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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第六十四話





「──ヒャハハッ!ヒャァァハハハハハッ!!」



「っ…く…っ!」


「……っ…!」



──戦闘が始まった瞬間、結晶で作られた細剣を奮い無数の風の刃を飛ばしてくるサレ。僕とメリアはカノンノとリタを後方に下げると、メリアが風の刃を避け、僕が後方に届きそうな風の刃を星晶剣で切り落とす。
相変わらず厄介な攻撃だけど…以前惨敗した時に比べてこれならまだ防ぎきれるっ!


「ヒャハハッ…へぇ…確かに腕は上がってるようだね」


「お褒めいただけて光栄です…魔神剣っ!」


風の刃を避け、防ぐ僕達を見てサレは僅かに笑いを止めてそう言い、僕はそれに言うと風の刃を防ぐ中でサレに向けて斬撃を飛ばす。


「ヒャハッ!それは前から無駄だっていってるだろうっ!」

僕の飛ばした斬撃に不適に笑みを浮かべてサレはそう言うと細剣を持っていない片手を斬撃に向け、以前と同じように強風の壁を作り斬撃を無効化する。
だけど…防がれるのは百も承知だっ!


「メリアっ!」


「……しっ…!」


「っ!ほぅ…!」


強風の壁が魔神剣を防ぎきり消滅した瞬間、僕の声を合図にメリアが一瞬でサレの懐に入り込み短刀を奮う。
サレはそれを先程のように強風の壁を作る事をせず、結晶の細剣で防いだ。

やっぱり……サレは『完全』にジルディアの力を制御できてはいない。
あれだけの力だ…その気になれば以前も、今も僕達をすぐに纏めて始末する事が出来るはずだ。だけどそれをせず、風の刃で攻撃してくるだけだったり、今のようにメリアの攻撃を風の壁で防がなかったりと…明らかに強力な力を簡単に使おうとしてない。
だから恐らく…サレは一度強力な力を使用すると、連続して続けて力を使用する事が出来ないのだ。

それに…


「リタ、カノンノ!」


「言われなくても分かってるわよ…グランドダッシャーっ!」


「これでいいんだよね…フラッシュティアっ!」


「ッ…ぐぅっ…!?」


僕の声を合図に今度は後方に下がって詠唱をしていた二人が同時に魔法を発動させる。その声を聞いたメリアは一瞬でサレから離れ、その場に残ったサレに地面から鋭い大地の槍と光の衝撃が襲い掛かる。

そう…いくらサレが強力な『風』を操る力を持っていても、『地面』からの攻撃は対処出来ない。
サレは大地の槍と光の衝撃を受け、僅かに…だが確実に怯んだ様子を見せた。


「っ…フフッ…成る程…君達もそれなりに僕への戦い方を考えてる訳か」


「…まぁ、僕達だってただでやられてるわけじゃないですからね」


「フフッ…全く……調子にのるなよクソガキがぁっ!」


攻撃を受け、負傷したであろう右肩を一度見てそう静かに言ってきたサレに僕は星晶剣を構えなおして言葉を出す。
僕の言葉を聞き、サレは低く笑った数秒後…笑みを一転させて明らかに怒りを表す表情でそう叫び、自分の周りに様々な色の輪…オーバーリミッツを発動させた。


「…オーバーリミッツ…っ!」


「っ…どうやら本気でくるみたいね」


「ヒャハッ…コレに耐えられるかどうか…さぁ、楽しませろぉっ!」


不気味に、高らかに笑いオーバーリミッツしたサレは両手を広げて叫ぶと、以前ヴェイグとの戦いで見せた暴風『シュタイフェ・ブリーゼ』がサレの背後に現れた。ただ、その数は以前の一つではなく…五つ。


「!皆、急いで僕の近くにっ!」


「「「!」」」


サレの出した五つの暴風に、僕は急いで星晶剣を盾にするように構えて皆にそう告げ、意識を集中させる。
カノンノ達は僕の声に反応すると僕の方に集まり、それを見たサレは広げていた片手を此方へと向けると不気味に笑みを深めた。

「わざわざ自分から集まってくれるなんて…それならこのまま纏めて一呑みしてあげるよ!──さぁ、見るといい!これぞ進化した真の狂乱の嵐っ!」


「っ…間に合ってくれ…ライトニング・シェルっ!」

僕達に向けより一層高らかに、不気味にサレは叫ぶとサレの背後の五つの暴風はまるで生きているかのように動き出す。
僕はそれに意識を集中させながら僕と皆を守るように円形の紫色の膜を張る。これでもまだ耐えきれるかどうか…っ!



