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死人使い

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第十二章

「イスラマバードのことは」
「また別と」
「そう仰るのですか」
「ですから」
 それでだというのだ。
「それとは別にです」
「報酬をですか」
「下さるのですか」
「イスラマバードの分で百万ドル」
 それだけ出すというのだ。
「そうさせて頂きますが宜しいでしょうか」
「そうですか、それでは」
「お言葉に甘えまして」
「そうしてくれると有り難い」
 ザッハラームは微笑んで二人に言った。
「我々としてもな」
「贈りものは受け取る、ですね」
「遠慮なくな」
 ザッハラームは本郷に返した。
「それがイスラムの教えだからな」
「そうでしたね、実際に俺達にしても」
「報酬はだな」
「はい、多い方が」
 この辺りは現実的に言う本郷だった。屈託のない笑顔で。
「有り難いですね」
「そうか、ではな」
「そういうことでお願いします」
「そしてだが」
 報酬の話からだ、さらにだった。ザッハラームは二人にこうも言った。
「よかったら帰る前にな」
「この国から日本にですか」
「その前に」
「私個人からもな」
 ザッハラームからもというのだ。
「少し礼をしたいのだが」
「といいますと」
「それは」
「馳走だ」
 つまり食事を奢りたいというのだ。
「私からもな」
「この国の料理といいますと」
「やはり」
「カレーだな、そちらの国で言う」
 それだというのだ。
「こちらではカリーというがな」
「それをですね」
「我々に」
「よかったらどうか」
 こう言って二人を誘うのだった。
「そうしてくれるか」
「はい、それじゃあ」
「そちらも御言葉に甘えまして」
「実は大佐は美食家でして」
 アジュラーンがこのことについても二人に話した。
「カリーにも五月蝿いので」
「そうですか、それじゃあ」
「帰る前に」
 こうしてだった、二人はザッハラームからカリーも馳走になった、報酬も振り込まれそうしてであった。
 二人は日本に帰った、そうして京都に帰ったが帰ってからだった。
 ふとだ、本郷は事務所の中であることを思い出して役にこう言った。 
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