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ルドガーinD×D

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第二十話:姉妹

小猫ちゃんのお見舞いをするために一端屋敷に戻ると

部長達が小猫ちゃんの過去について話してくれた

何でも、小猫ちゃんにはお姉さんがいて

小さい頃からそのお姉さんとずっと生きてきたらしい……何だか俺と兄さんに似てるな

でもある時お姉さんが仙術?だったかな

とにかく力を暴走さしてしまいその時つかえていた主を殺してしまったらしい……

そのことがトラウマになって小猫ちゃんは自分も暴走して俺達を傷つけてしまうかもしれないと思ってるらしい

……それでこの前俺が兄さんに憧れたって言った時に小猫ちゃんは動揺したのか……

それにしても……小猫ちゃんのお姉さんは本当にただの暴走だったのだろうか?

俺と兄さんみたいに本当はビズリーが悪くて兄さんがそれを止めようとして刃を向けたとかはないのか?

『……あたり…まえだろうがっ!!』

それとか――

「―――ドガー、ルドガー!!聞いてるか?」

「っ!?悪いイッセー…ちょっと考え事してたんだ」

「まあ…小猫ちゃんが心配なのは俺も同じだけどさ……」

そうだったな……今は小猫ちゃんの事を何とかしないとな

「今から小猫ちゃんの様子を見に行くつもりだけど、お前も行くか?」

「……いや、俺は何か料理を作ってから行くよ」

「分かった、じゃあ先に行ってるぞ」

「ああ」

イッセーを見送りながら何を作ろうか考える

やっぱり……こういう時はスープかな



メイドさんに頼んで料理場を貸してもらって、早速スープ作りに取り掛かる

コックさんから材料は何を使ってもいいというありがたい言葉をいただいたので遠慮なく使わしてもらう

……小猫ちゃん、どういう味が好きなんだ?

甘い物が好きってことは酸味があるものは苦手か?

……今回はトマトの使用は控えるか……無意識にトマトを入れないように気をつけないと

ベースはエルにいつも作っていたスープでいいかな……

「……ん、いい味だ」

後は隠し味に……愛情かな、はは

「いい匂いですね」

「ヴェネラネ様!!」

部長のお母さんであるヴェネラネ様の突然の登場に驚き姿勢を正す……それにしても若い

「かしこまらなくて結構ですよ、それでは料理が作れないでしょう」

「は、はい」

「ところで何を作ってらっしゃるのですか?」

「スープです」

「味見をしてみてもいいですか?」

「はい、ぜひ」

小皿によそいヴェネラネ様に手渡す……緊張するな

「…………美味しいですね、うちのコックと比べても何の遜色もないほどです」

「ありがとうございます」

「それに……小猫への愛情を感じます」

「はい……」

どうやら、ばっちり作れたみたいだな、頑張ったかいがあるよ

……まあ、小猫ちゃんが受け入れてくれるかは分からないけど

「大丈夫ですよ」

「え?」

「小猫はちゃんとあなたの気持ちを受け取ってくれますよ」

「……どうして分かるのですか?」

「母親ですから」

そう言ったヴェネラネ様の顔は何故か記憶にすら残っていない母さんを思い起こさせた

「……小猫ちゃんの母親ではないでしょう」

「眷属は家族、つまり娘の眷属もまた私の子供ですよ……もちろんあなたも」

そう言うヴェネラネ様に言葉が出なかった……母親ってこんなに温かいんだな……

ふと自分の頬に温かいものが伝っていることに気づく…何でだろう?

「ルドガーさん……あなたのお母親のことをお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「……何も覚えてないんです……ずっと兄さんと二人で生きてきたんです」

「そうですか……あなたも小猫と似たような家庭だったのですね」

「そうです……だから小猫ちゃんには俺と同じようなことにはなって欲しくないんです」

小猫ちゃんには俺のように罪を背負って欲しくないし、たった一人の家族を失って欲しくない

「大丈夫ですよ、このスープがあればね」

そう言って優しく微笑んでくれるヴェネラネ様……母親っていいな……

「さ、そうと決まればせっかくのスープが冷めてしまう前に持っていって御上げなさい」

「はい………あの」

「なんでしょうか?」

一度言ってみたいことがあるんだけど……失礼じゃないかな?

「その……『お母さん』って呼んでみてもいいですか//////?」

「ふふ、どうぞ」

いざ言うとなると、き、緊張するな……ええい!!いくぞ!!!