「この暴風の渦から、逃れられると思うなよぉっ!さぁさぁさぁ、吹き荒れ、呑み込み、切り裂き、殺せぇっ!『シュタイフェ・ジル・ブリーゼ』ェッ!」


サレの叫びと共に放たれた五つの暴風。それは真っ直ぐと此方に向かってきたと思った瞬間、五つの内四つが方向を変え、僕達の上、右、左、後方と、僕達の逃げ場を無くすかのように飛んできた。


「ぐっ!っ…ぅ…っ!」


「衛司…っ!」


前方、後方、左右、そして上空から迫ってきた暴風の渦が一斉に僕達を守るライトニング・シェルに直撃し、その衝撃がシェルを通して僕に伝わってくる。


「ヒャハハッ!さぁ、粉々になれぇっ!」


「ぅ…く…ぁぅうっ!」


「ちょ…大丈夫なのっ!?」


「…衛司…!」


聞こえてくるサレの声と共に勢いを増してくる暴風。その衝撃が更に僕に伝わり思わず苦痛の声を漏らしてしまうけど、リタやメリア達の心配するような声を聞いて、僕はなんとか耐えつつ意識を集中させ続ける。
よし…これなら…っ!


「っ…ヴォルトっ!」


「(…お待たせしました、主っ!)」


「「契約解放《リンクバースト》っ!」」


集中し続けていた意識を一気に放出させるように、僕はヴォルトとの契約解放を発動する。契約解放をした事で伝わってくる衝撃が幾分か和らいだのを感じると、僕は展開しているシェルに意識を込めてシェルの厚さ、防御力を上げる。



「くっ…耐えきれぇっ!」


シェルに全力を注ぎ、暴風を防ぎ続ける。もし僕が此処で防ぎきれないと、皆が暴風に呑み込まれて全て終わってしまうんだ…だから…絶対に防ぎきるっ!
そのまま暫く暴風を防ぎきり続け…防御力を増した膜を傷つけつつもようやく暴風は消え失せた。


「…っ…ハァ…ハァ…っ!」


「衛司っ!今、回復させるからっ!」


五つの暴風『シュタイフェ・ジル・ブリーゼ』を防ぎきる事に成功したけど…防いでいた今までの衝撃と急いで発動させた契約解放の疲労が身体に襲いかかってきた。僕は肩で息をしながらも真っ直ぐとサレを睨み、カノンノは僕の様子を見て回復魔法を使用する為に詠唱を始め、メリアとリタは僕を庇うように前に出てそれぞれ武器を構える。


「…へぇ…アレを防ぎきるとは…それにその姿…。成る程ねぇ…やっぱり君達はあのルバーブ連山の時、ラザリスの命令を拒否してでも倒してラザリスに献上していた方が正解だったかもしれないね。君達は仲間だの絆だの…時間をおけばおくだけ面倒になるからね」


武器を構える僕達に、まるで忌々しい物を見るような表情でそう言ってくるサレ。
サレのその様子と発言に…僕はカノンノから回復を受け、ゆっくりと呼吸を整えながら、以前から気になっていたことを口にした。


「…サレ…アナタはどうしてそこまで人の絆や、仲間をそこまで否定してるんですか?」


「何…?」


「アナタの仲間や絆の否定…。とても『ただ気に入らないから』ってだけの様子がしないんです。だから…アナタは何故そこまで『人』を『拒絶』しているんですか?」


そう…前々から気になっていたけど、サレの仲間や絆の否定の仕方は明らかに異常であった。誰かがサレは他人を侮辱し、見下す事を好んでいるからそういう風な性格なんだ、とは聞いたことがあったけど…僕にはこのサレがただ本当に…それだけで此処まで仲間や絆を否定しているとは思えなかった。


「…フフ…フヒッ…フハハハハハハッ!いきなり何を言い出すかと思えば…君も物好きだねぇ。…まぁいいさ…そんなに知りたいならちょっとした昔話をしよう──」


僕の言葉を聞き、おかしな物を見たようにサレは笑うが、少しして僕達を見るとまるで何かを思い出すように両目を閉じてそう言葉を出し…そして続けた。



「──人間の醜さを見て生きてきた男の話を…」





 
 

 
後書き



─以上、第六十四話、如何だったでしょうか?

うん、こんな内容ですみません←



【サレの弱点】
てな感じで、今話でサレの弱点発表でした←
うん、なんか無理やりっぽくてごめん←


【シュタイフェ・ジル・ブリーゼ】
サレ様の新秘奥義発表←
元々の『シュタイフェ・ブリーゼ』が一直線上に居ないと当たらないので、『じゃあ確実に当たるように逃げ場を無くすのは?』という発想から生まれたのがこの『シュタイフェ・ジル・ブリーゼ』です。

皆っ!敵は対処法をよく考えてチート化させようねっ!←←


【サレの過去】
原作の『リバース』や『マイソロ3』でも彼の過去に関しては一切描かれていないので次回は完全にオリ設定な過去話になります←

果たして、彼になにがあったのか?



皆様良ければ感想、ご意見、そして評価等宜しくお願いします+


ではまた、次回+
 
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