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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第一話 僕が大家!?しかも何このお屋敷!その一

               八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
             第一話  僕が大家!?しかも何このお屋敷!
 僕の名前は八条義和という、八条学園高等部普通科の二年生だ。
 部活はバスケ部で成績は多分上の方だ、一応この学園というか学園を経営している八条グループの経営者の一族の端っこの方にいる。
 一族とはいっても端っこの方なので楽な立場の筈だった、そう筈だった。
 しかし僕はいつも頭を抱えていた、その理由は親にあった。
 母さんは家を出て行ってしまった、理由は親父の度重なる浮気だ。その親父が僕の頭痛の種だ。
 親父の名前は八条止という、八条医院に勤務している医者で外科の分野ではブラックジャックとか言われているらしい、その仇名から腕は確かだ。 
 しかしだ、その人格は最低だ。どう最低かというと。
 僕はこの日も親父にだ、こう言っていた。
「おい親父、昨日僕が家に帰ったらな」
「ああ、何があったんだ?」
「金髪の美人さんと黒人の美人さんが来てたんだけれど」
「ティファニーちゃんとエリザベスちゃんだな」
「二人共どういう人なんだよ」
「決まってるだろ、俺の愛人だよ」
 こう答えるのがこの親父の常だ。
「そんなの言うまでもないだろ」
「何が言うまでもないんだよ!あっさり言うなよ!」
「俺は嘘は言わない主義なんだよ」
「嘘じゃなくていいものじゃないだろ!」
「そんなに言うなよ、この二人はな」
 親父は平然としている、まるで石仮面を被った後の奴がパンの数について考えているかの様に。
「ラスベガスのキャバレーで知り合ったな」
「昨日は香港だったよな」
「上海じゃなかったか?昨日は。それでテニスコートで知り合った」
「どっちにしろまた遊んな人かよ」
「ああ、そうだよ」
 話がここでやっと動いた。
「ちょっとな」
「ちょっとって一緒にベッドに入るのがちょっとかよ」
「そんなの些細なことだろ」
「全然些細じゃねえよ!そうやってこれまで何人の人とそうしてきたんだよ!」
「百人から先は覚えていない!」
 出た、この言葉が。何処の羅将なんだ。
「正確に言うと四千三百五十八人だな」
「ドン=ジョヴァンニより多いじゃないか」
「日本だけで二千二百十九人だからな」
「どれだけ遊んでるんだよ」
「安心しろ、我が子よ」
 親父はここでも平然としていた。
「人妻とか幼女には手を出してないからな」
「そんなの辺り前だろ。幼女はまずいだろ」
「アラサー、アラフォーお構いなしだがな、俺は」
 要するに節操がないということだ。この親父の信条は女の子は元男の子でもよし、年齢は下から十三歳、上は六十歳まで。人種宗教職業一切問わずだ。ただし本当に人妻や幼女には手を出さない。何故かというと。
「幼女は趣味じゃないからな」
「そんなの趣味にしてやら警察に突き出してやるからな」
 僕は本気で親父に言ってやった。
「どんな畜生道なんだよ」
「人妻は揉めるからな」
「特にイスラムは、だよな」
「そうなんだ、石打ちとかリアルであるからな」
「それで人妻さんには手を出さないか」
「未亡人やバツイチさんは別だぜ」
 もっと言えばバツニ、バツサンでも構わない。勿論バツヨンでも。
「そうした人は大好物だからな」
「とにかく誰でもいいんだな、親父は」
「そうした人でないとな」
「そうだよな、あんたはそういう人だよ」
「そんなに褒めるな。照れるじゃねえか」
「褒めてねえ!というかこの人達は何でここにいるんだよ」
 僕はここで本題に入った、自宅の前で今日も起こっている騒動の中で。
「また問題起こしたのはわかるけれどさ」
「ああ、実はな」
 親父は本当素っ気なく言う。 
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