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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第七幕その一

               第七幕  カワウソさん達とも
 先生は仁左衛門さん達とお話をして狸側のことはわかりました、しかしこの件については両方の意見があるので。
 それで、です。旅館に帰ってから動物達に言いました。
「それでは今度はね」
「カワウソさん達にもだね」
「お会いしてだね」
「そう、会ってね」
 そうしてというのです。
「彼等のお話も聞こう」
「まずはお互いの話を聞いて」
「それからなんだね」
「どうしていくべきか」
「そのことを考えることは」
「そう、一方だけの意見を聞いても駄目だからね」
 先生はにこりとして動物達にお話します。
「双方の意見を聞いてね」
「そうしてお話をまとめていく」
「先生のいつものやり方だね」
「今回もそれでいくんだね」
「お互いの話を聞いてから」
「僕のやり方は時間はかかるけれど」
 両方の意見をじっくりと聞いて考えるからです、確かに先生のこのやり方は時間がかかります。ですがそれでもです。
「いい解決を導きやすいからね」
「じゃあ明日加藤さんとお会いして」
「それからだね」
「カワウソさん達のところに行くよ」
 実際にそうするとです、先生は言いました。
「それからね、ただ」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「いや、日本にはもうカワウソはいないみたいだからね」
 先生はここでもこのことを言うのでした。
「ニホンカワウソはね」
「本当に絶滅したのかな、日本のカワウソさん達って」
「どうなのかしら」
「いないんじゃないかっていうけれど」
「実際のところは」
「どうなのかしらね」
「僕はいて欲しいと思っているよ」
 先生はご自身の考えも言いました。
「だっていなくなったら寂しいよね」
「うん、そうだよね」
「動物も人間もね」
「いなくなると寂しいよ」
「それだけでね」
「そう、だからね」
 ニホンカワウソにしても、というのです。
「いて欲しいんだ、僕は」
「いるといいね」
 ジップが先生に応えました。
「本当に」
「そうだね、まあ明日会いに行くカワウソさん達はイギリスから来ているけれど」
「うん、その人達ともね」
「お話しよう」
 カワウソであることには変わりがありません、先生はそのことは喜んでいました。ニホンカワウソのことは絶滅していたら残念だと思いながら。
 その次の日です、朝に先生のところに長老さんが来ました。そうして先生にこう言いました。
「そのカワウソさん達の居場所じゃが」
「はい、それは何処ですか?」
「石手寺の近くに家がある」
「石手寺ですか」
「昨日わし等が会った道後温泉の近くにある寺じゃ」
 あの温泉の近くだとです、長老さんは先生にお話しました。
「松山の観光地の一つじゃよ」
「そのお寺もですか」
「うむ、ただな」
「ただ?」
「カワウソさん達は寺の中にはおらぬ」
「その近くでしたね」
「屋敷を建ててそこに住んでおるのじゃ」
 そうだというのです。 
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