「…お、お母さん//////」

「はい、私の愛おしい息子」

「…ありがとうございます//////……その、何だか頑張れる気がしてきました」

「はい、私も嬉しいですよ」

元気も出たし、この元気を分けてあげないとな……よし、行くぞ!!!



Side 小猫

…いっぱい怒鳴ったし、弱音も吐いた…もう逃げるのはやめて受け入れよう

私には……イッセー先輩がいるんだから////////

…じ、自分で言っていて恥ずかしいです////////

…でも、もうこの気持ちはごまかせないと思う……いつか…きっと――

「子猫ちゃん、お腹減ってないか?」

…!?この声はルドガー先輩ですか?

…何か美味しそうな匂いがするからきっと何か作ってきてくれたんだろう

「…はい……入ってきてください」

「それじゃあ、お邪魔します」

律儀に挨拶をして入ってきたルドガー先輩の手には小さな鍋が握られていた

「…なんですか?」

「スープだ」

…スープですか……あんまりお腹が膨らみません

「子猫ちゃんが倒れなかったらフルコース作ってもよかったんだけどな」

そんな私の考えを察したのかルドガー先輩が悪戯気に笑いながら言ってくる

「…すみません」

「いや、ちょっとからかっただけさ……追い詰められたら無茶したくなる気持ちは良く分かる……」

…ルドガー先輩も何かあったのだろうか?

…そういえばルドガー先輩から昔のことを聞いたことがないような気がします

…いつも聞いてはいけないみたいな空気が流れますし……

「子猫ちゃん?」

「…!?…すみません、考え事してました」

「うーん…スープが気に入らないか?確かに物足りないかも知れないが味は保障するぞ」

…わざとかどうか分からないですけど変に勘違いして話題をそらしますし……考え過ぎですかね?

「ん?リンゴがあるじゃないか、スープを食べ終わったら剥いてやるよ」

「…はい…いただきます」

…ひとまず考えるのは止めて食事にしましょう…



「………美味しいです」

…何だかすごく優しい味で何杯でも食べられそうです

「だろ?自信作だからな」

ルドガー先輩はそう得意げに笑いながら神器でナイフを創り出しリンゴの皮をむき始めた

「♪~♪♪♪~♪」

…鼻歌?…聞いたことがない歌です

「…ルドガー先輩、その歌は?」

「これか?これは……俺の家に伝わる古い歌でな………よく兄さんが歌ってくれたんだ…」

…お兄さん……

「…ルドガー先輩…お兄さんは今はどうしているんですか?」

「今は…………もう…いない……」

「…っ!!…すいません」

その言葉に激しく動揺してしまうのは聞いてはいけないことを聞いてしまったからだろうか?

…それとも――姉様を失うことを想像したからだろうか?

「ああ、気にしないでくれ、兄さんのことを思い出すのは別に辛いことじゃないからな」

…ルドガー先輩……顔に思いっきり辛いって出てます……

普通ならここでこの会話をやめるべきなんでしょうけど……どうしても聞きたいことが出来てしまったので出来ない

「…あの……ルドガー先輩…もし―「もし俺の兄さんが子猫ちゃんのお姉さんと同じことをしたらどう思か、だろ?」―…っ!!?………はい」

…図星です……ルドガー先輩はもしかしたらこうなることが分かっていたのでしょうか?

「そうだな……俺は兄さんを信じる」

「…信じる…ですか?…目の前で暴走した人をどうやって信じるんですか!?」

思わず怒鳴ってしまい、恥ずかしくなってルドガー先輩の方を見るがルドガー先輩は優しげに微笑むだけだった

「確かに信じられないかも知れない……でも、本当は信じたいんじゃないのか?優しかったお姉さんを」

「…っ!!?」

…そんなことは……いや、そうかもしれないです……私はまだ姉様のことが………

「信じたいからこそ悩む……俺もな子猫ちゃん程ひどくはないけどちょっと似たことがあったんだ」

「…似たことですか?」

「ああ、詳しくは言えないんだけどな……まあ、ある日、兄さんが指名手配されてな」

…ルドガー先輩のお兄さんも?

「そのせいで俺も指名手配犯になったんだけど、ある取引をして解除してもらったんだ」

「…ある取引?」

「兄さんを捕まえることだ」

「…え?」

…自分の肉親を捕まえる……もしかしたら自分がそうなったのかもしれないのに考えたこともなかったです……

「結局兄さんは俺が捕まえた後に逃げ出したけどな……その過程で色々なことに巻き込まれてな」

…なぜだか少し嬉しそうな表情を覗かせるルドガー先輩……なんでしょうか?

