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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第六幕その十

「僕はいつも綺麗にしてるけれどね」
「ペストは鼠から流行したのじゃったな」
「そうだよ、僕達につくダニからね」
 ペスト菌を持っている鼠についているダニが人間を噛むとです、その人がペストになってしまったのです。
「流行していたんだ」
「御前さん達自体が綺麗ならな」
「問題はないんだけれどね」
「そうじゃな」
「そうそう、とにかく昔の欧州はね」
 どうだったかとです、ホワイティもお話します。
「街は凄く不潔だったんだよ」
「ロンドンもペストが流行しました」
 先生はこのことはとても残念そうにです、長老さん達にお話しました。
「多くの人が亡くなりました」
「何でも相当悲惨な死に方するんだって?ペストって」
「身体が真っ黒になって」
「咳をして身体のあちこちが痛くなって」
「苦しんで死ぬんだよね」
「そうです、本当に恐ろしい病気です」
 まさにというのです。
「欧州の衛生事情の悪さ故です」
「便所は大事じゃな」
「排泄物の処理もですね」
「日本では肥料にしておった」
 出したものをです、日本ではかつてそうしていました。
「今では殆どなくなったがな」
「しかし欧州では捨てるだけでした」
「勿体ないと言えば勿体ない」
「しかもそれが疫病の元になりますので」
「余計にな」
「はい、そうしたことの処理についても勉強したことがありまして」
 先生はそうしたことも真剣に勉強したことがあります、先生の学問はそうした分野にも及んでいるのです。
「日本はそこも考えていたのですね」
「普通だと思っておったが」
「いや、それがです」
「違ったのじゃな」
「非常に合理的だと思います」
 出したものを肥料にすることはというのです。
「そして衛生的です」
「肥溜めもか」
「はい、しかしそうしたおトイレならです」
「風呂と一緒にはのう」
「なりませんね」
「うむ、絶対にな」
 それはないとです、長老さんは先生にはっきりと答えました。
「欧州の風呂にはそうした事情も関係しておるか」
「そうでしょうね」
「そうじゃな、しかし」
「それでもですか」
「本当にどうしてもな」
「欧州のバスルームについてはですね」
「わしは抵抗がある」
 お風呂とおトイレが一緒のお部屋にあることについてはというのです。
「あれが平気なのが理解できん」
「僕の今のお家は日本のお家でして」
「別々になっておるな」
「はい」
 先生が今住んでいる八条町のそのお家のことは見事なまでの和風のお家です、ですから当然お風呂とおトイレは別々になっています。
「それもおトイレは和式です」
「おお、それはよいのう」
「長老さんもおトイレは」
「うむ、和式派じゃ」
 まさにそれこそ、というお顔での返答でした。
「あれが一番慣れておる」
「だからですね」
「数百年親しんできたのじゃ」
 それだけに、というのです。 
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