| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

死人使い

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四章

「ですからグールの倒し方でいいかと」
「一太刀ですね」
「それで倒すべきですね」
「我々は刀を持っていないのですが」
 それでもだというのだ。
「彼等は今のところ村から出ずあそこにいるだけで」
「準備をしていますね」
 ここでだ、役は相手の考えを読んで述べた。
「村から出て」
「そして、ですね」
「死人を村の外にも広めます」
 そう考えているというのだ、相手は。
「おそらく村人が全員死人になってから」
「その時にですね」
「村から出て」
 そして、というのだ。
「死人をさらに広めます」
「グール達をですね」
「そうです、つまり」
「まだ村には生きている人がいますか」
「そうなります」
 だからだ、まだ死人達は村から出ようとしないというのだ。
「幸いにも」
「それは何よりです」
「それでグールですね」
 役はその話に戻した、そのうえでアジュラーンに言うことは。
「私達の刀でも」
「一太刀だけです」
「一太刀を浴びせればですね」
「グールは倒れて動かなくなります、しかし」
 それでもだとだ、アジュラーンは言葉を加えたのだった。
「もう一太刀を浴びせれば」
「その時はですね」
「グールは蘇ります」
 これがグールの特徴だ、アジュラーンはイスラム世界に伝わることのことを二人に話したのである。
「ご存知ならば」
「はい、それで」
「死人を火ではなく剣で」
「倒させてもらいます」
「そうして仕事をさせてもらいます」
「あの村はおよそ千人です」
 ザッハラームが村の人口をここで話した。
「そこにまだ腐りきっておらずグールになれる死体が加わります」
「千人よりも幾分か多いですね」
「それだけです」
 彼等の敵となる死人の数はというのだ。
「そしてです、そこに」
「死人使いの、ですね」
「老婆がいますね」
「背が低く腰が曲がり」
 ザッハラームは老婆の外見的特徴も話す。
「ヴェールを被っています」
「その老婆がですね」
「村の何処かにいますね」
「そしてその老婆を倒せば」
 それで、というのだ。
「仕事は成功となります」
「わかりました、では」
「今からはじめさせてもらいます」
 二人も応える、そしてだった。
 早速だった、役はその手にだ。
 数枚の白い札を出した、その札を前に投げると。 
 札達は忽ちのうちに白い鳥達になった、そうしてだった。
 村の中を進んでいく、そうして。
 鳥達は村の中に入った、そのうえでだった。
 役は本郷にだ、こう言ったのだった。
「確かにな。生存者はな」
「いるんですね」
「いる、僅かだがな」
「だからまだ動いていないんですね」
「そうだ、しかしだ」
「その生存者が、ですね」
「危ういな」
 そうした状況だというのだ。
「何とか隠れているがな」
「それじゃあ」
「何とかだ」
「その生存者をですね」
「救出してだ」
「死人使いの婆さんをですね」
「倒す、そして死人達だが」
 その敵のこともだ、役は本郷に話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