「その中で兄さんが決して話そうとしなかった一族のことを知ったんだ」

「…一族……ルドガー先輩の骸殻ですか?」

「ああ、俺はその時まで骸殻に目覚めてすらいなかった、いや、兄さんが俺を時計から遠ざけていたって言った方が良いかな?」

「…どうしてですか?」

…ルドガー先輩の骸殻は私から見ても羨ましい位強力な力だ、それに勝手な意見だけど安全そうだ、そんな力から遠ざける理由が分からない

「……俺を守るためだ」

「…守る?…何からですか?」

「……一族にかけられた呪いからだ」

そう言ったルドガー先輩の顔は今まで見たこともないほど苦痛に歪んでいた

「子猫ちゃん、もし何でも一つだけ願いが叶うとしたらどうする?」

「…叶えたいです」

…誰だって願いが叶うなら叶えたいだろう、その願いが大きなものであればあるほど

「ああ、それが普通だ、誰だってそう思う……だけどな叶えられる願いは一つだけなんだ」

「………………」

「……つまり願いを叶えられるのは一人だけだ……もし、自分以外に願いを叶えようとしている奴がいたらそれは自分の願いを叶えるための敵になる」

…もしかして、ルドガー先輩の一族は――

「俺の一族は自分が願いを叶えるために争いを繰り返してきた……時に父と子…兄弟がな」

「…そんなっ!!?」

「欲に目が眩んだ人間がどうなるかを俺の一族は表しているのさ……骸殻も一族同士の争いに使われてきたのがほとんどだ」

…そんなことが……あれ?…それだとルドガー先輩のお兄さんは…!?

「…ルドガー先輩……その…お兄さんはただ敵を増やさない為に言わなかったんじゃ……」

…自分でもひどいことを言っていると思う……でも、そう思わずにはいられない……

「最初は俺も疑った、でもな――」

ルドガー先輩はポケットの中からいつも使う金色の時計と見たことない銀色の時計を取り出して私に渡した

「…銀の方は傷だらけなのに…金の方は綺麗です……」

それが私が時計を見て思った素直な反応だ

「持ち主によく似ててな……銀はな…金が傷つかないように、傷だらけで…ボロボロになりながら…守ってくれたんだ……最後はその命を金の為に使ってな……」

…持ち主……つまり、それは――

「そんな兄さんを…っ拒絶するなんて…出来るわけないだろ……っ!!」

―たった一人の家族―

「………ごめんな……こんなこと子猫ちゃんに言ってもしょうがないのにな」

「……いえ」

確かに姉様とルドガー先輩のお兄さんは違う、でも……一つだけ分かったことがあります

…私はまだ姉様が好きだ、たった一人の家族なんだ!!

「…ルドガー先輩……私、姉様ともう一度話したいです……それがどんな結果になったとしても……」

きっと、今までなら姉様に会うことから避けようとしたと思う……もし、暴走したままだったら、二度と元の関係には戻れない…

…だから無意識に避けようとしていたんだ………でも――もう逃げない!!姉様は私の――たった一人の家族なんだから!!!

…ルドガー先輩はきっと、どんなことがあっても家族であることは変わらない

相手がどんな酷いことがあったのだとしても家族であることを否定せずに受け入れる……そう言いたかったんだと思います

「そうか……大丈夫、子猫ちゃんなら俺と違って手遅れにはならないさ」

…手遅れ…その言葉が意味するところはきっと―――

「おっと、もうこんな時間か、怪我人は早く寝て元気にならないとな」

「…眠たくありません」

「そうか……そうだ!!」

「…?」

「♪~♪♪♪~♪」

「…子守唄ですか?」

そう尋ねるもルドガー先輩はただ歌いながら私の頭を撫でるだけだった

…子供扱いはなんだか嫌です……でも…気持ちいいです……

「♪~♪~♪」

…何だかだんだん…眠たく……………………

「♪~♪―ん………もう寝たかな?……お休み子猫ちゃん………それにしても……証の歌には猫を眠らせる力でもあるのか?黒歌もルルもすぐ寝るし……あ、俺もだったな」
 
 

 
後書き
ルドガーさんにお母さんと言わせたかったので言わせてみました、後悔はありません
それと小猫ちゃんにはこの段階でイッセーに惚れてもらいました、理由は……まだ秘密です
報告:タグにトマト追加しました 
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