです。そこで門番さんにこう言われました。
「もう僕達のことはご存知ですね」
「はい」
先生は門番さんににこりと笑って答えました。
「カワウソさん達ですね」
「イギリスから来ました」
「実は狸さん達に言われて来ました」
「そうですか、しかし僕もです」
今度は門番さんが不安そうなお顔で言うのでした。
「狸さん達がどんな人達か知らないので」
「怖いのですね」
「知らないとどうしても怖いですね」
「はい、どの様な方でも」
「ですから」
それで、というのでした。
「狸さん達は怖いです」
「そうですね、しかし」
「解決案を旦那様とお話されたのですね」
「そうなりました、ですから」
「何とかなりますか」
「貴方達は悪い人達ではないですから」
カワウソさん達のことからお話するのでした。
「それに狸さん達も」
「あの人達は悪い人達ではないのですか」
「はい、ですから」
それでだというのです。
「きっと上手いきます」
「そうなればいいですね、では」
「はい、それではですね」
「このままずっと松山にいられることを祈ります」
門番さんは切実な声で言いました。
「日本にも」
「貴方も日本がお好きなのですね」
「いい国だと思います」
門番さんは先生の問いに明るい笑顔で答えました。
「景色は綺麗で食べものは美味しいですし」
「暮らしやすい国ですね」
「しかも水はとても綺麗で凄く沢山あって」
「そうしたことから見ても」
「いい国です」
先生にその笑顔で言うのでした。
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